4章74話 真のイチャイチャです
身勝手ながら先に出していた話を削除させていただき書き直して投稿させていただきました。詳しくは後書きにて書いておりますので宜しければ読んでもらえると幸いです。また下ネタ成分は残ったままですので嫌いな方は飛ばしてもらえると気分を害さないかと思います。
「んあ……あぁ……」
重い頭を無理やり起こして搔く。
お腹に変な違和感があって見てみると瞳を閉じたまま離そうとしないエルドがいた。反対側にはウサ耳の少女、キャロがいて……うん、こっちのせいで少しだけ変な気持ちを抱いてしまいそうだ。何よりも朝起きたばかりで男性ならではの特徴があるから他の人に見られてしまうと……。
軽く震えてしまった。
アミやユウにでも見られたら軽蔑だけで済むのだろうか。最悪はパパ嫌いみたいな雰囲気を感じなければいけなくなるのかもしれない。そうなってしまえば耐えられそうもないから早くキャロだけは引き離しておかないとな。
「……ああ、思い出した」
周囲を見渡してようやく眠ったままの頭が動いてくれた。高いベットだからといって僕の部屋は僕が安心して過ごせるための空間だ。さすがに大きくても三人が寝るにしては狭すぎる。そりゃくっ付いてでも自分の場所を作ろうとするよね。ええっと……他に昨日の出来事を思い出す何かは……テーブルの上に空いた酒瓶がいくつかあることか。
いや……まさかとは思うけどね。
キャロは少しだけ精神的に無理だったからエルドの口に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。微かだけど酒の匂いがしたから間違いはないかな。ここで目を開けられたら飛び退いてしまっていただろうけど、こんな時はテンプレが働いてくれないみたいで助かった。
「イフめ……覚えておけよ……」
ああ、少しだけ思い出してきた。
絶対にこの酒は普通の酒じゃない。
これでも僕は状態異常には強い耐性があるんだ。それは何も魅了とかそういうのだけに留まったりはしない。アルコールも一種の毒として扱われるはずだから効かないはずなんだけど……イフが細工をしたなら話は別だろう。この酒はイフから手渡された酒だからね。
よく考えてみればおかしい。
起きたエルドを祝った後に泣いて喜んでいたキャロと、自分のことのように喜んでくれるキャロのせいでエルドが泣いた。そしてまた貰い泣きしたキャロが泣いて……ここまではまだ感動的な名場面で済むと思うけどさ。宿で泣いたら他の客に迷惑になるとか、それで止めているうちに面倒くさくなったから酔わせて寝かせようとしたらイフがこれを渡してきたとかさ……うん、狙ってこれを渡したとしか思えないよね。
って……待てよ……。
すぐにトイレに駆け込んで股間にあるアレを見てみる。大丈夫、変なことはされていない。……多分だけど。思い出せ……寝てしまってから変なことはしていないよな……。もし自分から何もしていなくてもイフが何かをしている可能性もある。ただイタズラとかはされていない。貞操帯とかを付けられている可能性もあったからね。アイツならやりかねない。
「……ふぅ……」
「何ですか? 朝からお盛んですね」
バッと振り返るとイフがいた。
古典的な指の間に隙間を作って「きゃー」とか棒読みで下の方を見てくる。……なんか隠したら負けの気がするから隠したりはしない。というか、スキルの時から何度も僕の裸は見ているだろうから今更な気がするし。
「ええ、いつにも増して貧相な」
「煩いな、誰の股間が消しゴム並みだ」
「言っていませんよ。思ってはいますけど」
それならダメじゃん……。
