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4章4話 テンプレートが過ぎるです

書けたので投稿します。

少し長めです。アイリ成分多め……?

「ということで少しだけ実家に帰らせてください」

「……意味がわからないかしら?」


 僕は深々と頭を下げてセイラに聞いていた。

 おかしいな、しっかりと説明したはずなんだけど……。仕方ない、もう一回説明し直してからチャレンジだ。


「武器作成と仲間を迎えるために準備がしたいんだ。僕からすればジルとミドの武器は貧弱だからね。セイラを守るためには少しばかり頼りない気がしたんだよ」

「……そこは分かるかしら。というか、ありがたいのよ。問題は後半ね」

「仲間を迎えるってところ?」

「そうかしら」


 少し頭を回してみる。仲間を迎えるってところに疑問を持ったり不思議に思うことはあるのかな。……まぁ、いきなり仲間が増えるってところで不思議にはなるか。それ以上の理由ってあるかな。うん、ないな。


「誤解していそうだから言うのよ。仲間を迎えるってことは奴隷を買うってことだと感じたかしら。その時に私が街を出る時に書類などを書かなくては行けないかしら」

「あっ、そういうことか。うーうん、全然関係ないよ。元から仲間だった人を連れてくるってだけだから」


 奴隷を買うってことは街から出る時にそこを指摘されてしまう。書類とかそれのせいで時間が取られるかもしれないしね。そういうことじゃなければ後から合流したで済む話だし。


 元から仲間っていうのは間違いないしね。

 だって僕と一番に長い付き合いなのは他の誰でもない僕のスキルであるイフだ。何にも代えがたい僕が異世界に来てから最初に仲間になった存在だしね。一応、体を作るための素材も少し足りない部分があるし武器素材も欲しい。ピッタリなんだよね。


「もちろん、休む分だけ他の人にやってもらうよ。それに皆の場合は僕が外に出ることを好んでいないしね。まぁ、素材集めの時も誰かを連れていけばいいだけだし」

「……断れないのよ。逆に武器提供を受けてもいいのか聞きたいかしら。質は、報酬はいくら払えばいいのかしら?」

「実は僕達が使うものよりも少し劣る程度だけど。ただそこら辺で高く売られているだけの武器よりは高品質だ。金銭はいらないかなぁ。……代わりにセイラが何か考えてくれてもいいよ。ぶっちゃけ、お金には困っていないかな」


 そう言うとセイラは黙った。

 まぁ、目に見えて欲しいって言われるのがお金だしね。ましてや地位とかも要らないって前に言っていたし。それじゃあ、何を渡せばいいのかって話になる。


 セイラが、っていうのがミソね。僕からすればセイラが一生懸命に考えて渡してくれたものなら何でもいい。地位はいらないけど。グリフ家の騎士とかの方が全然嬉しいわ。


「……考えておくのよ。その代わりに武器のお礼は出すけど休む詫びはしっかりと渡して欲しいかしら?」

「あー……その手で来るかぁ……」

「ギドも私に何か贈り物をするのよ。いいかしら?」

「分かった。任せてよ」


 それなら素材はもう少し多めかな。セイラに渡すのなら何かネックレスとかの方がいい。指輪とかでもいいかな。……左手の薬指に付けてやったらどんな反応をするんだろう。


 決まりだ、能力の良い指輪を作ろう。


「……その笑顔は卑怯なのよ」

「セイラの笑顔の方がズルいと思うよ?」

「……オアイコってことに……しておくかしら」


 いきなり笑顔がどうこう言われても何も言えないよ。それに僕の顔よりもセイラとかの方が綺麗だしね。僕からすれば仲間とかセイラの方が可愛い。僕よりもセトさんの方がイケメンだね。


【セトはイケメンタイプですがマスターは可愛いタイプです。そのためマスターの仲間のほとんどが可愛い顔好きです。セイラも似たようなものですね。マエダアツシもカッコイイ顔というよりは幼さの残った顔です。そのために話し方を威圧感のある話し方にしていたみたいですが】


 うっわ……それは聞きたくなかったなぁ。

 鏡とかを見る度に僕の顔って可愛さが抜けたなって喜んでいたのに……。可愛いよりもカッコイイの方が最近は嬉しいんだよね。同じクラスでも似たようなことで悲しい過去がある子もいるし。


