02;放課後
何話かは書き溜めがあるので早めに続きを挙げます、展開はなかなか遅いですがよろしくお願いします。
翠と紫に連れられ放課後の校舎を四人で歩く。悠輝と堅悟にとっては見慣れない風景のため順次場所や説明をしてもらいながら案内は続いていく。購買や体育館、学食や部活棟などそこそこ敷地が広い校舎を見ていくのも時間はかかってしまう。時間は昼時に差し掛かり、だいたいを見終わったので教室に戻ることになった。
そんな時ふと翠から「悠輝と堅悟ってさ、初対面にしては仲良さそうに見えるよね、元々友達だったくらい仲良い感じするよ~」と言われる。「堅悟は昔ここに住んでいたらしくてさ。職員室で始業式とかを待っている間にいろいろ話をしていたら仲良くなってね。あともう二人の転校生とも少し話したな。」内心冷や冷やしていた悠輝が咄嗟に機転を利かせてそれらしい事を言っておく。「それよりも遅くまで案内してもらって悪かったね、時間も時間だしどこかで昼飯食べていかない?」と話を逸らすことも忘れずに。
「それなら近くによく行く喫茶店があるからそこにしない?」「案内してもらった礼だ、俺たちが出そう」と翠と堅悟も賛成のようで鞄を持って下駄箱へ向かう。
「また手紙・・・」靴を履き替えようとした四人だったが、翠の下駄箱からぽとりと手紙が落ちてきた。「ラブレター!?スマホが普及してるこの時代に古風な人もいるんだねぇ~、それはそうと新学期からモテますなぁ!!」と紫は囃し立てているが、こっそり素早く文面を読んだ翠は驚く。手紙には校舎中庭に12時に待っていますというもので、現在の時刻は11時57分。ギリギリである。
「私ちょっと行ってくるね。皆は先にお店行ってて、後から合流するよ。」と翠は駆け出して行った。
「雪園さんってモテるのか? またとか聞こえたけど」「見る目ないね~悠輝、翠は凄いよ~かなり告白されてるみたいだし。何なら悠輝も狙っちゃう?」「まだ会ったばかりでそういうのはまだわからないなぁ・・・」(ま、可愛い子だよな!初日から可愛い子たちと昼飯とか悠輝も中々隅に置けねぇな!!)
「はぁ・・・はぁ・・・」息を切らせつつもギリギリ手紙の時間に間に合った翠。相手はまだ来ていないようだった。呼吸を整えつつ書いてあった大木の下で待つ。噂ではこの大木は何十年も前からこの地に立っており、告白がうまくいったり、願い事が叶うという一種のパワースポットらしいのだ。そんな噂に思い出しながら待っていると時間通りに翠を呼び出した相手が来た。
「双川君だったのね、名前が書いてなかったから誰だろうとは思ってたんだけど。」そこに現れたのは一年次から同じクラスの双川 雄一だった。
「いきなり呼び出してごめん。それと手紙読んでくれてありがとう。 唐突だけど、僕は雪園さんが好きです。付き合ってはもらえませんか?」と突然の告白。手紙をもらったことから薄々とは感じていたがあまりにも唐突な告白で翠も慌てる。
「・・・ごめんなさい。私は双川君とはお付き合いできません。」「そっか・・・他に気になる人でもいるの?もしかして彼氏いたとか!?」「そうじゃないけど・・・とにかく、ごめんなさい。」せめてもの礼儀としてしっかり断って翠は学園の外に向かう。
(好きな人がいるわけじゃないけど・・・何かもやもやするのよね。昔のことと何か関係あるのかしら・・・。)不思議な感情を覚えつつも今は先に行った三人に合流すべく早く行こう、そんな思いで翠は足を進めるのであった。
「で、何で皆して待ってるわけ?先にお店行けって言ったじゃない!」翠が足早に玄関まで行くと、そこには先に店に行ったはずの三人がいた。「いやぁ~私は翠がどう反応するのか見たかったし?告白どうしてきたのかな~とも思ったし?」とニヤケながら紫が言う。「あ、でも最初に待っていようって言ったのは悠輝だよ?私じゃないよ~」「そうだったな、言い出したのは悠輝だった。」と早速ばらされる悠輝。
「何で・・・?」「せっかく案内してもらったし、後から一人でってのもどうかなぁと思ってさ。どうせなら四人で行こうかと。」もしかしたら翠が呼び出し相手と付き合うことになるかもしれないし、時間がどのくらいかかるかわからなかったのに、悠輝はあっけらかんと言う。それに付き合う堅悟と紫も相当なお人よだが。
「じゃあ早くお店行きましょ、お昼時だし混んでるかもしれないわよ?誰かたちが先に行かないから。」なんて少し皮肉交じりで言いながらもどこか心は温かい翠だった。
そんな四人を遠巻きに憎らし気に眺める影があった。「あいつら初対面の癖に・・・・僕の方がずっと前から知っているのに・・・なんであいつらなんかと!!」ドス暗い感情が渦巻いていたことを四人はまだ知らない。
双川君は実は黒いのか?その辺りは追々書いていきたいと思います。誤字、助言などありましたらよろしくお願いします。