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4章27話 ミレイです

二十五話の書き足しも終えたので見てもらえると幸いです。書き足しを終え次第、最新話でお知らせしようと思います。

「何をやっているの……?」

「じゃんけんです!」


 一番、活力に溢れているミッチェルが嬉々としながら返してきた。じゃんけんということは何かを決めていたんだろうけど……まぁ、何も意味がなくやっているわけじゃないと思うけど。


 この雰囲気からして見守っているセイラとユウは関係がなさそう。アキは……勝っても負けても表情を買えなさそうだから見ても背景を探れないか。嬉しそうなのはミッチェルとアミとイフ、リリとキャロ……キャロもって言う時点で本当にジャンケンで決めたのかって疑惑があるけど。この感じから察するに……。


「夜ご飯とかを決めるジャンケンかな」

「惜しいかしら。夜ご飯で一緒に動く人を決めているのよ」


 あー、同伴する人ってことね。

 セイラが動くってことは護衛が必要だし僕も一緒に行くだろうしなぁ。ってか、ジャンケンも不平等過ぎるような気がするんだけど。だってさ、シロとロイス、エルドがその中に入っていないんだよ?


「そこは最初から一緒に動く前提です。今回の四人は次回は負けた人と入れ替わりという形になっています」

「あー、なるほどね。それならそこまで悲しむ必要が無いような気がするけど……」

「いつも外へ出られるか分かりませんからね。もしかしたら後で行くと言っても機会を失う可能性もあります」

「確実性がないってことか。……それなら他のことで返すから安心していいよ」


 というか、今日のうちに食事へ行ったら武器作成とかもしたいし。ドレインに代わる武器の代案は結構ある。これを作りたいって言うので一番に欲しいものにする予定だけど。やっぱり厨二心がくすぐられるような武器がいいよね。ギルドマスター達と戦うためにも弱い武器じゃ無理だ。グレードアップさせないと。


「予定としては食事をするだけなの?」

「特に他にやることはないかしら」

「それなら確かに全員で行くこともないか」


 ええっと、ザイライが四人でフェンリルが三人の幻影騎士が五人、鉄の処女が三人、セイラと騎士二人のユウだから……十八人……。うんうん、多いよね。そんな大人数で食事に行くって考えたこともないや。宴会かな?


 とりあえず宴会をするわけではないから人数を分けるのは仕方ない。いつものことと言えばそうだしね。だからこそ、パーティ分けとかもしてあるし。全員で戦うのも動くのも良いけど時間や手間がかかる。


「ちなみに一緒に行くのは誰?」

「今回はギドもいるし騎士の二人には他の人達と友好を築いてもらおうと考えたかしら。ミドが少し気がかりだけど……まぁ、変なことをしたら似るなり焼くなり好きにしていいのよ。後は見て分かる人とユウかしら」

「俺はそんなことしません」

「信用しているよ。まぁ、ミドじゃ僕の仲間に勝てないだろうし」

「……事実でも辛いな、それは」

「そのために麻痺効果のある剣を作っただろ?」

「ああ……そのためにも暇があれば模擬戦を頼みたいよ」

「時間があればね」


 ミドやジルは弱いわけじゃない。

 まぁ、僕達よりはステータスの上がりは低いけど普通の人からすればかなり強いし。同じステータスで戦うのならば勝ち目は五分五分かな。スキルがそのままでも呪魔法とかを見抜かれれば意味が無い。当たらなければ意味がないって言うのは全てにおいて同じだけどね。


 ホテルを出てシロをおんぶしながらユウとミッチェルと手を繋ぐ。ユウもおんぶすればいいんだけど重さより面積がないし。もう少しだけ身長があれば……百八十までは欲しいのに……。


 当然のごとく周囲の目は生暖かいものだ。

 手を繋いでいるのはミッチェルとユウ、おんぶはシロって家族にしか思えないだろうし。ドヤ顔で返しておくけど。そういういかがわしい視線を向けてくる男には殺気で返す。まぁ、そのためにセイラ達が少し離れているのは要らないと思うけどね。