 そのままセイラの部屋を出た後にミッチェルとシロの元に向かう。今回は少数で行きたいので五人以下で行くっていうことを重視したい。後、いつものような考え以外が思いつくかもしれないからミッチェルとシロ以外かな。それを話すのにはものすごく心の準備が必要だな。


「ごめん、皆いる?」


 時間自体は朝食を終えてすぐ、つまり馬車を動か少し前だ。セイラ以外は全員で今日の役割を話しているはずだしジルは二度寝しているはず。中に入るとやっぱりと言うか全員がいた。ジルの休みはセイラに伝えていたからゆっくり寝ている。


「おう、どうかしたのか?」

「ミドには話していなかったけど今日から僕は少し席を外すんだ。だから、連れていく人を選ぼうと思っていてね。もちろん、許可も得てきたよ」

「程々にな」


 ミドの言葉は普通だったけど背後では皆が火花を散らしていた。誰が一緒に行くかって話し合いなんだろうけど……まぁ、相手は決めているんだよね。


「皆、悪いけど今回は誰と行くか決めているんだ。いつも一緒にいない人といようと思っていてね」

「反対!」

「ダメだね。今回は色々とやりたいことがあるんだ。その上で新しい意見が欲しい。シロがどんなことを話すのか、考えるのかよく分かるからね」

「……反対」


 意見は曲げない、そんな感じで僕を見つめてくる。でも、考えは曲げないよ。シロはいい子だからしっかりと伝えると納得してくれるんだ。僕はよく分かっている。


「だから、イルルとウルル、アイリとアミを連れていこうと思う。一緒に行くなんて滅多にないしね。ちなみに四人は嫌かな?」

「別にいいのだ!」

「……仕方ありませんね!」

「我らは求められれば行くだけなのだよ」

「同感です」


 四人からの許可も得た。

 後、あるとすればこれくらいかな。


「ミッチェル、少しだけ僕はミッチェル離れをしないといけない気がするんだ。いっつもいっつも近くにいたら大切な理由も分からなくなってくるし。シロも一緒。アキとキャロは仕方なくかな。エルドとロイスは男同志の話の時にいつも話をしているし」

「いえ……あの……ギドさんがしたいのであれば間違っていなければ阻む気もありません。それにアイリとアミがいるなら安心です。ただ夜は帰ってくるんですよね……? そこだけが心配なだけです」

「うーん、微妙かな……帰れそうなら馬車に戻ってくるけど用事が重なるなら家でササッと寝るかもしれない……」

「大丈夫ですよ。私達が見張りますし主様が私達に先にそのようなことをするとは思えません。私達からもそのようなことをしないので安心してください」


 そのようなこと、って所はよく分からないけどアイリからミッチェルに対してフォローが入った。アイリがそういう発言をするのは初めて見たけど僕と一緒にいたいのかな。まぁ、ツンデレだし……。


 そのようなこと……全然、見当がつかないなぁ。ミッチェルも「そうですか」と悩んでいるし間違った解釈をしているわけじゃなさそうだけど……やっぱり童貞の女心の分からない僕には分からないや。


 ほどなくして考え終わったのかミッチェルが頭を上げた。


「行ってきていいですよ。シロは私から説明しておきます。アキとシロとロイス、エルド、キャロならある程度強い魔物が現れても何とかなるはずです」

「うん、僕もそう思うかな。後、シロこっちおいで」

「……うん」


 トテトテと少し元気がない様子でシロが僕のところまで歩いてきた。飼い主に待てと言われた子犬みたいで可愛いけどダメだ。心を鬼にして置いていかないといけない。シロも僕離れをさせないと……。


 そのままギュッと抱きしめる。


「数日間だけど帰れるか分からないからね。今のうちに魔力を渡しておく」

「……気持ちいい」


 普段は夜の寝る前とかにしてあげるけど出来るかどうかわからない。もしとか仮にで動くのは不確定過ぎるから余り好きとは言えないけど無駄にはならないはずだ。特にセイラの護衛依頼だから不確定が起きてからでは遅すぎる。


