P.S.28 オンライン百科事典:ヴシルオーダー
ヴシルオーダーは、世界全域の諸問題に対応する諮問機関、治安維持組織である。
一般的には世界の警察と認知されており、自身もまた地球の自由と尊厳の守護者を標榜する。
ヴシル教の名を冠し、その教えが理念の中心に据えられてはいるが、ヴシル教の宗教団体としての活動は一切行っていない。
概要:諸問題の諮問、調停、治安維持
略称:オーダー、VO
代表:評議長シミュラ・マヴァローテ
状況:活動中
活動開始:新暦395年
本部:ルィルバンプ市国
活動地域:世界
公式サイト:*********
母体組織:ジェベルダイナ、旧ヴシルオーダー
目次
1.概要
2.歴史
3.構成組織
4.地位や階級
1.概要
ヴシルオーダーは、魔術と科学がもたらす知識を信奉し、地球文明の発展と平穏、秩序の維持に努めることを第一義とするヴシル教、そしてその信奉者たるヴシルたちによって構成される。
現在(注:1579年12月15日の記録)の総所属構成員は35万3384人(イニシエイトを除く)。
本部はカスピ海南岸のルィルバンプ(注:この都市が本当にルィルバンプかどうかは現在疑義が上がっている)。
その起源は極めて古く、成立時期はヒノカミ皇国よりもなお古い古典時代であり、世界最古の組織団体でもある。
成立当時は治安維持組織としての面が強く、軍隊をほとんど持たなかったコルトウィーン共和国の治安を委託される提携団体の立場にあった。
ただし調停者としてのあり方はこの頃から既にあり、ヴシルたちは卓越した魔術とそれを扱うための魔術書を携帯して象徴とした。
組織としての仕組みは現代でも多くが踏襲されており、学術院で教育が行われていたり、組織外から直接アプレンティスとして弟子入りできるなどするなどの例外もあるが、古典時代からの形態を維持している部分も多い。
冒頭にもある通り、名前にヴシルの名を冠しその教えが理念の中心に据えられているが、宗教団体としての活動は一切していない。
それどころか、状況に応じてヴシル教の教義に反した活動を支援することがあるため、過去数回に渡ってヴシル総本山から破門されたことがある(都度解除されている)。
2.歴史
ヴシルオーダーは古代後期、当時の太陽王国において初代太陽王、グライ=ア・ライオによって設立された研究機関、ジェベルダイナを前身とする。
三大聖書の精査と研究を旨としたジェベルダイナはやがてそれぞれの聖書を特に重要視する三派閥に分かれ、太陽王国の滅亡と共に野に下ることとなる。
やがて血みどろの戦いの中で、科学派、魔術派と呼ばれた派閥が後太陽王国のラーゴの下で集い、世界再統一に大きく寄与した。
彼らはコルトウィーン共和国の成立と共に弾圧された旧未来派の轍を踏まぬよう、共和国の守護者として振舞うことで組織としての体面を維持することに成功し、以降このための組織としてヴシルオーダーを名乗ることになる。
名前の由来は神語で戦士階級を示す「武士」が最も有力視されているが、確定した説は今のところ存在しない。
古典時代の旧ヴシルオーダーは時代を通じて治安維持を担い、世界の平和と正義の守護者として振舞うのみならず、魔術、科学両面での発明も世に問うなど多くの活躍をした。
しかし時代が下るにつれ、共和国内での戦闘行為がほぼなくなり、調停者の面が強くなると、膨張を続ける共和国の変化に対応しきれなくなっていく。
さらには徹底して姿を隠し続けていたロウの策略に少しずつ絡め取られていき、最終的には世論から見放され共和国の崩壊と共に組織としての体裁をほぼ失うことになる。
生き延びたわずかなヴシルたちはやがてロウの圧政に対抗するため集まり、オーダーを再建。人々を守る旗頭として、暗黒時代を一貫して戦い続けることになる。
この時代ではロウに対抗するためヴシルたちが国の先頭に立ち、国家運営の中枢を担っていた。また神々への信仰心が薄れたこともあり、知識という概念を信仰するヴシル教の躍進とともに強大な権力を持っていた。
