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4章6話 強みと弱みです

長めです。

後、休みなので早めの投稿をしました。

「なに欲情しているんですか!」

「戦闘中に欲情するなんて旦那様も男なんですね」

「これは襲われるのも時間の問題なのだ」

「もしかしたら……そうなのかも……」

「そこじゃないです!」


 うへぇ……アイリがすごく怒なんですけど。そこまでのことかな。だって、戦闘中にそうなっただけだし。それにイフから魔物の特性が伝えられているはずだしね。まさかとは思うけどイフがわざと伝えなかったわけがないし。


【なっ、なんのことでしょうか?】


 はいはい、伝えていないんでしょ。

 別に怒らないって、説明すれば済むし。この感じだとビックモスほどのステータスがない分だけ、そっち系に進化した種なんだろうしね。それを説明さえすれば理解してくれるはずだよ。


「これがさっきの魔物の能力みたい。要は相手の情欲を湧かせるって感じだね。僕だけじゃなくてアミもおかしかったでしょ?」

「そうですけど……」

「アイリー! これってどうやれば元に戻るのだー?」

「ああ、それは我らが教えよう」

「……頼みたいけど程々にね。アミの良さが無くなってしまうから」

「なるほど、いたいけな少女を汚したいというきもちがあるのだな。了解した」

「それはないよ!」

「主様はそこまで下劣ではありません!」


 なんか声が被さった。

 まさかアイリが僕の擁護をするとは思っていなくて少し驚いてしまったよ。言った本人も真っ赤になって僕から目を逸らすし。可愛いな、後でしっかりと褒美を考えてあげないとダメだね。


「申し訳ないのだ。そこまで怒るとは思っていなかったのだよ」

「私に謝るのではなく主様に謝ってください。私から言えるのはそれだけです!」


 話を変えたいのか、アイリは森の方を向いて警戒をする素振りを見せた。でも、分かる。案外、森のほうに気が行っているわけじゃない。頭の中は今の行動に対する恥ずかしさがグルグル回っているんだろうなぁ。突っついてみたい……。


「済まなかった」

「いや、怒ってはいないよ。怒っていたら奴隷紋の効果を発揮していたし」


 とりあえずは二人にアミを任せてその場を離れた。別に見ていてもいいって言われたけど一応ね。そっち系なら僕が見るべきではないし。……って、思っていたけどものの数秒で終わっていた。どうやらサキュバスの特性で情欲を操ったり吸収、放出が可能らしい。余計に二人に対して気を向けないといけなさそうだ。案外、油断をしていれば僕に対して情欲を操作されてそうなってしまうかもしれないからね。


「心配をかけたー!」

「別に治ってよかったよ。今度からは二人共、相手を見てから接近することにしようか」

「うん!」


 頭を撫でてからアミの前に出るように歩いた。ここからは本当のダンジョンだ。横から魔物が出てくるなんて当たり前にある。僕だって探知には自信があるんだ。……実際はイフ頼りのマップを見ながらだけど。


 とりあえずは深手を負ったラヴァモスを倒しておきたいな。ゾンビウルフほどじゃないけど滅多にいない希少種らしいし。媚薬として売ればかなり高値がつきそうだ。貴族相手の商売はいけ好かないけど商人ギルドに卸したりセトさんに渡すのも良さそうだね。


 まぁ、作ったら僕だけが管理出来るようにしないと。イフならまだ僕の意思を尊重してくれるけどイルルやウルルならやりかねないからなぁ。キャロも案外、危険かもしれない。


 元の世界なら同人誌みたいな感じになるのかな。『僕のこともそうするんだろ! あのエロ同人誌みたいに!』的な?


 使わないけど売れ行きは絶好調ってなりそうだなぁ。ここぞって言う時に好きな子を落とす媚薬とか僕も欲しいもん。何に使うかは不明、そう便利な言葉で用途不明ってあるんだった。それで!


【ちなみにここにいますね】


 マップの点の色が一つだけ真っ黒くなる。

 結構、飛んで行ったなぁ。そんなに傷が深かったり僕達が怖かったのか。あの状態なら十あるうちの六ぐらいしか出せなかったからワンチャン負けていたかもしれない。うん、狩りにはピッタリか。


 ここのダンジョンはよくあるタイプのダンジョンらしいから、例えズタズタに切り裂いたとしても素材だけを落とすらしい。要はゲームのドロップと同じだね。その人の幸運値が左右するらしいけど僕なら全種類落ちるらしいし心配はないかな。アイリやアミでも大丈夫らしいけどイルルやウルルなら微妙らしい。


 まぁ、幸運値は隠しステータスだしイルルもウルルも知らないだろうな。教えても傷付けるだけだし言わなくていいか。必要なのは僕が倒せばいいだけだし。それにメインは四人の成長と考えを見ること、そして強化をすることだからね。そのために強めのダンジョンを選んだくらいだし。


