表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/273

4章9話 イフなのか.......です!

「美味しいのだー!」

「これが……くっ……負けたのだよ」

「……圧倒的敗北感ですね……」

「いえいえ、そんなことは無いですよ」


 いやに大きな声で話している。

 体感で朝の九時頃かな。目を覚まして隣にアイリがいないことを確認してから地下室を出ていた。階段を上がって食事をとる場所に向かっている最中にそんな声が聞こえたきた。実際、声が聞こえるのは食事をとる居間だ。


 起きたてで痒い頭を掻きながらクルリと向かう先を変える。何となく今のまま行くのは少し違うと思っていた。だって、イフの声が聞こえないからね。


 まずはシャワーを浴びて……ってやろうとしたけど童貞感が丸出しでやめた。あの初めてのホテルに入って片方ずつでシャワーを浴びるようなそんな感覚。……まぁ、体験したことがありませんけどね!


 冷たい水を手で掬って顔にぶつける。まだ暑さの残る秋頃だからね。かなり気持ちいいって思えるかな。タオルで水っけを拭ってから小さく深呼吸をする。顔を変えるって言っていた。このドキドキ感はどうしても捨てられない。……これでイフじゃなかったらものすごく笑えるんだけど。


 そんなことにならないように願いながら居間へと足を運んだ。そこには苦手な緑の悪魔をパクパクと食べるアミと、よくある「ors」の状態で床に手をついているイルルとウルル、そして静かに食事をしているアイリがいた。


 ……いや、もう一人いたね。ショートカットでおでこら辺の高さのラインに横髪の編み込もをしていて、そして後ろを髪留めでとめている銀髪の女性だ。前髪も左右に分けていて女性から見て左と右が八対二で分けられている。そして左右にある長めの触角……であっていたかな。そんな呼ばれ方の髪。……目は垂れても釣れてもいない。


「……イフか……?」

「おはようございます。貴方のイフですよ」

「……ふふ、そうだね」


 予想通りイフだった。確かに僕の好みからは外れていない。フリルのついた服装を着ているのは少し焦ったけど。胸元もかなり出ていて大きめの胸が見えてしまうし。……絶対に外には出せないな。


「嫉妬ですか? これでもDしかないですよ」

「いや、貧乳に殺されるよ。……アイリもそんな目で見ないように……」

「ですが! ですがァァァ!」


 泣きそうなアイリを抱き寄せて頭を撫でる。

 まぁ、アミよりも小さいからなぁ。雰囲気ではアミの方が小さそうなのに。見た目がかなり幼いから。だけど……ごめん、アイリは成長することなくAAAカップなんだ。


「イフもそこまでいじめちゃダメだよ」

「すいません、アイリはからかうと可愛いのでつい……」

「それは分かるけどさ」

「分かってはダメです!」

「いや、僕は貧乳も好きだからね。それを知っていて胸を大きくする運動とかをするのが可愛いからさ。そこら辺をからかうとものすごく頭を撫でたくなるし」

「あぁぁぁ! なんで知っているんですか! 本当に大っ嫌いです!」


 それはね、嘘だって分かる。

 アイリの顔とかは嫌いってアピールしてくるけど尻尾は左右に触れて僕に近づいてくるし。それに嫌いなら抱きしめているのを振りほどいてくるだろうからね。


「まあまあ、そのくらいにして食事でもしてください。折角のご飯が冷めてしまいます。今日のダンジョンで効いてきますよ?」

「そうだね、いただくことにするよ」


 アイリの隣に座って出された食事をとる。野菜炒めと肉がメインで小麦粉のようなものから作る米を食べる。ぶっちゃけ米とは全然似つかない。調理者の腕による料理だ。まぁ、美味いけど。


「そう言えば四人はイフだって分かっていたの?」

「私とアミは雰囲気で分かりました」

「我らは名前を出されてって感じなのだよ」

「へぇ、まぁ、こんな感じだって分からないよね」

「こんなに可愛くなりましたから」

「可愛いって自覚済みなのか」

「マスターの好みが可愛くないわけがないじゃないですか!」


 当然と言いたげに胸を張る。

 うん、大きめなのは分かるけどうちのアキさんのせいでものすごく大きいとは思えない。アキのは別格すぎる。何を食べたら、何をしたらそこまでなるのかアイリに教えてあげて欲しいくらいだ。


「仲間が増えるのは嬉しいのですがイフ様はどこのパーティにつくのですか?」

「イフで大丈夫ですよ。えっと、私はマスターのパーティにつきたいですね。未だにこの体に定着しているわけではないので。シロと同様、魔力を自分で作れるようになるまではマスターからいただく必要があります」

「あー、シロと違って次第に不必要になってくるってことかな?」

「はい、体が勝手に作られていきます。そのうち魔力製造も行えるはずです」


 褒めて褒めて、と頭を差し出してくる。

 手を伸ばして撫でてみると嬉しそうにするだけだ。この顔でこんなことをされれば僕も喜んでしまう。いや、アイリとかの頭を撫でるくらいに嬉しいんだけどさ。慣れていない分だけ恥ずかしくなる。