 その後は四人を連れて転移を行った。……だけど割と離れていたせいで森まで来た瞬間に眠気が襲ってくる。まぁ、魔力回復ポーションがあるから全然、辛くないんだけどね。少しだけ転移に対するMPが足りなくてHPも削れていたけど想像以上に減っているわけではない。


「大丈夫なの?」

「ああ、少しだけ無茶しただけだよ。数分間だけやすんでもいいかな……?」


 仲間内で気を遣う気はない。休んでもいいのなら休む。それに四人にずっと気を遣われていても楽しんで遊べないし。これも一種のデートだから。


「……ほら、ここにどうぞ」

「アミ達は周囲を警戒してくるのだ」

「我からすれば名残惜しいのだが……」

「仕方ないです」


 森の中ということもあって木に寄りかかるアイリのお腹で少し休ませてもらった。警戒するとは言っても心配してくれているのか、半径二十メートル以内に全員がいる。まぁ、アミの索敵能力は桁外れに高いしね。イルルとウルルも魔族ならではの周囲の変化を測れるし。一緒に戦うことが少なかったから知らなかったけど。


「……少し唇が青いですね」

「うん? そうなんだ……。何? 心配してくれているの?」

「べ、別に主様のためではありません! 主様がいなければアキやアミが泣くだけで仕方なくです!」


 うっわ……ここぞという感じのテンプレ的なセリフだなぁ。若干、頬も赤いから絶対に嘘だって分かるけど。それに騙すのなら僕のお腹に巻きついて先っぽだけ嬉しそうにスリスリしてくる尻尾を何とかしないとダメでしょうに。


 本当にからかいたくなってくるなぁ。


「ひゃっ」

「アイリは僕のこと好きじゃないんだ……。こんなことをしてくれるのだって僕のためじゃないんだもんね……」


 尻尾の先を摘んだり伸ばしたりしてモフモフを楽しむ。やっぱりゾンビウルフっ娘の中で一番にモフモフであるだけはある。


「何度も言っていますがそれとこれとは別です! 主様のことは大好きです!」

「うんうん、やっぱり素直なアイリは可愛いな。シロ程とは言わないけど積極的に来てもいいんだよ?」

「……今は二人だから言えるだけです。他にも誰かがいたなら言えていませんよ?」


 それは知っている。ってか、それを知らないわけがない。今は恥ずかしさより感情が勝っているだけだしね。ミッチェルとかいたら譲っていただろうし。


「ミッチェルだってアイリが一言言えば許してくれるよ?」

「いえ、私達の中では約束があるんです。アミもそれを分かっています。だから私達から何かをする必要はありません。それに例え主様がそう思っていなくても私達は魔物でしかありませんから」

「魔物ねぇ……」


 少しだけ具合が悪いのが抜けてきた。

 それがアイリの世迷いごとというか、弱音でなかったら嬉しかったんだけど。魔物であることがそんなに嫌なのかな。それに今の姿を見て魔物だって誰が言えるんだろ。


「割と気にしているよね。なんで?」

「魔物が人を好きになってはいけないと思いませんか? それにゾンビウルフだって人からは畏怖され嫌われています」

「でも、今は人狼でしょ?」

「今は人狼でも元はゾンビウルフであることには代わりありません」


 頑なだねぇ。まぁ、そこは主である僕譲りかな。それに立場が違うのと似たようなものだろう。昔からよくあった村人と貴族の自由恋愛みたいな。そんな葛藤がアイリの中であるんだろう。


「でも、好きなんでしょ?」


 意地悪だよね、でも、それ以外に何を聞けばいいか分からない。よく女の人が恋愛の話をしている時があるけど、それって何を返せば正解かなんて分からないよね。でも、それの正解っていうのは大概、それを相談してくる女性の中で決まっている。


 それなら僕から言うことは無い。

 当然のように首肯してきた。


「ならいいじゃん。僕からすればアイリはいないと困るだけだよ。普段から取ってきてくれている薬草とかだってないと僕が困るし。種族的な問題? それなら僕だって魔族だよ。下手をすれば僕も魔物から進化して吸血鬼になったのかもしれないし」


