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3章25話 俺は人間を辞めるぞ! です

タイトル詐欺です。

好きなだけです、はい。

令和最初の投稿……。

「酷いな、仲間じゃなかったのか?」


 僕の目の前にいた男は何も喋らない。

 それどころかエスの首を切り飛ばした剣を構え出した。おかしいな、ここまでコイツはイカれていなかったはずだ。


 まぁ、コイツが動いているのは分かっていた。だってフウと依頼を受けた後に洞窟に入って行ったのはイフから聞いたし、それにこの場面で仲間だって思えるほどお花畑の頭を持ってはいない。


 ステータスを見たけど状態異常ではないようだ。剣も禍々しいけどこれに操られたって感じじゃなさそうだなぁ。これならフウ達と一緒に来ればよかったかな。一応、エスを殺してしまうかもしれないから見せたくなくて一人で来たんだけど。


 まぁ、あそこまでボロカスにされている姿を見れば恨みも晴れた。それに喜ぶべきか悲しむべきかエスは死んだし。目を離した隙に死んでしまった。死体は消えた。そういうことで燃やしておこう。南無ー。


 生憎とこんなクソ野郎を生き返らせようとするほど、優しい心は持ち合わせていないのでね。欲しいというかイフから成分を得ておきたいって言われていた角の呪に関しては手に入っているしね。


 逃げるー、なんてことも出来ないかぁ。

 ほぼほぼ勘でしかないけど目の前の男を操っているのが、プロトとかガットのメンバーだろうしね。そうなればここで逃がしていいことはないかな。特に目の前の男の場合、ある程度の立場だから好きなように出来るし。


 こういう面倒な立場がある相手こそ面倒くさいものは無いなぁ。殺すことも出来なさそうだけど状態異常を治せるとも思えないし。それにこれはヤバそうだ。……僕よりも強いよね? こいつ。


 恥を忍んで時間稼ぎに徹するしかないか。

 フウが来れば倒しやすいだろうからミッチェル経由で伝えてもらおう。多分、僕とフウ以外がいれば戦いの邪魔になるから来ないでもらって……まぁ、セイラの方はアキ達がいるから心配しなくていいし。


「うおっ」

「貴様には心身共に削られることをされたからな。その報いは受けてもらおう」

「そっちが勝手にやったのがいけないだろ。このスタンピードだって、なんだってさ」

「これが神のご意思なり」


 男の手にあるメリケンサックと僕のドレインがぶつかり合う。大丈夫、ドレインは色々と魔改造してあるから折れる心配もない。下手をすれば初期の値段よりもかなり上昇しているだろうね。株で大成功した時くらい一気に。


「お前の神に縋るつもりは無いね」

【展開完了!】


 そもそも一人で戦うつもりはない。

 僕は体の中に他の意識、イフがいるわけだから並列して他のことを考えられる。相手が強いのなら弱らせればいい。目の前の相手と均衡して守りに徹することしか出来ないのなら魔法はイフに任せればいい。


「呪の力ァァァ!」

「うるさいな! カース!」


 形状は霧。効力は薄くてもいいから広範囲に確実に男に呪われるようにさせてもらう。時間稼ぎならいくらでもやり方があるしね。攻め手に欠けているのなら守って形勢逆転を狙うだけだよ。


「神はお怒りだ」

「あっ……」


 ヤバっ……舐めていたかも……。

 相手を弱体化させているし弱くなっているのは分かるけど結構強い。全部受けきるなんて人間離れしている行動は出来ないし仕方の無いことだけど腹に付いた傷はかなり大きい。


 薄め過ぎたのが問題だったか……。いや、当たらないことの方が問題だからメリットの方が大きかったはずだ。嫌なくらいにデメリットの方が作用しただけだね。


「まだだ!」

「さすがにこれ以上は受けられない!」


 男の拳をドレインで逸らして呪魔法と回復の両立を図る。今のところは出来ているけど片方を重視しているわけじゃないから、呪魔法の効力はさっきより薄いし、回復も大してしていない。つまり器用貧乏みたいなものだ。


 あれ? これってかなりカッコ悪くない?

 一応、助けに来て助けようとしていた相手は死んだし、助けに来た僕も死にかけている。正義のヒーローとかなら嘲笑われてしまうくらいに雑魚すぎる。


 そこまで来て考えをやめる。

 というか、よく考えてみれば呪は効いていないわけじゃないし、それにフウもそろそろ着く。そこまで気負わなくていい。空いた片手にワルサーを顕現させて交差させる。


 とりあえずカッコつけよう。

 余裕だ、みたいな感じを見せれば動揺するかもしれないしね。


「最後の足掻きか」

「いやいや、操られている人に言われたくないんですけど?」


 結局、上手くはいかないみたい。

 操られているからか、そこまで恐怖というものに思考はいかないみたいだ。それに今まで話してみて思ったけどこの人の話し方ってこんなんじゃなかったしね。


 メリケンサックでの殴打に合わせて一発目はドレインで、二発目はワルサーで受ける。二発目の時はワルサーの銃口を向けて受けたから、その時に撃ち込むのも忘れない。


 バン、と大きな銃声がしたけどそこまでの威力はないみたいだ。だけど玉の錬成の時に呪魔法を絡めているので当たれば弱体化は必須のはず……今更効かないとかはやめてほしい。呪魔法が当たってステータスが下がったとしても、なぜか目の前の男のステータスに変化はないんだよね。


 最初の攻撃よりは弱くなったとは思うけど。


【すみません! 遅くなりましたが追加で身体強化をかけておきました!】


 それはありがたい!