「まずは逃げて行ったアイツからだ。行くよ」

「行くぞー!」


 四人で行動しながら徐々に距離を詰めて魔物のいないコースを進んでいく。別に倒しながら進んでもよかったけど少しずつ敵の詳細を知っていったほうがいい。いつも僕やイフがいるならいいけどほぼほぼいない方が多い。冒険者として戦いながら相手を理解するっていうのが基本的だし。


 その点、僕とアミは慢心し過ぎたけど。

 今度は油断なんてしない。逃がしもしないし鱗粉も効果がない。耐性をつけるために使ってもいいと思うんだけど。まぁ、それは回収してからかな。


「さっきみたいにいかない!」


 手負いのラヴァモスが目の前に現れてからアミが走り出した。僕も行こうかと思ったけどやめておく。アミが走り出したということはそれなりに策があるんだろうし。子供みたいだけどアミは馬鹿ではない。


 金切り声に近い音、俗に言うホイッスルボイスみたいな感じの鳴き声でラヴァモスは悲鳴をあげた。そのまま羽をバタつかせて鱗粉を舞わせたけどアミには効いた素振りがない。


 無言でアミがドギを振るって周囲に刃を展開させていく。少しだけ距離を置いているみたいだ。つまりアミの中で楽な倒し方がこのやり方だったってことだろう。そして話さないのも呼吸をしないためか。それなら……ってそれは後で教えればいいか。


 さすがに二十以上の刃を躱せるわけもなくラヴァモスは小さく鳴いて光へと変わった。無駄が多いなって思うけどアミが近距離を得意とするからこその戦い方なんだろうな。


 落としたのは羽と肉、瓶に入った粉だった。鑑定をしたら全部がラヴァモスの素材だったので使えそうだね。ただ肉はいらないかな。鑑定でも高値で売れるほど美味しいらしいけど虫はちょっと……。羽は色んな用途があるらしいし後で確認かな。


「終わった!」

「うん、お疲れ様」

「息苦しかったのだ!」

「やっぱり呼吸止めていたのかぁ」


 僕の胸元まで飛んできて褒めて褒めてと尻尾を振ってくる。拒否する理由もないので頭を撫でてから話を聞いていた。ラヴァモスが弱くはないと言ってもアミは頑張った方だ。さっきもそうだけど僕達に鱗粉は効きすぎる。


「それなら鱗粉が届く範囲から刃で切りつけたり風魔法で鱗粉を弾けばいいのに」

「風魔法は苦手なのー! 刃も上手く想像して使えないんだぞ!」

「うん、要練習だね。苦手なことがあるってことは成長するってことだから良いことだ」

「頑張るー! だから、褒めてくれなのだ!」

「時間があれば手伝うよ。それに虫が相手なら状態異常を基本とする魔物が多いからね。練習にもいいと思うよ」


 虫はステータス自体があまり高くない。その分だけ搦手が強いってイメージだね。そもそもイフから教えて貰ったことだし間違いはないと思う。場合によってはモス系の魔物一体で街が潰れることもあるらしいし。ステータスだけが強さじゃないって言う良い具体例だ。


 後、ちなみにだけど呪魔法は効かないものもいるみたい。これは虫系の魔物の上位種に限られるらしいけどものによっては、状態異常自体が効かないから呪も効かないって話らしいけど。まぁ、状態異常も効かない、ステータスも高いなんて倒し方がないからね。ゲームとかの救済みたいな感じだろう。知らないけど。


 この話はイフが魔物の生態を教える時に従魔であった三人は聞いているはずだし、他の仲間達もそこから教えて貰っているはずだから全員が知っているって考えておく。分かっていなかったら戦いながら知ればいいし。強くなるためには自分の弱さを知ることが一番だって聞いたことがある。まぁ、漫画の受け売りですけど……。


「さて、次だ。あの声のせいで集まってきたみたいだし。イルルとウルルは準備出来ている?」

「大丈夫ですよ」

「いけるのだよ」

「なら、魔法を使ってみて。火魔法以外でって付けるけど倒しきれなかったら僕がやるから安心して」


 アミとの会話が終わるまで静かにしていた二人に声をかけて攻撃を頼む。アイリでも良かったけど二人の魔法がどれほどのものか見ていなかったからね。先に二人からにする。


「ウィンドカッター!」

「アイシクルランス!」


 二人共、違う魔法を使ったみたい。

 どちらにせよ、二つの魔法がどこまで相手を削るかが問題だ。その二つの魔法が木々の間に入り込んで何かに当たる。当たった感触は僕にはないけど鳴き声が聞こえたのだから間違いはない。今回は前回戦ったことのあるビックモスみたいだけど……ステータスで言えば二人が優っている。お手並み拝見ってところかな。虫の最大の強みは搦手と量だ。どこまでやれるかな?


