4章5話 アミが! アミが! です
少し短めです。
中身よりも後書きの方が長い気が(しません)。
「もう治ったのかぁ?」
「治った治った。心配させたね」
「気持ちいいのだぁぁぁ」
アミは少し強めに頭を撫でてやると喜ぶ。これ重要ね。イルルとウルルはサキュバスだから変態チックかと思えば優しい感じが好きみたいだ。……まぁ、優しいと言ってもウルルはイルルより強めにして欲しいみたいだけど。
「良いですね!」
「もっとなのだ!」
「あいあい、ほどほどでやめるけどね」
そしてアイリは抱きしめられながら頭を撫でられると喜ぶ。はい、これ全部テストに出るから覚えるように。ちなみにアイリは日によって違う好みだから表情や態度、そして求められ方で考えるように。
「……もういいです……」
「その割には尻尾が僕のお腹に巻きついているんだけど?」
「ッツ!」
驚いて顔を真っ赤にした感じだけど尻尾だけはまだ離れてくれない。まぁ、僕が離れようとしたらスルって解放してくれるからアイリの可愛らしさを感じる。それでも離れた後に尻尾が前後に揺れて僕に向かったり戻ったりを繰り返すんだけどね。うん、かぁいかぁい。
「んで、ここを真っ直ぐ行けば出来たてのダンジョンがある。この五人で動くのは初めてだから最初は手探りになるだろうけど、個々は強いからね。しっかりと早めに終わらせてしまおう」
僕が皆にそう言うと複雑な顔をされた。
……なんで? 普通のことだよね?
【マスターって所々、女心がわからないですよね。一緒にいられる時間が多い方が嬉しいんですよ。ただ主であるマスターの願いも叶えたいし早めに皆にも会いたい。その間で葛藤しているんです】
あー、なるほどね。いや、僕のせいか?
まぁ、そこの悩みは僕が解消しないといけないか。と言うよりも一日でダンジョン攻略とかその他諸々を終わらせられるとは思っていない。帰れないかもって不確実性のある言い方をしたけど初日は実家で休む予定だし。
「まぁ、今日は帰れないよ。だから嫌かもしれないけど一日は僕と一緒かな。それでも早めに帰れるようにしないと心配されるからね」
「嫌じゃないです!」
「そうだそうだー」
「これは手を出されるのでは……」
「世継ぎ問題なのだ……」
「いや、それはしない」
危うくサキュバス二人に夜這いされそうになったけど否定しておいた。まだそういうことをする気にはなれないかな。奥手とかそういうのじゃなくてただ単に準備が整っていない。心も環境もね。
「というか、今更だけどイルルとウルルは置いておいて、アイリとアミは僕との子供とか欲しいの?」
「変態です!」
「欲しいのだ!」
「ちょっとアミ!?」
うーん……アイリは何となく言わないだろうなって思っていたけど、アミすら欲しいとか思っているのか。いや、アミは結構小さいから子供とか産めるのか……?
【産めますよ?】
「そうなんだ」
「そんなに意外だった?」
「うん、まあね」
「アミは子供じゃないのだ」
イフに返答したつもりが声に出ていたみたいでアミが返答してきた。それに意外か意外じゃないかと言われれば普通に意外すぎる。そんな素振り見せたこと無かったしね。それに知識もあるとは思っていなかったし。……いや、子供が欲しいだけで授かる方法は知らないのかな。
アミは別に子供扱いが嫌だからそう言った感じでも無さそうだし、どっちかと言うと子供じゃないからって胸を張る感じだね。うん、そこが余計に可愛らしくて子供みたいなんだけど。
「とりあえずこの話はここでやめよう。まだそういうことをする気持ちはないからね。イルルもウルルもそういうつもりでいて」
「旦那様から襲われるのを待てば良いのですね! 了解しました!」
「いつまでも待つのだよ!」
「まぁ、それでいいよ」
僕から襲う、ね……。
いや、ミッチェルに対してもそういう気持ちを抱いても襲えない僕が襲うか。何年かかるんだろう。幼馴染に完全受け身系男子と認定されていたし。僕から襲うって言うのは難易度高すぎるんじゃない?
【サキュバスは少しだけ性癖が特殊ですからね】
イルルはS系、ウルルはM系だしね。
でも、イルル自体は両方に幅を利かせるタイプって感じかな。ウルルみたいに強くされるのは嫌って雰囲気だけど。合っている?