 というか、僕がいっつもしてもらっていた身体強化って効力が弱くなる時があるんだね。目の前の男のステータスのバグみたいなのが男を強くさせた力なんだろうけど。


 再度、攻撃を受ける。

 ダメージを受けないことが分かっているからか避けもしない。かなり嬉しいことだけどね。こっちからすれば避けられなければ倒せる算段が立てられるし。


 でもね、身体強化をかけ直した、そして呪われたお前が相手ならかなり変わってくるんだよ?


「おいしょっと!」

「なっ! グッ……」


 傷がついた。

 それも腹に大きな横一文字の大きな傷が。


 血が垂れている。

 たらりと多めに流れている血を見て少しだけ疼いてきた。やっぱり僕は吸血鬼なのかもしれない。……いや、吸血鬼でした。血も吸わないから吸血鬼であることを忘れてしまっていたよ。


「血液操作」

「なっ……貴様ァ!」


 流れた血から鉄分だけを取り除いていく。

 血液の中に鉄分っていうのはかなり少ないけど異世界人っていうのは鉄分を多く含んでいるみたいだ。もしかしたら異世界の食べ物に鉄分を含むものが多いのかもしれない。よく考えてみれば貧血とかを起こしたことはないしね。


 そして鉄分だけを取り除いたらどうなるか。

 人の体っていうのはヘモグロビンが酸素と結合することで全体に運ばれていく。つまり貧血気味になるってことだね。それも鉄分が足りないって言う時で、それだから無い状態ならどうなるかなんて考えられない。


 全身に酸素が運ばれないってことだからね。運動はおろか、動くこともままならないだろう。今だって極端に動きが遅くなったし。僕が斬撃を加えても綺麗に傷がつく程に脆くなってきた。


 さっきまでの猛攻が嘘みたいだ。

 これは……怖いなぁ……。もし僕みたいに血とかを操れて、成分とかを上手く扱える奴がいたら簡単に殺されそうだ……。僕だって万能じゃないんだから人と同じく死ぬ。首チョンパで死なないのは違いの一つだけどね。


 受けては切って、切っては受ける。

 呪は十分だから威力に振った銃弾で撃ち込んでいく。何故か分からないけど爆散させられる銃弾とかはMPから生成出来ない。多分、これは心器の、成長の過程で得られる能力だと思う。だから、似せる。


「これは避けられないだろ?」

「ガッ!」


 目は血走り少し知的そうだった見た目が崩れていく。いや、粗野そうな見た目だったから大して変化はないかも……? 案外、こっちのほうがモテるんじゃないか? THE野獣みたいな雰囲気だけどね。


 えっ? 僕は御遠慮しておくよ!


 引き金を引く。

 ワルサーに入れられる装填数が八しかないので八発、連射させてもらった。その時の銃弾も呪付与ではなく火力重視だ。某ゲームの説明欄みたいなら『銃弾、火力に振られており銃弾の中に火魔法を混ぜ込められている。インド象を一撃で仕留められるほどの威力がある』、こんな感じかな?


 実際、当たった際に男は吹き飛ばされて街の家々を貫いていった。これはさすがに僕が悪いことにはならないよね。災害の保険ってことでお金が下りるはずだ。こんな街の人達にお金を払いたいとは思わないし。


 再度、銃弾の生成。

 火魔法をまた含めているので威力は高いはずだ。悪いけど逃がす気も許す気もない。殺されかけたんだしね。それくらいは許されると思うんだ。だって、殺しに来たのなら殺される覚悟は持っているはず。指を鳴らされながらそんなことを言われるだろうからね。


 飛んで家の壁にもたれかかっている男を持ち上げた。よく考えてみれば殺すのは初めてかもしれない。ルールが攻めてきた時だって殺しは……してないよなぁ。僕ってそういう所で勇気が出ないタイプだし。いや、ドリトルの連れてきた人達は別だよ。クズしかいないし人として扱ってはいけない、盗賊みたいな存在だし。


 まぁ、殺す必要はないか。ドリトルの仲間ほど悪いことをしたわけじゃないし、殺すことで僕が悪人にされる可能性もある。その代わりにより残虐な最後を終えることになるかもしれないけどね。


 髪の毛を掴んで顔を上げさせる。

 朧気に焦点の合わない目で僕を見てくるのがどうも苛立った。だからといって当たりはしないけどね。これからより酷い目に会うんだから。


「魔眼」


 僕の声と共にアナウンスが聞こえた。

 よく聞きなれたイフの声だ。


【魔眼のレベルが上がりました。吸血鬼の条件を達成したため心器が派生。ドラグノフ狙撃銃の形状を獲得しました。魔眼も同様に派生し石化を獲得しました。おめでとうございます!】

このままスタンピードの時の動きを書いていくと思います。もしかしたら視点を変えて他の人の動きも書くかも……?


後、鉄分の話はもう一つの作品の主人公が使った戦い方や某バトル漫画のジ○ジョのキャラから考えています。さすがに刃物とかは作らせませんでしたけど。


というわけで、アリーヴェデルチ! また次回!

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