 それにその考え方なら僕がミッチェルやセイラ、ジル、キャロと付き合うことは出来ない。一緒にいてはいけないはずだ。それでもミッチェルに関しては僕を許してくれた。魔族でもいいって言ってくれた。それがどれだけ嬉しかったことか。


 そして今の僕の仲間でそれを否定する人はいない。セイラは少し分からないから少なくとも人以外の人種を差別したりしない。キャロだってエルドだって僕の仲間で傷を負っていない人はいないんだ。ゾンビウルフの三人は進化したばかりで人の世界を知らないけどね。


 詳しくは聞かない。でも、イルルだってウルルだって辛い過去がある。それは僕が話した時に節々から感じるんだ。心に傷があるからこそ気が付ける黒い何かがあるんだよね。だからこそ、イルルやウルルもサキュバスの観点からアイリを否定しやしない。ただの変態二人組だ。


 そんな僕を甘やかす空間にヒビを入れたくはない。僕は至って身勝手な存在だ。もし邪魔をする存在がいたならば僕は自分の気持ちに従って排除していただろうね。


 だけど悩んでいるのは僕の大切なアイリだ。本気で悩んで本気で考え抜いて欲しい。僕もそれを考えて自分なりに辿り着いた正解がある。答えは何も一つじゃないんだ。今更になって気がつけるほどに僕は馬鹿だったけどね。そう、僕は思っているよ。言えはしないかな。きっと恥ずかしくて目を合わせられなくなるから。言わないだけ、それでも心の奥底では何にも代えがたい存在がアイリなんだ。


 そして……本当は伝えたい。

 アイリは今のままが一番好きだって。


「アイリは今のままでいい。嫌ならどこかへいなくなってもいいよ。でも、帰ってきたければ帰ってきてくれ。家を暖めておくから。アイリの場所は壊させないから」


 でも、そんなことを伝えられるわけもない。

 僕は勇気がないからね。本当に恥ずかしさに負けてしまうよ、きっとね。


 だから、今言えることは僕がアイリに優しさを感じさせる言葉だけだ。アイリが僕を好きなのは知っている。嫌だと言って出ていくのなら本当にそれでもいい。例え馬鹿にされてもアイリが戻ってくるのを待っているだけだからね。


「っと、もう楽になったから進もうか。もう少し先に僕が素材を集めている洞窟があるんだ。それと新しく出来ているダンジョンもあるしね。そこで何か新しい発見があるかもしれないしダンジョンコアも手に入るしいい事づくめだ」

「……そうですね。主様?」

「うん?」

「馬鹿ですね! 私なんかに優しくするなんて!」

「とか言って抱きしめてくるのはどうかと思うよ。本当に素直じゃないな」

「こうした方がキャラが立ちますし主様に愛されますから!」


 うわ! 言い切ったよ!

 まぁ、元々がそういう性格なのだから直す気もないってだけだよね。確かにアイリの言う通りこっちの方がからかいがいがあって可愛いし。それにここまで言い切ってくれるアイリが可愛くてしょうがないな。でもさ、抱きしめる力が普段より強いんだよなぁ。僕以外の男なら背骨がバキバキに折れますぜ?


 抱きしめ返す。キスとかはしないかな。そんな雰囲気だけど場所が悪すぎる。森の中って空気はいいけど家の方がゆっくり出来ていいし。代わりに尻尾の先をいじくりまわしておいたけど。めちゃくちゃ頬を赤らめていました。アイリの尻尾は敏感っということですね!

ツンデレの女の子ってものすごく可愛くないですか? ツンデレ娘に死ぬほど愛されたい、ですね! こんな感じで少し長めに五人での話を書いていこうと思います。後、書きだめを作れたので今週の土曜日にもう一度、投稿が出来そうです。楽しみにしてもらえればありがたいです。


※マイページの自己紹介文を書き直しました。願望や希望が垂れ流しですがこんなイメージで書いていると言ったことを書いたので、それを読めばより楽しんで読めるかもしれないです(案外、逆かもしれませんが)。また他の作品についての説明をしていなかったのでそこについても言及しています。興味があれば読んでみてください。本当に申し訳ありませんでした。

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