「どこでご飯食べるとか決めているの?」

「えーと、私の調べでいい場所があるのでそこにしましょう。少し値が張りますが貴族としての体裁を汚さなくて済むでしょう」

「らしいわ」


 セイラに聞いたらイフが返答してきた。

 元々、イフが前にいて進んでいたから決まっていたことなんだろうけど。ということはイフが付いてくるのは前提だったってことかな。もしくは僕に情報だけ渡してって言うこともありそうだけど。イフは仲間がいれば喜ぶしね。


「とりあえず近くにいていいよ」

「家族のように見えている人の近くにはいけないかしら」

「近くにいないと守れないから来て欲しいんだけど」

「その体制で守れると思えないかしら」


 それは……確かにそうだけど……。


「威圧で対処します」

「……はぁ……分かったわよ」


 ぶっちゃけ、この体制でも全然に戦えるしね。シロを背負いながらでも関係がないし何ならミッチェルだけでも大抵の敵は倒せるしなぁ。それに魔法を使えば万事解決。本当に魔法って万能だと思えるよ。


 余計に睨まれる結果になったけど関係がないね。この際だから余計に羨ましいと思われることでもしてやろうか。……いや、やめておこう。そこまで性格の悪いテンプレート主人公にはなりたくないや。自分達が幸せならそれでいいし。今のところは威圧でチンピラは対処出来ているしね。


「ここですね」

「おー、綺麗」


 パトロの街が商人の街と言われるだけあって食事処も綺麗だ。白を基調とした……いや、この街ってかなり白をベースに置いているなぁ。白がそれだけ綺麗という言葉を表している色なんだろうね。僕もそう思います。店とかを建てるのなら白を基調とするだろうし。


 それは別にいいか。

 とりあえず御食事処、ミレイという名前の店だけど、名前的に地球の名残を感じてしまう。まぁ、絶対に関係がなさそうだけどね。イフがニヤけているからそんな気がするってことにしておくよ。どこか店の雰囲気が日本の一軒家のように見えるのも関係がないと思う。


「ということで日本の食事を楽しめるお店です」

「ワー、スゴイー」

「まぁ……マスターは薄々、気がついていたみたいですけどね……」


 さすがに棒読みだと分かってしまうか……。

 個室に通されてから少しだけ反省する。


「うん、ごめんね。何となく雰囲気で分かってしまったんだ」

「日本が分かる人ならば気が付くでしょうね……」

「ただ楽しみだよ」


 それは事実だね。僕以外の異世界人がいるかもしれないし、どのようにしてこの世界の原材料から和食を作るかも知りたい。もしも似た原料があるのなら聞きたいところだけど……まぁ、企業秘密だろうなぁ。


 メニューを開く。和食店ならではの料理が並んでいた。例えば生姜焼きとか蕎麦とか、変わり種としてはラーメンとかもあるね。天ぷらやすき焼きもあるから食べてみたい気持ちはある。


「ギドのオススメとかはあるのかしら?」

「分からないけど……師匠はすき焼きとかが美味しいとは言っていたかな」


 割と嘘としてはレベルが低い。

 多分だけどイフの言い方とかで僕が地球の知識があるってバレバレだろうけど……だからって勇者として扱われるわけじゃないから説明しないだけでいいかな。聞かれなければ僕も言わないし。


「……寿司はないのか」


 それは当然か。寿司が出来るとすれば新鮮な魚で酢飯とかも必要だろう。ましてや魚の味も日本と違うよね。マグロを頼んでもマグロじゃない可能性もあるし。それに海から遠いのも理由かな。


「ロイスは何を食べたいの?」

「肉だね」

「それじゃあ、これかな」


 そんな調子で指さしていく。

 メニューも名前が出ているだけで写真がないから分からないしね。イフや僕以外は地球の知識なんてないだろうし。キャロが野菜が食べたいと言った時に何を頼むかは悩んだけどね。結果的にオイスターソースをかけた野菜炒めがあったのでそれにしておいた。