ってか、ピンポイントで消しゴムって当たった自分をすごいと思うし、何よりも悲しい。やっぱり平均よりも僕のアレは……泣きそう。朝っぱらから重い頭の中でこんな悲しみを背負わなければいけないなんて……。
「ふふ、普通の時が小さくても膨張すれば大きくなることなんてザラですからね。それに魔法があるんですから気にする方が負けですよ。いくらでも大きくする手段はあります」
「……こんなことならイフの胸もものすごく小さくすればよかったよ。アイリの悲しみを背負わせておけばよかった」
「あら、小さかったらお嫌いになられていましたか?」
「いいや、全然」
胸の大小は確かに興奮とかの起爆剤にはなる。
けど、それまででしかない。別に小さくても好きなら好きだし小さいなりの興奮する要素があるから……あ、これ以上はやめておこう。自分で考えておいて何だけど気持ち悪いとしか思えなくなってきた。
「逆に聞くけど小さい僕は嫌いかな」
「どこがと言いませんが幼いギド様も愛していますよ。ええ、愛さないわけがありません。個人的には小さく幼いギド様の方がアキには的中でしょうね」
「うん、それは全然違う意味だね!」
あの娘は腐女子だし小さい子が好きだから。
それに……いや、もう面倒くさい。話し続けていたとしてもアキの傷を抉るだけだろうし他の話題を振った方が楽だろう。
「もう、いいや」
「ええ、それがいいと思います」
誰のせいだと……言っても聞かないから気にしたら負けだ。落ち着け、落ち着け……深呼吸をして気を落ち着かせ……って、体を近づけるな。さすがに裸だから抱きつかれたくないんだよ。別に興奮はしない。イフが来る少し前にトイレを済ませたからね。まぁその分、汚いんだけど。
「それで? いきなりトイレにまで飛んできた理由は何ですか? 僕のトイレを見たくて飛んできた変態なんですか?」
「はい、その通りです」
ああ、面倒くさいなー。
どうせ嘘だからすぐに訳を教えてくれれば話も早く進むというのにさ。まぁ、一割か二割には理由として含まれているのかな。それなら確実に嘘だとは言えないのか。こうやって、からかうためにトイレしているところを見たいんだろうし。
「本当は?」
「まぁ、メインは鉄の処女の三名とユウを連れてきたという話をしようと思いまして。ええ、もう割といい時間ですよ。朝食をとるには遅くない時間です」
「分かったから心を読むのはやめようか」
いきなり心を読まれるのはビックリするからやめて欲しい。確かにそんなに遅い時間なのかって思ったけどさ。それでも読まれなくても疑問に思ったら聞いておくって。心を読まれて良い気持ちになんてなりはしない。
「ええ、夜の時間にでも心を」
「言わせないよ!?」
何を口走ろうとしたんだ? コイツァ!?
それ以上、言ったら本当にデコピンでもして止めていたからな。ヤバいことを言おうとしていたのは分かりきっている。ってか、そんなことを考えていたのなら言わずに行動で……いやいやいや、やっぱり何でもない。別にそんな関係を持つのはもっと先の話だ。……だからこそ、今の状況で話すことじゃないね!
「さっきまではミッチェルもいたんですよ。食事も作ってくれたのでシロは今頃、朝食を終えているでしょうね。エルドとキャロを起こして一緒に食事してはどうでしょうか」
「あー……そうするよ。悪いね」
「いえ、マスターのお役に立てることが喜びですから。もしも本当に感謝しているのならお世継ぎを共に」
「あー! お腹減ったなー!」
都合の悪いことは全て無視だ。
ぱっぱと二人を起こしに自室に戻る。やっぱり僕の弟なだけあってエルドの寝顔は可愛い。暗闇の小さな光を外国人のように彫りの深い綺麗な顔が反射して……女子の自撮り並みに綺麗に見える。まさかとは思うが狙ってやっているのか……?
