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4章13話 イフの性癖です

休みのうちに書かせてもらいました。

先週や先々週の分です。

「良い湯ですね」

「……そうだね」


 ヤバい、隣にイフがいるせいで純粋にお風呂を楽しめない。流れていく汗も良いものというよりは冷や汗に近い気がするんだよなぁ。一緒に入ることはまだ許せるけど腕にぶつかる柔らかいものの感触は離して欲しい。


 言ったら負けの気がするから言えないけど。


「……こんなに心地の良いものに入っていたんですね。生まれて良かったです」

「……イフはスキルだったもんね」


 そう言われればイフは一人で飛ばされた時に作られた存在だった。そりゃあ目の前で好んでお風呂とかに入っていたら気になるよね。ここまで良い笑顔をされたら体を作って正解だったと思える。


 今の姿を見てもスキルと投げ捨てられる人は少ないだろう。コロコロと表情が変わりやすくて、まるで男心が分かっているかのように僕の好みの言葉を続けてくれる。


 ……いや、待てよ……?

 スキルだったってことはいつから自我が芽生えたんだろうか。このいつからっていうのはスキルを作った時からって話しね。もしもイフが本当に意識事あの時に作られたのなら少しだけ不可解な点があるし。スキルを作る時だって誰がイフの元を作った。僕は何も考えていないのにイフは最初っから自我があるような素振りを見せていたし。


 記憶とかもその通りだ。まるで僕が最初にイフを作ることが分かっていたかのように、僕の好みや知識を全て理解している。それこそネットで有名な語録とかも分かっているし。女性なら分からないネタとかね。


 イフって何なんだろう。……別にそのせいで嫌いになったりはしないんだけど。でも、もしもイフが僕の作り上げた存在ではなくて上位の人が作ったならば、その存在は僕と同胞だったり同年代だよね。それでいてこの世界のことに詳しい。僕が転生した理由もよく分からない。……魔神って誰なんだ?


「……どうかしましたか? 頭を左右に振って」


 悲しそうに僕に聞いてくる。


「何でもないよ」

「さてはいやらしい事を考えていましたね」


 クスクスと口を隠して笑う。

 うん、僕が馬鹿だった。やっぱりイフが誰であろうと、誰から、どのような意図で作られたとしても僕にとってイフは必要不可欠な存在だ。考えるだけ無駄なことは忘れてしまおう。……少なくとも今は必要が無い。


「ってか、僕の考えていることはイフだったらよめるんじゃないの?」

「今は切っています。マスターであっても私に考えをよまれたくない時もあるはずです。嫌われたいわけではありませんから」

「……そっか、ありがとう」

「戦闘の時は付けていますが」

「ううん、十分だよ」


 イフの額に額を軽く当て頭を優しく撫でる。

 強くて優しい、そして相手の気持ちも分かる。少なくともイフはそんな奴だ。愛らしくて困ってしまうよ。


「そういえば聞きたいことがあったんだけどさ」

「ええ、なんでしょうか?」

「アクセラレータの説明を聞きたいな。魔法とかに使った時は威力が増加していたけど、アミとアイリの時にはステータスの増加とかがなかったしね」

「なるほど……いい所を突きますね」


 イフは空いた左手で顎に手を当ててウンウンと首を縦に振った。笑顔は絶やさずに少し考えた後に髪を軽くいじる。それでも考えがまとまらないようで僕の髪もちょっとだけいじっていた。


「説明が難しいの?」

「……そうですね。簡単に言おうとしても魔力の特性を理解しなければいけませんから。そこが面倒なんです」

「面倒ならやめておくよ」

「いえ、上手くまとまりました。大丈夫ですよ」


 都合が良すぎる気がするけど……まぁ、イフはそんな感じだし。いっか、それなら聞いておきたいし。肯定するように首を縦に振り笑顔を見せると、イフは自身の頬に手を当てて微笑み返してきた。控えめに言って可愛い。


「まずアクセラレータはマスターのもう一つの心器だと考えてください」

「えっと……つまりは……?」

「つまり人の中にはいくつもの心器があります。これはその人の状況や環境によって自由に出せるようになったり、逆に出せません。マスターがワルサーを選ばなければアクセラレータが出ていた可能性もあります」

「なるほど……僕が出したワルサーは一つの選択肢でしかないってこと……かな?」


 首を縦に振る。

 要は僕にはいくつかの出せる心器の種類があって、そこにワルサーとアクセラレータがあったってことだ。その中で僕の状況や環境から望んで現れたのがワルサーだったというだけ。


「それを何でイフが出せるの?」

「讓渡と言う形で私に権限を移しました。マスターが出すことも出来ます。マスターが望んでワルサーが出たように、私が望んだ結果がマスターの心器の中のアクセラレータだったということです」

