13;決着・堅悟
これで三話目!まだ本日分読んでいない方はまずはそちらからどうぞ。
今回でこの戦いには一先ず幕です、それでは堅悟サイドスタートです!
「悠輝君っ!?」崩れ落ちた悠輝に向かってたまらず駆け出した翠を横目に、堅悟と雄二の戦いは続いていた。〔フム、あっちは悠輝の勝ちで決着が着いたようだのう。最後に倒れるとはどうにもしまらんが。〕「心配はしてなかった、悠輝はやる時はやる男だからな。さて、あとは俺たちが勝つだけだ。」玄武の言葉にうっすら笑みを浮かべながら雄二に話しかける。「お前の兄貴は敗れたみたいだぞ。残るはお前だけだ。」「畜生、無駄に硬い体しやがって!!散々僕らにボコられてたくせにぃ!!」玄武の力で全身型憑依をした堅悟は限定憑依時よりもさらに防御力が上がり、何者をも寄せ付けない人型の要塞と化していた。有り余る硬さによって雄二の攻撃は受け止められ、放つ風は霧散させられていた。
「でも硬いだけじゃ僕に攻撃当てられないよね!そんなに重そうな身体じゃ動くのもやっとだろう?だから君は受けに徹してるんだろ!!残念だったね、あそこでぶっ倒れてるから加勢は来ないよ!!」苛立ち交じりに雄二が声を上げる。事実、堅悟は自分から積極的に攻撃をしていなかった。ただ、それは悠輝の戦いや後ろの花蓮たちに被害が出ないように配慮しながら戦っていたからだ。
「お前、俺たちが攻撃できないとでも思っていたのか?」〔幼稚な考えじゃのう、戦いは大局を見据えて動くもの。独りよがりな行動では誰もついて来んよ。ではギアを上げるか、堅悟!〕「あぁ、やろう。玄武」「〔下部二門反転起動・・・着火!!〕」堅悟と玄武の声に反応し、背に背負う砲台の足に近い二門が逆を向いて火を噴く。「ガ八ッ・・・」攻撃は来ないと高を括っていた雄二は堅悟の急な動きに反応できず跳ね飛ばされる。「なんだよそれぇ!お前攻撃できないんじゃなかったのか!!」口から血をまき散らしながら雄二が叫ぶ。
堅悟は背の砲台を逆向きに噴射しその勢いで高速移動を可能にしていた。もちろん直線移動だけしかできないなんてことはなく、細かな制御は玄武がフォローしている。まるで岩のような巨体が凄まじい速さで突っ込んでくる威圧感は相当な恐怖だろう。完全に堅悟に意気に恐怖し気の動転した雄二はあろうことか熱が出て思うように動けない花蓮を人質にとる。「おいお前!この女を痛めつけられたくなかったらそれを解除しろよ!!この女がどうなってもいいなら別だけどね!ぎゃははは」「〔屑が・・・!!〕」今までは比較的冷静さを保っていた堅悟に憤怒の形相が浮かぶ。滾る思いを胸の内に宿しつつ、自分の感情を制御する。
「花蓮姉ぇ、何度も怖い目に合わせてごめん。今から少しだけ、俺を信じて目を瞑っていてくれないか・・・?」「お前その距離から何かできるとでも思っ」「えぇ、信じているわ。堅悟。」雄二の言葉を遮り、花蓮が言葉を紡ぎ目を閉じる。その瞬間、砲台から膨大な水流が放たれ、轟音とともに雄二が吹き飛ぶ。その隙に堅悟は花蓮の下まで走り寄り、自らの背に庇うかのように悠然と立ち塞がった。
「お前は俺の前で二度も、やってはいけないことをした。」〔お前が軽率に犯したその行動はワシらの逆鱗に触れた。〕普段は温厚である堅悟と玄武が今は烈火の如く怒っていた。自分の一番大切なものを軽々しく傷つけるような真似を、許すことはできない。「故に!!俺たちがお前に裁きを下す!!」〔ワシらの怒りを受けるがよい!!〕背中に花蓮の視線を感じながら、堅悟と玄武の沙汰が下る。堅悟の背にある砲台が全て雄二を捉え、その全てから青く輝く光の奔流が発射される。
「〔全砲門、斉射!!大海原の憤怒!!!〕」
轟音と暴風がやんだ後、あまりの砲撃の反動に堅悟は少し後ろに押されており、狙われた雄二はというと屋敷の壁をぶち抜き、屋外まで吹き飛んで気絶しているようだった。「こちらもこれで片付いたな。」〔うむ。ワシもすっきりしたわい。〕「あそこまで玄武が怒るとは思わなかった。」〔バカ言え、堅悟とワシは一心同体。ヌシの怒りはワシの怒りだからのう。〕「そう・・か。」どさっと。安心のあまり気の抜けた堅悟もその場に倒れた。「堅悟!?大丈夫?しっかりしなさいよ!」大切な人の焦った声を感じながら堅固は意識を手放した・・・
戦闘シーンの描写は難しい・・・考えてるときは楽しいんですけどね。
さて、戦闘は終わり。次からはゆったり行きますか。