対してキャロもキャロでめちゃくちゃ可愛い。
僕という存在がいなくなっただけなのに何かを探すような素振りを時々見せてくる。枕とかを抱きしめては違和感なのか離して、また抱きしめてを繰り返しているんだよね。あの枕になりたいものだ。
「おーい、二人とも」
「う……ん……」
「すぅ……」
エルドは目を擦って、キャロはそのままで正反対な反応を見せてくれる。どちらにせよ、二人とも可愛くて少しだけ胸がキュンとした。男でそんな気持ちを感じるのは気持ち悪いと思うけど抱いてしまったのだから仕方がない。こうなると……まずは起きそうな人からだ。
「起きなきゃ減給ね」
「……そんなことをせずとも起きますよ。おはようございます、ギド様」
あらら、耳元で言っただけなのにパッと起きてくれたんだけど。いや、エルドなら寝起きがいいのは当たり前か。少しだけ頭が痛そうだからコップに水を作り出して入れて渡す。「ありがとうございます」って笑いながら一気に飲んでくれるとすごく嬉しくなってしまうな。だと言うのに、もう片方の寝坊助さんは……。
「すいません……同僚の代わりに謝罪させていただきます」
「いや、いいんだ。エルドのことを大切に思ってくれていたのは昨日ので分かったからね。泣き疲れたのだから起きないのは仕方ないよ」
ただ……限度があるよね……。
別に意地悪はしないけど起こさなきゃ生活習慣が壊れてしまうだろうし、何よりキャロは顔に出さないだけで結構、気にするタイプだ。例え優しくしたとしてもそのままにしたら見限られたとか思ってしまうくらい繊細な子だから起こしておかないと。
「まぁ、いいや。エルドは先に上がって食事を済ませておいて。後でキャロも連れて僕も行くからさ」
「……お任せします。煮るなり焼くなり」
「変なことはしないよ」
エルドは小さく「冗談です」と笑って部屋を出ていった。エルドはエルドなりに僕との距離感を定めようと努力しているんだろうね。昨日からエルドは本当の僕の家族になったんだ。そりゃあ、前の従者と主の関係とは話が違ってくるだろう。ただなぁ、エルドは僕が奴隷として解放することを望んでくれないんだよなぁ。それくらいが僕にとっての不満かな。家族なんだから奴隷紋を付けるのは好みじゃないんだよ。そんなゲス野郎じゃない。
っと、それは置いておいて。
まずはこの寝坊助さんを起こさないとね。
「おーい、起きろー」
「……」
反応無しか……って、僕の手を取って抱きしめようとしてくるし。上半身を起こしている今の状況で起きないって逆にすごいな。……なんで手だけを胸に押し付けて満足そうな顔をしているのかは分からないけど、なんかムカつく。
「起きないと……イタズラするよ……?」
表情は無反応……だけど手の拘束が少し緩んだ。
心拍数は変わっていないから寝ているのは間違いなさそうだ。言葉に体が勝手に反応しているだけなのかな。よく分からないけどパブロフの犬みたいに僕が命令をするから、僕の声で勝手に反応するのはおかしなことじゃない。
ベットに座り込んで手を解いて頭を撫でる。
しっかりとイタズラはしないとね。大人なイタズラには興味はないしキャロにそういうことをしたいと思っているわけじゃない。だけど、こんなに可愛いんだ。僕も男の子だからからかいたいと思ってしまうよ。
「……ばーか」
嬉しそうな顔をされるのは想定外。
恋愛勝負ならここで負けていた。本当にエルドを先に行かせて正解だったと思う。せっかく話してくれた手をまた掴んでくるし。寝ている時もエルドを抱きしめたりはしなかったし寝ながらでも僕と僕以外の存在の区別はつくのかな。……さすがにそれは驕りすぎか。仲間は全員が僕のことを大好きだって勘違いしてしまいそうになる。
体を軽く捻ってキャロの顔を見る
反対側の手を使うには少し不自由だけど別にいいかな。それよりもしたいことに対する欲の方が強いからね。片手は捨ててキャロの好きなようにさせてあげよう。こんなにも大切そうにされたら頬が緩くなってしまうのは許して欲しい。
「イタズラするからね」
寝たままだから肯定と取らせてもらう。
もちろん、異論は認めるさ。
