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2章3話 試験

少しだけテンプレ成分とボケ成分が少なくなってきました。……ネタ考えないと……。

「まず冒険者とは何か分かるかな?」

「魔物と戦う職業ですか?」

「そうだ。冒険者といっても二つに分かれるのだがまずは地域密着型の冒険者だ。これはその密着している場所を好み離れなくなったもののことを言う。ランクが高いものでもそうする人達は少なくない。次に探求型冒険者だ。こっちが冒険者としての想像として描かれやすいものだな。ダンジョンなどに籠り強敵と戦いクランを作る、そんな人達を探求型と呼称している。二人はどっちだ?」

「……僕達は旅がしたいので拠点をどこかにおきながら街にこだわることなく暮らしたいです」

「私もギドさんと同じです」


 ジオさんは頭を縦に振ってから受付嬢に何か指示を出している。


「まず冒険者になるためには何が必要か分かるか?」

「試験を受けなくてはいけないのですよね?」

「試験を受けることもそうだが今回は別だな。グリフ家から推薦が出されていた。……ああ紋章から読み取ったんだ」


 不思議がっている僕を見てジオはそう付け加えた。そうか、紋章にはいろんな効果があるのか。これがあれば連絡手段としては楽になるね。


「それで試験の多くを免除、最終試験となる依頼を受けてもらうことになる。とは言っても他の人達と合同での依頼だけどな」

「合同、ですか?」

「要は新米に戦いを見せて教えるってことだからな。そこまで構えなくてもいい。向かう場所は始まりの地というゴブリン種が多く出る場所だし、異変が起きているという報告もない。それに二人はグリフ家からの推薦だ。ランクの高い冒険者をつけるから心配する必要性は一切ない」


 それはそれで面倒くさそうだな。


『お前……やるな……』

『……本当はこんな力……見せたくはなかったんだけどなぁ……』


 みたいなテンプレが起きてもおかしくはない! まあ万が一ということも考えないといけないだけで、研修みたいなのをしなくていいのはありがたい。


 研修は冒険者パーティに住み込みでやらなければいけないらしいし、女性だと男性冒険者に襲われる事態も起きるらしい。起こっても先輩からの威圧で何も出来ないらしいけど。


 セイラが言っていた。その件に関してはグリフ家も調べているから安心していい、と。手が足りないなら手を貸そう。服とかのお礼だ。


「それで他には聞きたいことはあるか?」

「ランクと上昇した時の試験について知りたいです」

「ランクはF〜SSSまである。S以上から貴族の推薦、SSSで三国の王からの推薦が必要になってくる。ここまでは常識の範囲だな。それで試験は、特に決まっていない。その時の受験者の才能に応じた依頼を受けてもらって成功したらランクが上がる。もちろん、試験なしでランクを飛び級であげる方法もあるが、おすすめはしないな」


 その試験の中で盗賊退治などの人殺しをしなくてはいけなくなる。イフが言うにはそうして対人戦も強化していくらしい。何も敵は魔物だけとは限らないのだから。


 それと飛び級は自身のランクよりも三つ以上、上の依頼を完了させた時に能力や人柄を加味して起こる時がある。その分、周囲からの印象や目をつけられる可能性があるので僕はやる気がない。


 ランクが上がるということはイコール責任が強くなることだし、やりたくない仕事をしなくてはいけなくなってくる。未成年ならではの社会への不安があるし、俗に言うデスマーチなんて絶対にやりたくないからね。


