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霊獣憑依者の日常生活  作者: リヴェ
11/20

09;記憶

昨日投稿できなかった分今日は多めに投稿したい・・・とは思いますがなかなか話が進まない!

今回はちょっとした過去編?そんなに長くはないですが、どうぞ!

 「ただいま~何もなかった?雄二」「おかえり兄ちゃん。こいつ殴っても蹴っても反応薄くてつまんないよ。それで、目標は達成したの?」「ちょっとばかり邪魔が入ったけど、ほら。雪園さん。ちゃーんと攫ってきたよ!じゃあ雪園さんは間島さんと一緒にいてもらおうかなー。さすがに疲れたから僕はちょっと休むね、雄二見張りはよろしくね~。」そう言って屋敷の奥へ引っ込む雄一。


 「間島さん!?それに堅悟君も・・・それにひどい傷。っ!!」連れてこられた翠は昨夜に攫われた花蓮と、少し離れたところに悠輝と同じように脚が変化している堅悟に気付き息を飲む。「あなたも連れてこられてしまったのね、雪園さん。」高熱が出ているため花蓮は辛そうである。「そんな・・・堅悟君もだなんて・・・」「堅悟の脚のこと?何が”も”なのかは知らないけど私たちとは違う、双川君たちが言うにはバケモノなんだって。」翠は自分が連れ去られた校庭での出来事を話した。「そう、白峰君が。前に堅悟と一緒に図書室に来ていた彼もね・・・」「はい・・・。」突然知人が人ではないと突き付けられた二人。堅悟は相変わらず沈黙しているし、悠輝はボロボロになっていた。この窮地でどうすればいいのか迷っているのだろう。不安を打ち消すかのように翠が尋ねる。「ところで、間島さんと堅悟君は知り合いなんですか?」「えぇ、家が隣でね。途中で堅悟が出て行ってしまったから会うのは相当久しぶりだったけど。」昔を懐かしむように花蓮がほほ笑む。「そう言うあなたこそ、白峰君のことを随分気にかけているようだけど?」「実は・・・」翠は記憶を辿りながら話し出す、千切れたネックレスを握りしめながら・・・


 翠は幼いころの記憶があいまいだったと。ある一定の時以前の記憶が霞がかったように思い出せないことを。それはあまりにも仲が良かった悠輝と翠が離れることの影響を考えて組織が施した封印の様なものだった。最後の記憶は仲の良い友人との別れ際、物を贈りあった記憶。それは小さな子供が買えるくらいの簡素な贈り物。どこにでもあるような飾りっ気のないネックレスとありきなりな空色の髪留めの贈り物。

「○ちゃんにはこれ、あげるね!」「私からはこれ、○○くんにあげる!絶対忘れないでね!」「うん!ずっと、毎日つけるようにする!」という名前と顔に靄がかかっていたような記憶を。

記憶は晴れた、今まで霞がかっていた記憶は千切れたネックレスとともに思い出した。強い思いのこもった品の起こした小さな奇跡だった。千切れたネックレスは以前に翠が悠輝に贈ったもの。どおりで何故か見たことがあるものだと思ったものだ。今までずっと暖かい記憶の中の人物はすぐ近くにいたのだ。そう意識すると自然と顔が緩んでしまう。


 話を聞き終えた花蓮が「そう・・・あなたは白峰君が好きなのね。」とほほ笑む。「そう・・・なんですかね?でも彼は・・・。」「私たちとはきっと違うわね。私と、堅悟も。でも、仮にバケモノだったとして何が問題なの?今までの関係が”たった”それだけのことで変わるの?」「間島さんあなたは・・・。」「私は堅悟を信じてるから。今までも、これからもずっと。」力強い言葉で花蓮は言い切る。それは仮に堅悟が人間でなくても一緒にいたい、一緒にいる。という彼女の想いだった。花蓮は確かに堅悟の姿を見たときは驚いたが、そんなことは気にしていなかった。無駄に気にしていたのは堅悟だけだったのだ。連れ去られたのにも関わらずそんなことを話している女子たち。 離れて沈黙していた堅悟が僅かに、動いたような気がした。



 「○ちゃんにはこれ、あげるね!」「私からはこれ、○○くんにあげる!絶対忘れないでね!」「うん!ずっと、毎日つけるようにする!」いつの記憶だったか・・・深い微睡みの中ぼんやりと悠輝は思う。昔こんな出来事があったような・・・?〔・・・きろ、起きろよ!悠輝!いつまで寝てんだ!〕ハクの怒鳴り声で目が覚める。いつの間にか時刻は夕暮れ時、そこには雄一も翠もいない。ボロボロになった悠輝だけが残されていた。「俺は双川君を止められなかった・・・。雪園さんをも危険にさらしてしまった・・。」沈んだ声で悠輝が呟く。〔そう自分を責めるな、悠輝。双川のやつは雪園だけ攫って撤退した。他の人に被害は出てない。やれるだけのことをやったじゃ〕「よくない!!やれるだけのことをやった!?敵の手にみすみす雪園さんを渡してか!?俺はただの一人も守れなかったじゃないかっ!!」ハクの言葉を遮るように悠輝の悲痛な叫びが響く。

 ボロボロの体を引き摺りながらヨロヨロと悠輝は歩く。〔おいおい、無茶するなって!いくら俺が憑依してたからって傷は深いんだぞ!?〕ハクの言葉を聞き流し歩き続ける悠輝の足に、コツンと何かが当たった。下を見ると砂まみれの何かが転がってきたようだ。ふとそれを拾い、手に取ってみる。それは、砂にまみれ色が褪せてしまっている、ありきたりな小さな髪留めだった。

 「絶対、忘れないでね!」・・・瞬間、悠輝の頭に過去の記憶が鮮明にフラッシュバックする。悠輝も気が付いていなかった。以前の約束を、誰と交わしたのかを。その相手はすぐ近くにいた事を。そしてその彼女をみすみす危険な場所に連れ去られてしまったことへの怒りも。

「うおおぉぉぉぉ!!!あああぁぁぁぁーー!!!」茜色の校庭に悠輝の獣のような咆哮が木霊した。

悠輝と翠の記憶が鮮明に。そして告げられる花蓮の思いと覚悟。堅悟は復活するのか!?次回に続きます!

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