片手でキャロの耳を弄って楽しむ。柔らかくて何度か折れ曲がっていて可愛い。キャロの一部なのにキャロとは違う何かだと感じてしまうくらいに自由に動いてくるな。それに触っているうちに僕のもう片手も自分の好きなようにしようとしているのか、耳で包んできて本当に愛らしく思えてくる。まぁ、ここまではいいよ。
「んっ……ふぁ……」
「くっ……」
甘い嬌声をあげるのはやめてほしい。布団の端を噛んで声を我慢するのはやめて欲しい。……知らなかったんだよ。兎人にとって耳はそういう感じにさせるものだって。……アニメとかでよく見る耳に息を吹きかけてのような反応をされると本当にドキドキしてしまう。
今ならキスしてもバレないかな……。
いやいや、不意打ちは絶対にダメだ。したいかしたくないかで言えば圧倒的後者だし、やってもキャロなら許してくれるだろうけど僕には出来ない。そんなことをするのは卑怯者だ。逆に勇気のない童貞野郎だと言われてしまいそうだけど。
耳を弄るのはやめる。
だけど、耳が僕の手を話してくれないせいでどうすればいいか分からない。さて……どうすればいいかなぁ。ここまでされて起きると思うんだけど起きそうな変化は一切……。
「ふぁ……?」
「え?」
いきなり目が開かれてびっくりした。
大きな目でこちらを見られてしまうとさっきまでやっていたことのせいで背徳感が……。いやいや、それは起きてくれないキャロのせいだ。そういうことにしておかないと精神的にヤバい。
「あるじ……さまぁ……」
「おーい、また寝ようとするなー」
「えへへ……気持ちいいのぉ……」
寝ぼけているんだろうなぁ。
掴んでいる手を手繰り寄せて何度もキスされている。一回とか二回とかじゃなくて何度も何度も嬉しそうにしているから振りほどいていいものか悩んでしまうな。いや、ほどかなきゃダメか。
「ひゃう!」
「起きろー」
「えっ? 主様? 夢じゃ……あれ……なの……?」
ようやく目が覚めてくれたようで嬉しい限りだ。
起きてくれたおかげで耳による拘束が外れたからね。最後に一回だけ揉んでおいたけど。本当に触り心地のいい耳だなぁ。寝ている時にまたしてみるのもありかな。
「どんな夢を見ていたの?」
「主様と子供を……って! 主様には関係の無い話なの!」
耳をパタパタとさせながら怒ってくる。
うん、控えめに言っても可愛い。最上級な言葉で表したとしても可愛い。ジャパニーズかわいい、この一言に限るな。それだけこのキャロの反応は女の子として満点の反応だ。漫画にしかないほどのウブな反応を見せてくれる。
「ごめんね、僕が耳を触っていたから変な夢を見たんだと思う」
「……心を許している人には触られても別に構わないの。……触られた……えへ……へへへ」
擬音に表すと絶対に変な笑い声だ。
なのに僕も末期なんだろうね。すっごく可愛く感じてしまう。頭を撫でるという反応をするくらいに可愛いと思ってしまう。
「早くご飯を食べよう。待っているよ」
「あ! 一緒に行くの!」
先に出ようとしたら片腕を抱きしめて一緒に歩き始めた。少しだけ狭いから若干、後ろからだけどキャロの豊満な胸を感じられて悪い気は……いや、良い気しかしないね! 何がキャロにとって嬉しかったのかは分からないけどご機嫌なようで僕も嬉しい。少しだけ遅めの食事だけどこんな笑顔を見た後なら絶対に美味しく感じられるだろうな。そんな気がするよ。
今回、話を投稿し直したのは読み直している中で説明するべき点が欠如し、本当に書きたい話ではない話になってしまったからと感じたからです。再度、投稿した場合、記憶と違うと読者に思わせて混乱させてしまうと思った点や、書き直しをしている最中に長くなってしまったため途中で切りざるを得なくなって新しい話として投稿した方が楽だと思いました。ユウとの話は後で書くつもりですが、そこまでの過程が明らかに少なすぎて読んでいて「はて?」と作者自身が思ってしまいました。本当に不十分な内容で投稿してしまい本当に申し訳ありませんでした。また今後、同じようなことをしてしまうかもしれませんが暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
今回のことで少しだけスランプ気味になりましたが次回の話を千文字ちょっと書いてあったので早ければ明日にでも投稿出来ます。ですが、書く意欲が消えてしまう可能性もあるので一週間以内に投稿するということにしておきます。