【その通りです】
うっわ、割と適当に言ったのに当たっていたよ。申し訳ないって気持ちが湧いてくるなぁ。でも、頭撫でたりとかで察することが出来るしね。普通にしていれば可愛いし愛でていたい子達だから。
そのまま四人を連れて洞窟へと向かった。この穴も少し前に出現したばかりのものだ。ダンジョンとして現れてならは僕達も察知出来るけど現れる前ならイフでさえ分からない。
それでも出来たてにしてはレベルの高いダンジョンだしね。結構、高純度なダンジョンコアが手に入りそうだ。ランクで言うのなら最低でもBランクほどのパーティで向かわないといけなさそう。
「ここを攻略する予定だけど無理はしない。危険なら引いたり声をかけたりするように。ダンジョンのランクで言えばかなりの高さだからね。油断しちゃダメだよ」
「はい!」
四人全員が返事をしたと思うんだけど一際、声が大きかったアイリの返事にかき消されていた。そんなに戦闘が楽しみなのか。実際はそんな理由ではなさそうだけど。
アイリは魔槍レーガを、アミは魔剣ドギを構えて準備万端って感じだ。かなり使っているのか少しだけ色味が落ちてきている気がするな。イルルとウルルも腕輪に指をかけている。こっちも大丈夫そうか。
「さて、行こうか」
僕もドレインを構えて中へと踏み出した。
まず最初の入口付近は洞窟ならではだが奥の魔物がいる場所は明るい。普通の森の中にいくつかの生命反応がある、そんな感じだ。もっと言えばミッチェルやシロを連れてこなくて正解だった。
「うん、虫だ」
「へっ……」
「虫だね、ここにいる魔物って」
「いえ……きっと気のせいですよ」
一気にアイリの顔が冷めていく。
「虫なら炎に弱いのだ!」
「楽勝ですね」
「難しそうに思えないのだよ」
「逆です! あんな見た目の存在と戦うなんて嫌です!」
まぁ、アイリは虫が苦手なんだよね。アミは子供みたいに虫に対して忌避感はない。イルルとウルルは苦手ではないから殺せばいいって考え方だよね。家で虫が出たらアミが捕まえて外に投げていたし。
「えっ? 蚕蛾っていう蛾は可愛いよ?」
「それは主様の美的感覚がおかしいんですよ!」
「それってアイリも可愛くないって否定している気がするんだけど……?」
「虫に対してだけです!」
蚕蛾、可愛いんだけどなぁ。
いや、まぁ、あれでご飯とかを食べたり夜歩いている時に顔に引っ付いてきたら悲鳴をあげそうだけど。ペットとして見る限りでは人に依存してきて、人がいなきゃ生きていけない姿が愛らしすぎるんだけど……。あれ、僕って病んでいるのか……?
「嫌なら殺せばいいだけですよ」
「目を閉じながら切るだけなのだよ」
「嫌なら帰ってもーー」
「やりますよ! やればいいんですよね! その代わり主様から褒美はもらいますから!」
早っ……もっと長い間、いやいや言うかなって思っていたのに。うんうん、そんなに僕といたいのか。洗脳中とか後で付きそうだな。真面目に褒美は考えないと。
「本当に大丈夫?」
「やりますよ! 中衛から動く気はありませんけど!」
「その点で言えばレーガの能力はピッタリだったかもね」
本気でそんなことを考慮してやったわけじゃないけど。でも、まぁ、アイリが戦えるように武器が作られていてよかった。伸縮して中衛と後衛の間で攻撃をちまちま出来るし。魔法も使えるしね。……アキがいればもっと楽だったかもしれないな。弓でズバンだっただろうから。
いや! 僕の出番がなさそうだからこれでいいのだ!
アイリが小さく頷いたところで森の入口に魔物が現れる。僕も一度、見たことがある魔物だった。……いや、違うくない? 何か模様が違う……。
「ラヴァモス……?」
よく分からないけど風魔法で鱗粉を森の方に送りながら切りつけた。……その前に切りにかかったアミが鱗粉を体内に入れたみたいだけど……アミなら毒とかの耐性がある。下手にやられることは無いはずだ。何よりもステータスは低かったし。
【ランクはDですね。ですが】
そこまで言われて僕も気を抜いていた。
いきなり体に負荷がかかって押し倒されてしまう。敵か、と思って前を見たけど誰もいない。というか、アミがいるだけだった。危うく切るところだった。
「どうかしたの?」
「……なんか熱いのだ……」
うわ、嫌な予感がするんですけど。
ラヴァって炎みたいな感じじゃないよね。魔物の名前は元があるだろうし。ラヴァで溶岩みたいな訳があったけど……どちらかというとラヴァーか……? 恋人……とかに近いかもしれない。炎系統は使っていなかったし。
ラヴァとかラヴァーはこの世界の人には通じないけど何でこんな名前がついたんだろうね。ただ……もし恋人からくるラヴァなら鱗粉の効果ってさ……?
「……なんか硬いものが」
「アミ! 離れて!」
危な! 僕も少し吸い込んでいたのか……。
この感じからして毒と言うよりも効果は媚薬だよね。確かにアミが言うように体が熱くなってきた気がする。……いや、全然、我慢出来る程だけど。これが続くとキツイな。媚薬系って毒耐性で無効化は無理なのか……。
「どうかしたのだ?」
「あっ、アレだよアレ! 男の人ってトイレに行きたくなるとこうなっちゃうんだ!」
「そうだったのか!」
「そうだよ!」
強い口調でアミを誤魔化して離れようとする。アイリからはそういう目で見られてしまったから後で誤解を解かないと。僕はポーションを飲んで体から媚薬成分が抜けるのを待った。……ダンジョン攻略で早々、こんなことがあると嫌な予感しかしないよね……。
ようやくそっち系の魔物が現れましたね。もしここにアキがいたならそういう小説とかのネタにされていたでしょう。こういう系の魔物をもう少し増やしていきたいです。苦手な方は申し訳ありませんでした。
後、4章のタイトルも変えました。意味深な感じにしたつもりですが……果たして……?(笑)
※下は入れようか悩んでいた文章です。
(もろネタが分からないと面白くないです)
ラヴァってアレか。某カードゲームの相手の場所に出される厄介なやつ。アレは見た感じ溶岩だったけどラヴァモスにそんな雰囲気はないしなぁ。
もしラヴァーなら自身の分身体として相手の耳とかから入っていくのか……? うわ、想像しただけで気持ちが悪いな。弱い奴ほど強いとかいうあのクソ男の顔を思い出してしまった。やっぱり掛け声での最後の一撃はカッコよかったなぁ……僕もやりたい。
ちなみに遊〇王のラ〇ァゴーレムとジ〇ジョの三部のスタ〇ドのラ〇ーズですね。最弱が最も最も……みたいなことを言う人です。興味があれば調べてみてください(笑)。