「ミッチェル君は質問はないのかな?」

「……ギドさんがいればどうでもいいです。それよりも早く試験をしたいのですが、いつからやるのですか?」

「……僕も気になります。準備は出来ているのでいつでもいいですよ」


 極力ミッチェルの言葉には突っ込まないようにしよう、うん。変な方に話が脱線しては元も子もないからね。


「ああ、別に今日からでも構わないが、大丈夫か?」


 あー、今日からですか。

 なるほどね、これが遅れた理由でもあるんだろうな。冒険者の準備に時間がかかったとしたら理解しやすい。


 僕が首を縦に振るとミッチェルも同様に振る。それをうんうんと何か確認したらしいジオは後ろで控えていた受付嬢を前に出した。


「彼女が今回の試験官、もとい先輩冒険者だ。よろしく頼むよ」

「……お話に預かりました受付嬢兼Aランク冒険者のセストアといいます」


 綺麗なお辞儀をしてから無表情にセストアはそう言った。


「よろしくお願いします。新人のギドとこちらはミッチェルといいます」

 挨拶も程々にジオは手をパンと叩いた。

「それじゃあ説明はセストアから聞いてくれ。後は頼んだぞ、セストア」

「……任せてください。出された依頼を完遂してみせます……」


 ジオの言葉にセストアは優しく微笑んだ。




 ◇◇◇




「……ここでいいかな……今から魔物を呼ぶわ、準備していてください」


 門を出てすぐの森。

 僕達が洞窟を出て通った森を歩いていた。始まりの地なんて大層な名前が付けられているけど現れるのは雑魚ばかり。それに現れてはセストアに真っ二つにされている。


 そんな中、森の中にある小高い丘に着いた。気分だけでいえばピクニックや遠足だけどそういうわけにもいかないだろう。


 セストアの言葉に僕が返事をすると小さな笛を首元から取り出した。ピーとモスキートーンのような高い音が聞こえる。


「……今のはなんですか?」

「来ますよ。武器を構えた方が良いと思います」


 セストアの言葉と共に僕の首元に向かって一本の矢が飛んでくる。


 危ない、とは思わなかった。こう見えてもある程度の魔物なら倒せるだろうし、矢の速度も遅く見切れる。わざと空間から盾を取り出しながら躱した。想像通り木の陰から見える影は少しだけイラついた表情をする。


 魔物は知能がないもののことを指すらしい。僕のことを指す魔族は知恵のある魔物、という意味合いらしいけど。要は差別用語みたいなものだね。そこにカッコ良さの欠片もない。


 僕が躱したのを見てか、第二第三の矢が僕に飛んでくるけど盾でそれらの直撃を阻む。盾に当たっても衝撃自体は小さなものだし壊れそうな感じもしない。


 さて、やりますか。

 魔物を呼んだのはあの笛だとすれば、これはセストアの試験のようなものだろう。もう少し説明が欲しかった気がするけど、まあ、いいか。


 学校からは推薦を貰ったことがない僕が貰った初めての推薦だ。その期待には答えて見せよう。


「遠距離は僕がやる! 近距離型は頼む! 数は……遠距離十三! 近距離は二十二!」

「分かりました!」


 イフから得た情報をそのまま流しただけだけどそれで構わないはず。最後衛というか様子見している魔物達の上位種が来る前に雑魚は殲滅しておきたい。


 いや、雑魚と一緒にいたとしても僕達は負けないだろうけど、評価的にそれくらいの縛りがあった方がいい。後は力を見せたくないから広範囲魔法で殲滅はなしで。最悪、環境破壊とか起きてしまいそうだしね。


「氷弾」


 視界に関してはイフから得た情報だけで魔法を撃ち込む。考える脳がある相手なら当たらないかもしれないけど、相手は何も考えていない野生の本能だけで生きているヤツらだ。


 十個形成したが貫通したこともあって打ち損じは二体だけ。特に考えることもなく模倣シールドバッシュで吹っ飛ばして倒す。


 相手はゴブリンだった。

 仲間がやられたからか僕の方にも近距離型のゴブリンもこちらに来たが手の薙で倒しておく。一応見えないように遺体を収納して少し奥まで向かった。


 ミッチェルはまだ戦闘中。それなら手の空いている僕が上位種と戦うのが吉だろう。


 そしてそいつはいた。

 盾を構え武器を持たずに近づく僕を見てそいつは笑った。明らかに嘲笑の笑みだ。体躯だけなら僕よりも大きくその体と同じくらいの両手剣を持って見据えてくる。だから嘲笑っているのかもしれないが、逆に僕が嘲笑ってやりたい。


 手で何かを斬るようなイメージで手を横に振った。大丈夫だ、手にはシマさんから貰った武器が握られ大きなゴブリンの得物である錆びた剣を叩き切れた。


 武器は軽い。そのまま盾から手を離して両手でもう一度同じ軌道で斬る。


 そのままゴブリンは倒れてくれた。


「……弱っ」

 いや、弱過ぎないか? だってステータスでは僕の半分はあったからもうちょっと持つと思ったんだけど?


 そんな疑問を持ちながら遺体を回収する。

 僕が強くなっただけ、ならどれだけ楽だろうか。ステータスが倍ほど差が付けばここまで圧倒的になるのかもしれない。となれば倒した相手は力の差を測りきれない雑魚だったのか。


 少しだけ萎える。

 まあ、キチンと冒険者になったらそこら辺も検証してみよう。うん、それがいい。


 そうして来た道を帰っていった。

もうそろそろで話が進みそうです。

かなり引っ張ってしまったな、と少しだけ後悔しています。早く奴隷とかそういう異世界の雰囲気を出したいものです。


次回は2週間以内には投稿します。

興味があればブックマークや評価よろしくお願いします。

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