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4章80話 イチャイチャは欠かせないのです

すいません、さすがに間に合いませんでした。

後、下ネタ注意です。

「ハアハア……一撃も当たらねぇ……」

「主様……すごいの……」

「さすがに手を抜く気は無いからね。それにキャロも完全じゃないから仕方ないよ」


 僕の指摘でエミさんは少しだけ気を付けて戦っていたみたいだけどまだまだだ。それにキャロは確かに才能があるけど完全ではないからね。気を抜かなければ対処は出来た。……まぁ、気を抜いたら攻撃を受けていただろうから鍛錬とはいえ本気でやっていたけど。


「それじゃあ、休憩にするよ。一応……かなりの時間、動きっぱなしだったからね」


 時間にして三時間くらいかな。

 ところどころ小さな休憩はしていたけどエミさんはほぼほぼ休んでいなかった。体が温まったのを冷ましたくないって素振りとかしていたからなぁ。汗をかいてはいるようだけど一切、動きに疲れを見せないのはさすがだと思う。


「皆を呼んでくるから待っていて」

「おう、それなら打ち合おうぜ」

「分かったの」


 笑って手を振ってからその場を後にする。

 素直に僕や客のような存在のエミさん達にしっかりとメイドとしてやってくれるキャロに頭が上がりそうにないな。連れてきて本当に正解だった。ここまで僕のために動いてくれると……頑張ってくれたキャロのために何かしたくなってくるな。その点で言えばキャロの大槌とかを新しく作り直してあげたいところだけど……。


 まぁ、それは後回しか。

 作りにしてもまた素材集めから始めなきゃいけないし能力とかを考えて作らなきゃいけない。一番に良いのはキャロ自身が心器を出せるようになることだけど……それを当てにしていたら作るのがいつになるのか分からなくなるな。心器を見た後なら能力が被る危険性とかもなくなるから構成しやすいんだけどね。……それは頑張った報酬として武器を強請られたらにしよう。こうやって色んなことを考えてしまうから上手くやらなきゃいけないことも出来なくなっていたわけだし。うんうん、時間に余裕が出来てから、これを頭の片隅に置いておこう。


「……また考えておられますね」

「いや、逆にまとまったところだよ」


 意識をどこかへと放っていた僕も悪いけど……やっぱり、何度受けてもイフの背後からの声は慣れそうにないな。意識に語りかけてきていたスキル時代とは勝手が違いすぎる。


「休憩しようかと言い出しそうだったので、ユウとイアは先にマスターのいた場所へ向かわせました」

「……仕事が早いね」

「ええ、マスターとは一心同体ですから」


 イタズラっ子で僕よりも考えて行動している癖にこういう時には純粋無垢な笑顔を浮かべてくるのだから心臓に悪い。驚かせてくることもそうだけどギャップで心臓が何個あっても耐えられなさそうだ。


 ただ……少しだけ残念だったりする。

 仕事が早かった分だけどんなことを教えていたのかは分からないし、ユウがどんな表情だったかとかを知る機会の一つを失ったわけだからね。まぁ、今日で教えるのをやめるわけではないから明日でも時間を置いて見にくればいいだけなんだけど……目の前のイフのせいで出来そうもない。


「安心してください。ユウの可愛いところをまとめた動画を作ろうと思って撮っておいたビデオがあります。寝る時にでも私がマスターの中に入って夢として見せますよ」

「……うん、嬉しいよ。嬉しいけどさ……そんな若くて可愛い子に話しかけられたオジサンみたいにハアハア言わないでくれない……?」

「いえいえ、気のせいですよ。マスターの中に入れて喜ぶ人なんていません。まぁ、私は人じゃないんですけどね」


 えっと……遠回しに喜んでいると……?

 別に僕のためにやってくれるからイフを気持ち悪がったりとかはしないけどさ……なんか容姿端麗な子がそれをやると……変な気持ちにされてしまう。演じているんだろうけど目元も少しだけ嫌らしい感じにしているし……これはこれでアリか……?


「……もういいや。とりあえず今晩にでも見せて欲しいかな。……いや、待てよ。もしもイフの記憶のデータを何かの道具で写し出せれば……もっと広範囲で見ることも……」


 そんなことを考えていた時だった。

 片耳がすごく痛くなった。その後に大きな声で「あー」って言われたものだから、されて数秒間は形容しがたいほどに耳がおかしくなった。ようやく通常の耳が戻り始めてからはずっとキーンと聞こえていたり、脳が直接揺れたような感覚に襲われ続けている。


「私を無視しだした罰です!」

「イフ……後で覚えておけよ……」


 吸血鬼だからこそ、魔法があるからこそ耳がおかしくなっても回復魔法だったり自己回復で治っているものの……日本だったら死んでいたぞ。これはやり返されても問題は無いはずだ。それこそ、さっき考えていた紳士専用の道具をイフに使わせてやればいいだろう。人と元スキルの色んな意味での感じ方をノートにでもまとめさせよう。それが一番いい。僕が何かバツをあたえてもどうせ喜ぶだけだ。


「……一瞬だけ心が読めなかったのですが何をしたのですか?」

「何もしていないよ。ただ……まぁ……」


 読まれていたらバツにはならないよね。

 僕から何かをしたつもりは無いけどイフが心を読めなかったということはとてもありがたい。試運転する必要性があったんだからイフで試せばいいさ。ふっふっふ……いつもいつも童貞童貞と馬鹿にして過ぎたイタズラをしやがって……覚悟しろ。


