01;学園編入
非常に前回から間が空きました!不定期更新ですがこれからもどうかよろしくお願いします!
「ここが俺たちが編入する葦原学園かぁ・・・」
葦原学園、いたって普通の共学の私立高校である。彼らの任務のような荒事の気配はまるでしない。
(ボサっと立ってないで職員室行くぞ)とハクから急かされ足早に校舎へ向かった。
悠輝らは編入生のため始業式などには出席せず先に職員室へ寄る。今頃は始業式も終盤に差し掛かっているはずだ。
「翠~今日私たちの学年に4人も転校生来るらしいよ?男子かな?女子かな?かっこいい人がいいなー」と始業式も終わり教室への途中、仲のいい友人、御影 紫が話しかけてきた。私もその噂は聞いていた。一人か二人ならともかく、4人も転校生が来るのは珍しい。「だけど私たちのクラスに入るかはわからないじゃない、期待しないほうがいいんじゃないの?」「まーた翠はつれないなぁ、もしかしたらすっごくかっこいい男子かもしれないじゃないの!」食い下がってくる紫と笑いながら教室へ戻る。私、雪園 翠は実は幼いころの記憶があやふやである。小学校くらいの記憶はあるが、その前の記憶が不安定だ。そんな前のことは覚えていないのが普通かもしれない。ただ、仲の良い友人がいたような気がするが、その姿や声は霞がかかったように不明瞭だ。過去の記憶を振り返りながら喧噪の中席について数分後担任の教師とともに二人の男子が入ってきた。女子からは喜びの、男子からは落胆の声が上がる。
「では順に自己紹介をお願いします。」と教師から促され堅悟、悠輝の順で自己紹介をする。
「岩島 堅悟です。早鏡高校から転校してきました。よろしくお願いします。」(堅悟、もう少し愛想よくしたほうがいいんじゃないかのう?)
「白峰 悠輝です。早瀬高校から転校してきました。慣れない環境ですが、仲良くしてくれると嬉しいです、よろしくお願いします!」(悠輝、緊張してるのはわかるがあまりにも無難過ぎねぇか・・・)
二体の霊獣から冷たいつっこみが入るが無視だ。二人とも普通の学園に入学すること自体が久しぶりなのだ。組織では学業も仕事の一環として仕込まれるため、年相応の知識は身に着けているが早いうちから組織に入った4人は高校はおろか中学も卒業していない。そのため同学年との付き合いが同じ憑依者の4人くらいしかなかったのだ。悠輝はともかく堅悟は非常にガタイがよく、本人の口数が少ないことも相まって相手に威圧感を与えやすい。ゲンの指摘ももっともであった。
「では二人とも空いている席に座ってください。後で誰かから校舎を案内してもらうように。では連絡事項ですが・・・」
初日は始業式だけなので思いのほか時間はあり、転校生特有の前の高校では何をしていただとか、彼女はいるのかだとか、質問攻めはあったがだいたいは設定どおりに受け答えしていた。その中で翠と紫も会話をしており、紫の強い希望で悠輝と堅悟の校舎の案内を買って出た。 二人とも慣れない大人数との会話に疲れてはいたが、慣れない環境であるならなおのこと、せっかくの好意を無下にはできないと快く承諾した。