「これは気持ち悪いですね!」

「でも、旦那様が戦えと言ったのだよ。我らは従うのみ。エアー!」

「その通りです! ダークランス!」


 見た感じビックモスは三十前後かな。僕の後ろで静かに傍観しているアイリと、少し戦い疲れか眠たがっているアミがじっと見ている。ダークランスは闇魔法ってところだろうしエアーは羽ばたかせて鱗粉を撒き散らすビックモス対策かな。悪くはなさそうだ。


 ダークランスの威力は悪くはない。発射した五発全てが刺さり貫通して倒し切っている。だけどそれまでだ。圧倒的多数のビックモスを殲滅出来るほどの力はない。幸か不幸か相手が決定打のない虫でよかった。近接の苦手なタイプだから使ったとしても風魔法くらいだ。その程度なら結界や風魔法で打ち返されるだけ。もしこれが威力の大きい魔法ならって考えると難しかったなぁ。


 これは後で模擬戦でもして教えよう。僕への枷は魔法だけって感じでいいかな。イルルとウルルが魔法が大得意って言うのはよく分かったけど、魅了が効かない時点で二人の最大の強みが消えているって感じだね。これが獣系のダンジョンならもっと楽だったかも。


「魅了が効かないのは辛いですね」

「魔力が続く限り戦うだけなのだよ」


 そこはさすがに分かっているのか。

 それにしてもビックモスには魅了が効かないのか。どこまでが効いてどこまでが効かないのかも理解しないと。ラヴァモスにも効かないらしいから鱗粉の効果で付属している状態異常は効かないって感じかな。それならビックモスに麻痺とかも効かないか。呪は一応、効くらしいけどイルルとウルルは使えないみたいだし。才能はあるみたいだけどね。


 このくらいでいいかな。魔力不足になられていても苦しむだけだし。いちいち力を抜いて戦って疲れを溜めるのなんて愚行だね。ある程度の二人の戦い方が分かったし強さも分かったからこれくらいでいいだろう。


「アイシクルランス」

「えっ……?」


 二人の驚く声が聞こえた。

 場所と相手の相性が悪かった。逆に魔法の初撃だけで数体を落とした二人は十分にすごい。だけど、こんな相手に時間をかけるつもりもないからね。パーティ登録をしているから誰が倒そうと経験値は分配されるし。


 僕の中では大したことのない魔法だけど二人を驚かせるには十分だったみたいだ。まぁ、イフの援助もあって楽に多くの氷の刃を出せただけなんだけど。それでも僕が出したことには代わりないだろうね。ミッチェルならそう言ってくると思う。


「少しだけ時間がかかりそうだったからね」


 笑いかけながら言うけど二人からすれば水を差されたようなものだ。本当は駄目だと分かっていても無意味なことはしたくないと自分の体が勝手に動く。いや、意思のもとではあるかな。


「これが二人の弱点だね」

「……仕方ないのだよ」

「うん、まぁ、後々、こういう相手も増えそうだから良い機会だったかもね」

「あそこまで火力があれば……力不足でした」

「いや、二人なら倒せたと思うよ。だけど魔力消費が激しかったら後で響く。ただそれだけだよ」


 僕にだって得意不得意はあるし。

 なんならアミだって完全じゃない。さっきの戦いでよく分かった。風魔法とかが苦手であまり使いたがらないこととかね。風魔法だからカマイタチと組んでもらってもよかったかもしれない。今のところは召喚術の空間内で寝てもらっているけど。


 素材を回収しながらもどこか納得出来なさそうな二人の頭を撫でる。頑張ったことには変わりないからね。嬉しいような悲しいような表情を浮かべられてしまったけど。ただそこまで酷いわけではない。二人で半数は殲滅していた。十分な力だ。


 申し訳ない気持ちが胸に残りながらも次の戦いに足を運んだ。次はアイリに戦ってもらわないといけないね。アイリの場合はアミを前に出さないと戦ってくれなさそうだけど。なんて言っても相手は虫ですから。振り向いてアイリの顔を見て笑ったらすごく怖がられたんですけど……なんで……?

設定上ではラヴァモスの肉はかなりの高品質で旨み成分が高いそうです。見た目も普通のお肉と変わりませんが知っていて食べたいチャレンジャーな人は少ないですよね。僕も食べたくないです!


ダンジョン攻略はどこまで引き伸ばすか未定です。場合によっては途中で投げ出す可能性も……。これはダンジョン攻略に限った話ですけど。果たして攻略に何日かかることやら……。


本当に最後になりますが総合PVが300,000を達成しました。誠にありがとうございます。未だに不慣れな点も多く読みづらいと思いますが応援してくれるとありがたいです。今年中に4章の終わりまでは書き上げたいなと意気込んでいます。頑張ります!

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