「あの……怖いのですが……」

「大丈夫だよ、僕からは何もしないから。イフがしてくれないって言うのならイフのことを少しだけ嫌いになるだけだしね。何も問題はないさ、やってもらいたいことが増えただけに過ぎないよ」

「……早口で聞き取りづらいです。……一体、何をさせようと……」


 僕からは何もしませんよ、ええ、僕からは。

 と、イフに時間を使い過ぎたな。きっとイフならやってと言えばやってくれるだろう。イフを抱き寄せて後頭部を撫でてあげる。大丈夫、変なことに使いはしない。イフは少しばかり僕を怒らせてしまっただけだ。


「えっと……すいませんでした……」

「謝る必要は無いよ。僕は変態だからね、好きな子からされたことはなんだって喜んで受けるだけだからさ。だから、イフにも僕がやって欲しいことをしてもらいたいだけだよ」

「……裏のビデオに出演させようとしている悪い男の言いそうな言葉なんですが……」


 いやいや、大切なイフのそういうシーンの映像だったり感想だったりを、他の男に見せる趣味はサラサラないからね。確かに変態かもしれないが寝取り寝取られ系は僕には合わない。


「まぁまぁ、その話は後にしよう。ほら、一緒にリリ達のところに行こうか」

「……無理やり腕を組ませてきて……いえ、今はこの状況を楽しませてもらいましょう。……もしかしたら夜のお誘いをされる可能性もゼロでは」

「いや、それはゼロだよ」


 なぜに僕の周辺の人はそういう関係になろうとしたがるのだろうか。別に性的関係になることが好意を示す行動ではないだろうに。本当にそこだけはよく分からない。……あんな行動になんの意味があるのか分かりやしない。もっと言えば分かりたくないかな。


 自分で済ませられることなら自分で済ませばいいと思うし、自分以外を傷つけるような結果になりそうなことは極力したくはない。そんな関係に至ったところで裏切る人は裏切る……それなら僕は純粋なままでいたい。


 僕の気持ちを感じとってくれたのか、その後にイフは何かを聞くことも無く隣にいてくれた。度が過ぎた悪戯をしてこなければ出来た奥さんになりそうだなって思うよ。家に帰ったら死んだフリをしてきそうなくらいに面倒くさい性格をしているとは思うけど。……ただ腹が立つほどに愛らしい性格をしているから許せてしまう。それは可愛いと思ってしまう僕が悪い、のかな。


「……イチャイチャしてる」

「悪い?」

「……シロも混ぜてくれるのなら別にいいよ」


 また自分の思考の沼にハマりかけた時にシロから話しかけられた。イチャイチャに怒っているようだけどシロは割と簡単でいい。しゃがんで目線を合わせてから頭を撫でれば機嫌を直してくれるわけだしね。これで大人の女性は名乗れないと個人的には思うんだけど、シロからすれば関係ないんだろうな。まぁ、可愛いから個人的にはいいんだけどね。


「ギド……いきなり来て何かあったのか?」

「ううん、全体休憩をしようと思ってね。それで呼びに来たところだよ」

「……そうか、てっきり見せつけに来たのかと思ってしまったよ」


 冗談交じりに笑って言ってくる。

 本当にキザな笑い方だと思う。女の子なはずなのにどこかイケメンが言うようなカッコ良さが、その笑みにはある。僕にはない、童貞では無い笑顔だ。もしかしたら、その要素が無くなればイフから童貞煽りを受けなくなるのかもしれない。……笑い方について後で聞いてみようかな。とはいえ……。


「ごめん、人のイチャイチャって見ていて楽しいものじゃないよね」

「気にしなくていいさ、君のせいで慣れたよ」


 もしもこの笑みが自分の気持ちを隠すための、偽物の笑みだった時のために謝っておく。リリは人のイチャイチャを見て苛立つような人ではないだろうけどさ、謝っておいて損は無い。それに自分がする側に回ってしまったせいで、見せられている側の気持ちを考えないようになってしまっていた。後、見せられることに慣れても良いことなんてない。


「今度、リリが隣に立ってくれるかな?」

「……光栄だね。楽しみにさせてもらうよ」


 今度は絶対に喜んだ時の笑顔だ。

 ……確証はないんだけど何となくそんな気がするんだよね。こういう時の勘っていうのは割と馬鹿にならないものだ。それに仮に喜んでいなければリリの性格上、口に出しているだろうから喜んでいると思う……いや、思いたい。


「エルドもしてもらいたい?」

「……いえ、私は……」

「冗談だよ、僕にそういう趣味はない」


 ……少しだけ頬を赤らめたのは見間違いだ。

 うん、忠誠心の高いエルドだからこそ、僕が望めばそういうことをしてくれそうだけど、喜んでするような性格ではない。……ないよね? 弟の、それも男とそういう関係になりたいなんて思わないよ。これはきっと……兄弟として遊びに行けるから喜んでいるんだと思う。頬を赤らめたのだって、見間違いじゃないとすれば男女の恋愛的な意味じゃなくて嬉しさから出たものだろう。




 そうだと信じている!

書くついでにプロット見直したのですが……もう少しだけ4章を長引かさせてください。5章に繋げるためにもう少しだけ書いておかなければいけない要素があるので三十話くらいは……続きそうな気がします。少しシリアスな中身を書くこともあると思いますが、のんびりと読んでもらえると嬉しいです。


そして総合評価千八百越え、ありがとうございます。

六月を終えるまでに二千越え……出来るといいなぁ。


次回は金曜日までには投稿します。

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