「イフが選んで出した心器ではないと?」

「そうです。一つの心器を解放して私が自由に使えるようにした、私がアクセラレータを出していなければマスターも自由にアクセラレータを出せるという感じですね」


 難しいけどスキルとかを使えるようになるみたいな感じかな。イフが僕の中の何かということもあって僕の封印されていた心器の一つを外に解放したってことか。うん、複雑。


「イフが僕の心器の一つを出せるようにしたのは分かったよ。でも、何で僕の心器なのかな? イフの心器である可能性はない?」

「それはありません。人形と変わりない存在が生命を得られるでしょうか? それと同様に人以外が心器を出すことが出来ません。その点で言えば魔族は人の一種という判定になりますね」

「何で分かったかって言うのはよく分かったよ。だけど、それがさっきの話とどうつながるのかな?」

「そこはあまり繋がりません。いえ、絶対に繋がらないわけではありませんが話さなくても通じると思います。ですが、マスターの心器だからアクセラレータの能力がそうなったとも言えるんです」


 あの……余計に意味が分からないんですけど。僕だからアクセラレータがそのような能力になった……そこはまだ理解が出来る。僕の前世が停滞した世界で死を受け入れたからね。


「僕だから能力がって言うのは分かったよ。だけど関係が無くない?」

「いえ、アクセラレータは進ませるだけの能力しか今は持っていません。つまり加速を何かに与えるだけの力です」

「えっと、要は?」

「……すいません、説明をしようとすればする程にグチャグチャになっていましたね。要約するとマスターの地球の時の環境から加速させて進ませるだけの心器が出来ました。そして魔力の性質上、この加速が威力増加へと繋がります。心器の応用と言っても間違っていませんが実際の使い方は威力ではなく速度を上げるだけです。……これなら繋がっているようで繋がっていないということが分かりませんか?」


 それなら分かる。僕自身の環境から心器が作られ、応用した使い方で威力を増加させているってことだ。間接的だけど繋がっているって言っても間違ってはいないよね。


「それで性質とは?」

「それは魔力で魔法を作り出した時に、その魔法の中で起こる循環の速さによって威力が増えるんです。同じ消費量で熟練度や使う人によって威力が変わるのは、その内部で起きている循環の速度に違いがあるからです」

「そこを早くして威力を増加させたってことか。……なるほど、それなら応用だし魔法に長けているイフだから出来たことだね」

「褒めてください。頭を撫でてください。子供をください」

「最後以外はいいよ」


 膝の上にイフを乗せて抱きしめながら頭を撫でてあげた。それでもどこか不満げなのは最後の件を断ったからだろう。絶対にしないけどね。……少しだけ子供はシロだけでいいかなって思ってしまっている自分もいるし。


「というよりも、その体で子供が作れるの?」

「出来ます。魔力さえあれば作れます。妊娠するための機関を魔力で動かせばいいだけですし、魔力を貰い続けることで体が人と変わりなくなってきますから」


 となるとイルルやウルルだけを注意するだけじゃ済まなくなるってことか。


「それなら一緒に寝れないね」

「夜這いすると考えていますか? そんなことしませんよ。やるのなら正々堂々とマスターと戦って力が出ない状態まで痛めつけてからするだけです」

「うん、特殊で怖い性癖を語るのはやめようか!」


 普通に怖いしやられそうで嫌なんだけど。

 ってか、僕が本気で戦ってもイフに勝てるかなぁ。ステータスだけが全てじゃないって僕が一番よくわかっているし……。


「とりあえず今はしても子供は出来ません。なので安心して私に抱きしめられてください」

「後でね。それにアミとアイリもいるから分かっているよね?」

「分かっています。やるのならイルルとウルルも含めて五人で襲いますから」

「それは勘弁」


 その後は普通に体を洗い……合って上がった。さすがに転んで胸にみたいなアキにやってしまったことは起きなかった。……少しもガッカリなんてしていない。本当に。


 その夜は大部屋に布団を敷いて6人全員で川並びで寝たアミが僕のお腹に乗ったのは少しだけ驚いたけど、イフが隣を牛耳った以上、それ以外の方法がないよね。仕方ない仕方ない。イルルとウルルは一緒の部屋で寝られるだけでいいみたいで特に不満は言われなかった。

最近は下ネタが多かった気がするので明日からは薄くなると思います。一応、話の中での次の日でダンジョン攻略を終了する予定なので、五話以内には4章の本編に入れる予定です。


研修の日までに出せるだけ出しておかなければ……出来るのならば研修期間中の分の話も書いておきたいです。

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