活動開始
また、始めてしまった。
もう少し書き貯めてからにしようと思っていたのに。
ガンバロ……。
やったー、できたー 念願のゲームがやっと完成しました。
ここまでくるのに、パソコンに向かうこと二十年と半年掛かってしまいましたが、そんな日々も今日で最後。
思い起こせば、苦難の連続ではありましたが、そんな苦労が報われる日がやってくるとは、私自身、夢にも思いませんでした――放り投げて、スッキリしようと何度考えたことか。
この配信スタートを押せば、オンラインゲームの創業開店です。
お客さん来てくれるかな、一途な不安はありますが、迷っていていは始まりません。ですので、ここは無心で配信スタートを、おば。
カッチ。
あれ? カチカチ……。
『望む世界に移行します。
一度接続をしてしまいますと二度と元に戻す事はできませんので、ご了承下さいますように呉々もご注意下さい』
カチカチ…… あ?。
意味不明の文字が出ると同時にマウスをダブルクリックしてしまった。
『あ! じゃありませんよ。
あ、じゃあ。
まったく、最近の若い者は!』
パ、パソコンに話し掛けられる日が来ようとは――ウインドーが開き文字が浮かび上がるが、何故か声が聞こえる。
き、気のせい?
『貴女! いまパソコンに話し掛けられたと思ったでしょ』
「え?」
『え! じゃありませんよ。
何処を見ているんですか』
いやいや、パソコンの画面に文字が浮かび上がっているのに、え? 私が変なの……。
「何処を見ているっと言われても」
「雪島怜奈さん」
脳内に触接、自分の名前が響き渡った瞬間、私は意識を失った。
光の微粒子が壁に扉を構築し始める。
目を見開いたまま気を失った私の瞳を通して、朧気に靄がかって写し出されてはいるが、脳内では夢に包まれた出来事なのだと、焼き付いて記憶に刻まれるのだった。
『承諾のボタンは押されましたから後戻りはできませんので、このまま進行するしかないじゃないですか、まったくもう!。
まぁ、なんとかなるでしょ、でわ、貴女を異世界にご招待。
これから長い付き合いになりますから宜しくお願いしますよ。
我らが想像主、雪島怜奈様。
さぁ、目覚めの時ですよ』