「武器は?」

「マスターの魔力から作られているので心器を出せます。武器を作っていただくのも嬉しいですが今は不必要でしょう」

「そっか、近接?」

「お楽しみ、と言いたいところですが本番でやっても突然過ぎますよね。一応は中衛以外なら戦えます」

「おっけ」


 となれば僕とアミ、イフで前衛かな。

 イフのステータスを見る限り魔法も使えるようだし。何より僕にはない魔力消費減少がスキル欄にはある。ポーションと組み合わせればかなりの強みになるだろう。ステータスは全ステータスが作られた存在だからか五千。レベルは二十五みたいだ。ファーストジョブは……これは見ないでおこう。僕の嫌いなネタバレだ。どうせならイフが戦う時に新鮮な驚きをしてあげたい。


 食事も終えて歯を磨いてから一人で商人ギルドに飛んだ。監視役でスキルに戻ったイフがついてくるみたい。どちらか片方にしかいられないようで体は家の中で横になっている。


「お久しぶりですね。何か御用ですか?」

「えっと、ポーションを卸しに来ました。ルークさんはいらっしゃいますか?」

「ええ、いますよ。こちらへお越し下さい」


 受付の男性と話をしていたはずなのにどこからか現れたルークさんに背後を取られる。少し冷や汗をかいたね。見えたか見えないかと言われれば見えなかった。だけど、種が分かるぶんだけ驚きは薄い。


 そのまま最初に行った部屋に行き座り込んだ。立っていた方が良いと言われるかもしれないけど気を使ってはいけない。そう何度も言われてしまったからね。


「こちらですか?」

「すいません、久しぶりなのに少なめで」

「いえいえ、逆ですよ。商人の中ではギドさんのポーションはかなり高額で取引をされていますから。それにこれは結構多めというのです。三十も一気に出す人はいません」


 個人的な取引は無いので出す書類もない。なので今回の商人ギルドとの取引の書類にサラサラとサインをして代金を受け取る。少なめに感じるけどランク的に仕方が無いだろう。保証がきく分だけ利益が減るのは当然のことだ。社会福祉がしっかりしている分だけいい会社だろう。


「今回でCランクですね。この調子だとすぐにAを越えそうな気がしてきます」

「ありがたい限りです。まぁ、まだ店を出すつもりは無いですけど」


 軽く頬を描いてルークさんに笑い返す。

 これで保証で減る金額はかなり少なくなる。要は年金制度みたいなものだ。上の人から金額を取ってそれを若い人のために使う。だけど上になればなるほどに契約も増えるから税金として多く取らなくても、数が多い分だけ下の人に回しやすいって感じかな。それに仕事の失敗が数回程度ならやり直しが聞くしね。


 とりあえず話を程々にして商人ギルドを後にした。別にイフから早く終わらせてって言われたからじゃない。断じて無い。バレたら怒られてしまう……。


 次に四人、もといイフも含めて五人を連れてダンジョンへ飛んだ。一度、足を踏み入れたので転移で直に飛べる。すぐにドレインを構えてステータスを吸う代わりにMPを吸うようにしておく。


 イフを連れて二階層で数体、魔物を切り殺してから戻ってきた。全回復なんて出来るわけがないけど気分が楽になるくらいは回復した。飛び立ては吐きそうな気分になっていたしね。


 ちなみに未だにイフは武器を出していないので本当にあるのかが少し心配だ。杞憂で終わればいいけどね。


「それじゃあアミはイルルとウルルを守る感じでお願い。アイリは隙を見つけて中衛から突く感じで。イフは前衛かな。僕は適当に切っておく」

「分かりました。一応、五人で会話が出来るチャンネルは作っておきます。何かあれば念じるだけで話せるはずです」

「……練習した方が良さそうだね」


 僕が一言言った瞬間に頭の中に変な言葉が流れてくる。言われるというよりもチャットで文章が流れる感じかな。


『イフ:了解しました』


 こんな感じで頭の中にイフからの文章が流れる。後、すぐに消えるわけじゃないみたい。見過ごすってことが少ないだろうね。


「これはなんなのだ!?」

「……魔族でも出来るものはいませんでしたよ、こんなこと……」

「へへへ、マスターのイフですから当然ですね」

「……何故か納得出来てしまうのだよ」

「いや、納得しないでね!?」


 そんな不思議そうな顔をしてもダメ!

 僕だからおかしく感じないなんて頭が変になっているじゃん。僕がおかしいわけじゃないもん。イフがおかしいんだもん。僕にはそんなこと出来ないよ。


『ギド:アイリ可愛いよ』

『アイリ:ふざけないでください!』


 一瞬で返ってきた。ってか、一瞬でアイリの顔も蒸気した。めちゃくちゃ面白い。これはシロとかにもやってみたいな。戦闘の最中じゃなくて休んでいる時にいきなりとか。


『イルル:こんな感じか?』

『ウルル:不思議な感覚ですね』


 二人も出来たみたいだ。アミからは特に返信が無いけど出来そうだから別にいいかな。うん、なんだかんだいって器用だし。それにコレを使えば……って思ったところでイフがマップを投影してくれた。続いて説明をしてくれたので静かに見ている。アミも分かったって返信していたからやっぱり出来たみたい。


 とりあえず一番近くにいるビックモスの群れを狙って歩き出した。もちろん、森の中なので気をつけなくてはいけない。森で困るのは何も魔物だけではないのだから。

イフが登場してどのように戦うのか、そしてダンジョン攻略はどこで捗るのか。果たしてダンジョンを攻略するまで書こうと作者はするのか、そして今週や来週に投稿出来るのか。……見守っていただけると幸いです。かなり書きだめがあるので土曜日は何とか出せるかもしれないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