「……なるほどね」


 僕がそう呟いたのは注文を取りに来た店員のステータスを見たからだ。その小声も本当に小さな声で店員には聞こえていないと思う。とりあえず今は話すのをやめておこうと思ったけど、当然のごとく日本に関係する人だった。


「転生ですね」

「そうだね」


 店員がいなくなってからイフにそう言われて僕も返事をした。名前は普通の異世界人らしい名前だったけどスキル欄は料理に一貫した並びで、固有スキルとしても分身などがある。もう二つのスキルは分からなかったけど。


「転生ですか……?」

「そうだよ、あの店員さんは日本っていう異世界人だ。その知識を持ったままでこの世界に来た人だと思う」


 魔眼では名前の横に【転生者】って書かれていたしなぁ。僕以外の異世界人は初めて見る。僕と大差ない感じでこの世界に慣れているみたいだけど。男の人だったから話しかけやすそうだなぁ……。


「ご注文のすき焼き、生姜焼き、唐揚げ、それと付属の味噌汁とライスです」

「うん、ありがとう」

「いえ、仕事ですから」


 受け取った時に営業スマイルとでも言いたげに満面な笑みを向けてきた。いや、どちらかというと営業じゃないかもしれない。僕が笑顔一つで偽っているかどうか分からないのは珍しいな。そこだけは生活の中で培ってきた特技の一つだと思っていたし。


 とりあえず値段よりは少し多めの銀貨三枚を返しとして手渡しておいた。それでも表情を買えなかったので金目的で店をやっている感じではなさそうだ。……って、駄目だなぁ。人のことを自分なりに測ろうとしてしまっている。少なくとも敵ではないのだから安心だけはしていいと思う。


「……これがスキヤキ……」

「そうだね、前に作った肉じゃがに近いタレを使うんだけど……やっぱり僕のとは味が違うな」


 セイラの食事を少しだけ自分によそって食べておく。一応の形だけど毒味係だね。どこで見たりとか聞いたりとかしているか分からないし。ぶっちゃけ、セイラに対して毒味係って必要かなって気持ちもある。あるとすれば戦闘力に難ありってだけだし。それは戦っていないから仕方のないことだけど……それに力があるから必ずしも成功するとも限らないしね。何事も認めてくれる人がいないと。


 と、また脱線しかけた。セイラに変な目で見られたので「毒はないよ」と返しておいた。口に運ぶと店で出されるというよりも家庭で出される味が広がる。高そうではなく故郷を思い出させてくるような味。付いてきた米も明らかにコシヒカリとかそこら辺だと思う。いや、適当だけどね。さすがに米の味を比べられるほどの味覚センスは持ち合わせていないや。


 余計に日本の味を再現出来る何かがあるって事だから僕としては嬉しい限りだ。高い店でのすき焼きを食べたことがないし背伸びをした感じがしなくていい。高いだけが良いってわけではないことをこの味が教えてくれるなぁ。


 食べ終えた頃には全員が満足気に笑っていた。店員に話しかけたかったけど忙しそうだったので「美味しかった」の一言だけを伝えておいた。名前と顔は覚えたしね。ミレイって店の『ミレイヌ』って名前の男性だ。ミレイヌって名前からして女性を連想させるけど男性なのは間違いない。


 その日はそのまま帰った。

 やることもあったから長居は出来ないしね。それに忙しそうなのに話をすることも難しいだろう。だから今度、また会いに行くつもりだ。終わりかけの時とかに土産物を持ちながらとかね。少しだけやることが増えたけど今は目の前にある課題から終わらせていこうか。最初にやらなきゃいけないことは……武器作成かな……。

ギド以外の異世界人の登場です。時間内で投稿するために不十分なままで投稿して本当に申し訳ありません。以後、出来る限りこのようなことがないように心がけます。



味についてとミレイの店員、ミレイヌという名前を追記しました。

次回は土曜日か日曜日に投稿する予定です。

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