2章5話 片付けはとても面倒くさいです
前話の最後が気に入らなかったので書き直しをしました。話が繋がっていないな?と思う方は前話の最後だけ見て貰えると繋がると思います。
コーザ達が運ばれていく。
特にかけるものもなかったので単純に医務室に連れていかれるようだけど、周囲の目が痛いね。多分、僕が勝つと思っていた人なんていなかっただろうし。
「……ねぇ! 君!」
考えに耽っていた僕に女性の冒険者が声をかけてきた。綺麗だけどミッチェルやセイラと比べれば少しだけ劣るかな。異世界テンプレなのか、女性の顔のレベルは高い。男性はイケメンは多いけどそういう人は冒険者にはならないみたいだね。
要は男性冒険者は平凡な顔の人が多い。
その分、女性冒険者とかは数少ないようだけど。
「どうかしましたか?」
「あのさ! 私達とパーティを組まないかな? そこの子も一緒に!」
大方予想していたけど当たってしまうとは……。うーん、パーティを組むのは悪くなさそうだけど必要性がな。
女性のステータスは低くはないし成長率も悪くはない。HPに関してはAを記録している。これは天才と呼ばれる部類だね。それにレベルも僕達とはかけ離れている。レベルが六十台とか初めて見たんだけど……。
でもミッチェルの成長率をよくよく見てみると速度とか、物理攻撃がSだしあんまり輝いて見えないんだよ。……贅沢といえば贅沢だけど。
それに承諾したら周囲が怖いしなぁ。
なんか「あの俺達の憧れ『鉄の処女』が」とか言っているし。パーティの名前がアイアンメイデンを匂わせる名前は少し怖い。
それは置いておいてもこの人のパーティがギルド内でも上位にいるのは分かる。なんでもありで戦えば僕が勝つけど、魔法抜きならこの女性に勝てないだろうし。
今だけ、とかそういうなあなあな関係や考えは断じてダメだ。絶対に遺恨を残す結果になるから。
ミッチェルの顔を見ても僕に任せるみたいな顔をしてくるし。……じゃあ、決めた。
「すいませんがお断りします」
「……理由を聞いてもいいですか?」
おわ、新しい女の人に話しかけられた。
ちっちゃくてよく見えなかったな。フードをかぶっていてうっすら見える目で僕を見てくるし。
「まず僕はあなた達のパーティを知りません。それでいてギルドに加入したばかりだというのに、こんな人達に絡まれたり助けてくれる人もいませんでした。自己責任なので仕方がないですが、あまり他人を信用出来ないのでお断りします」
他にも僕の本当の力を露見させたくないこととか色々あるけどね。その中で一番説得力のありそうな言い訳だけど、さて、どうかな。
「……それは仕方がないですね」
おーフードの人が諦めてくれたのかな。
それを聞いて最初に話しかけてきた人も頭を縦に振っているし。
「ふーん、でも仲良くする分にはいいんじゃねえのか? あっ、よろしくな、坊主」
鎧も着ずに剣を背負う女性がそう言った。
そう言われてもなんとも返せないので会釈だけしておく。
「オレはエミって言うんだけどよ。一応はこの鉄の処女のリーダーだ。んで、なんで勧誘したか気になるよな?」
「どうでも……いえ、気になります」
怖っ、どうでもいいって言おうとしたら威圧を放たれたぞ! どこの世界でも女性優位で強いのか……。あっ、ミッチェルになら尻に敷かれてもいいと思うけどね。
「そこのフード、イアって言うやつがお前の戦いを気に入ってな。男嫌いのイアが男を気にいるのは珍しくてつい勧誘してしまった」
「なるほど」
「んで、見て分かる通りオレじゃあ勧誘には向いていねえ。色仕掛けしようにもオレを好きになる男はいないだろうからな」
とは言ってもエミさんは普通に綺麗だ。
言葉が粗野で荒々しさはあれど大きな体には見合わない細い腰周りと大きな胸。短く切られた金髪の髪がなびけばいい香りが漂う。そして荒々しさに隠れる少しだけ垂れた優しそうな目。
女性としてなら普通に圏内です。
「綺麗ですよ? 別に言葉遣いとかは気にしませんし」
「んん? おお、そうか。……普通に嬉しいな。って、そうじゃねえ。それでそこの鎧を着たリリに任せたってところだ」
「そうですか」
少し顔を赤くしている。多分、言われ慣れていないんだろうな。……そういう所を可愛いと思ってしまうのはギャップ萌えというやつなのかな。
イフ、冒険者が他人を助けなかった理由ってやっぱり何かあるの? それともただ単に僕が嫌われていただけ?
【先程言っていた自己責任で間違いないです。冒険者になったからには自分達のことは自分達でというのが普通ですし、コーザ達のパーティは悪い意味で黒い所との繋がりがありますから】
それは僕が後々怖いね。
【いえ、相手は貴族ですがグリフ家が何とかしてくれるでしょう。そこはセイラが紋章を与えた時点で分かりきっていたことですし】
おー、感謝感謝。
まあ強くならないといけないみたいだけどね。もしかしたら仕事を減らすとかが無理で直接攻撃してくる可能性もあるし。それなら仲良くするっていうのは悪くない手かも。
「とりあえず、これからよろしくお願いします」
「おっ、おう。これはいくらか信用してくれたってことでいいのか?」
首を縦に振る。
握手をするということはそう意味合いで合っている。憧れとか言われている時点でランクがある程度高いのは分かるしね。
「えっと、イアさんもよろしくお願いします」
「ん、イアでいいよ。……おっきい手……」
行動の節々が可愛らしい。
顔はよく見えないけど握手しただけで頬を染めたりするのはとてもいい。体もちっちゃくて見た目だけでは他の二人に比べて弱そうに見えるけど、全然強い。タイマンで魔法抜きなら負ける。
というか、三人全員に言えることだけどカース系の呪魔法が使えないなら僕は勝てないだろう。多分、素手でやっても僕の負けだ。それでも僕を気に入ったっていうところが不思議だな。何かあるのか?
【彼女はハーフエルフです。エルフの血族には共感と呼ばれる心を通わせる力があり、それがマスターに対して発動したのでしょう】
共感ね。
それにハーフエルフか。顔を隠しているのはそのせい?
【そうですね。冒険者ならば顔を隠すのは自由ですしハーフは想像している通り禁忌とされています。純粋な血族には忌み嫌われています。ましてや彼女は】
おっと、その続きはいらないよ。
当人のことは当人が聞いてこない限りは聞かない。日本ではプライバシーとか、そういうことで生活環境を聞くのはご法度だったからね。それに聞いたら態度が変わってしまうかもしれないから今はいらないよ。
【了解しました】
さて、次だ。
「よろしくお願いします、リリさん」
「……眩しい笑顔だ。美男美女のパーティと知り合えて私は嬉しいよ」
うわー、なんかナンパ師みたいな口調だな。
これで顔がブサイクだったら救えなさすぎる。それでも着ている鎧や腰に差した三本の剣、背中に巻き付けられた大盾を見れば凛々しさを感じてしまうけど。
あれだね! 話をしなければこの人は美しくてモテそうっていうやつだ!
「僕はギドといいます」
「私はミッチェルといいます。ギドさんの仲間兼メイド兼恋人をしています。よろしくお願いします」
「そうそう……って、おい!」
いきなりの爆弾発言に鉄の処女の三人が色めき立つ。少しだけイアから殺気が漏れているのはきっと気のせいのはずだ。
「そりゃあ、奪われそうなら抵抗するよな」
「これが格差というものか。……だが、それを見ているのもまたいい。出来れば混ざりたいものだ」
「……ライバル……」
「……もう、それでいいです」
別にミッチェルと恋人とかでも嫌な気はしないからね。……ただ矜恃くらいは持って欲しいよ。付き合いたいとか好きとかと、誰よりも信用しているっていうのは違うことだ。その内とはいえ何でも話せるような相手になってくれるまではプロポーズも出来ない。
「……話はそれくらいでいいか?」
「ギルドマスター、何かあったのか?」
「……ギド君に話があるだけだ。それと話は聞いているから身構えなくてもいい」
一瞬だけエミさんから強烈な殺気が放たれた。その方向はジオであって何かを咎めようとしている、そんな雰囲気のものだ。
「大体ギド君が決闘をしたことで何か注意すると思ったのだろうが、そんなことは一切ない。逆に彼らは調子に乗っていたことで本当の話は聞けたからな」
「それならいい。イアが認めるだけの存在だ。勝手に潰すようなことがあればオレ達は冒険者を辞めるからな」
「……そこまでか。いや、自由だから構わないよ」
そんな二人の掛け合いを横で見ながらミッチェルを撫でていた。主に精神的な部分でミッチェル成分が足りなくなってきたから。
鉄の処女とジオの話が終わって冒険者達に喝が入る。主に「なぜ助けなかったか」についてだが出てくる言葉はイフの言う通り自己責任論ばかりだ。ジオは少し呆れていたが納得するしかないようで僕とミッチェルに対して「これからはこんなことがないように励む」と謝罪された。それと迷惑料として金貨も貰えたので万々歳だ。
ちなみにコーザ達はこれから尋問を受けるらしい。
今回のことで犯罪まがいのことや、恐喝、強姦などを自白してしまったらしい。ジオと話をしている時に走ってきた受付の人がそう言ってて笑った。曰く僕が怖くて口を滑らせてしまったらしい。この後、口を噤んだとしても兵士の尋問に耐えられるとは思えないけど。
こんな下っ端以下の下っ端を後ろ盾としている貴族が救うとは思えないし、ひとまずは安心してよさそうだ。
僕達は後片付けを終えジオの後ろをついて行った。通されたのは午前中に来た部屋で違うことは先にセストアが座っていることだろう。
セストアの隣のソファーにジオが座り僕達に座るように合図を出してくる。軽く会釈をして席に座るとジオが口を開いた。
鉄の処女が登場しました。
そしてヒロイン候補が新たに三人……?
どうなるかお楽しみに。
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