しかしやがてロウが滅び暗黒時代が終わると、ヴシルオーダーは古典時代の反省から政教一致の状態を憂慮し、政治から身を引いてどこの国にも属さない諮問機関、治安維持組織へ徐々に体制を移行させる。
体制の移行は黎明時代を通じて段階的に行われ、新暦395年に時代区分が中世に移り変わると共に皇国から完全に分離した組織団体となり、この年が一般的に現ヴシルオーダーの発足年と理解されている。
3.構成組織
評議会と義法院を筆頭に、いくつかの下部組織を持つ。主たる組織を下記に記す。
・評議会
ヴシルオーダーの意思決定機関。三権における立法をつかさどり、一般的な国における国会に相当する。
各組織の代表を中心とした総勢500名からなる評議員で構成され、その中から選定された評議長を長とする。
評議長は同時にヴシルオーダーの長として見なされる。現在の評議長は、ビザンツ帝国出身のシミュラ・マヴァローテ。
評議長の任期は種族によって差を設けられており、どの種族によらず二期まで。それ以上の就任は禁止されている。
オーダーの頂点とも言える組織であり、ここでの決議に応じてオーダーは活動する。
旧オーダーの流れを汲むため、複数の組織を持つ現オーダーの中でも最古の組織と言える。
・義法院
ヴシルオーダーの裁判機関。三権における司法をつかさどり、一般的な国における裁判所に相当する。
評議会によって任命される総勢500名の法議員で構成され、その中から選定された法議長を長とする。
任期などの設定は評議会にならうが、その期間は評議会の半分に設定されている代わりに就任の上限は六期までとなっている。
オーダーのもう一つの頂点とも言える組織。評議会の決定に異議を唱えられる組織であり、評議会と義法院は互いに互いを監視する役目も持つため、評議員と法議員の兼任は不可となっている。
・調停院
ヴシルオーダーの主たる活動の一つ、問題調停を行う組織。人権問題や国家間紛争、宗教対立など、様々な問題に対して調停と解決の模索を行う。
ただし相応の戦力も有しており、大規模な犯罪捜査や要人警護などが行われる場合は、騎士院と合同でこれに当たることも多い。
・騎士院
ヴシルオーダーの主たる活動の一つ、治安維持を行う組織。あらゆる犯罪捜査や犯罪逮捕に携わり、各国の連携を図るほか、要人警護や暴動鎮圧、災害救助なども行う。
世間一般に認知されているヴシルと言えば、調停院とこの騎士院の人間であることがほとんどである。
・学術院
ヴシルオーダーが運営する教育機関。幼年部から大学部まで、それぞれの年齢や能力に応じた学校を持つ。
入学自体は何の制限もないため、世界中から年齢、種族、性別問わず様々な人間が所属する。
オーダーの関係者以外が所属することのできる数少ないオーダー内組織であり、地上世界では唯一の完全学費無料の教育機関。
・知求院
ヴシルオーダーが運営する研究機関。魔術、科学だけでなく歴史や言語など、様々な分野の研究を行う。
知識の希求こそヴシルの本懐であるためか、アポストルに昇格後の進路としては最も選ばれる。しかし同時に、上位階級に上がることが最も難しい機関でもある。
大エルフ学芸国にも匹敵する規模の機関であり、アカデミーと同じくオーダーの関係者以外が所属できるオーダー内組織である。
4.地位や階級
それぞれの組織ごとに地位や階級は制度的にも名称的にも異なる。
しかしヴシルオーダーとしての地位は共通しており、以下の通りとなる。呼ぶ際はヴシルに階級名を続けるか、ヴシルの部分を省略して呼びかけることが多い。
なお新ヴシルオーダーにおける階級は古典時代の旧ヴシルオーダーとは異なり、内容ごとに細分化されている。
・イニシエイト
学術院の各学校に所属するすべての生徒が該当する。
学校ごとに異なる徽章が与えられるが、どの学校も星を背景とした白い意匠を基調としている。
飛び級などにより、生徒でありながら上位の階級を得ている場合であってもこちらが優先される。
・アプレンティス
ヴシルオーダーに所属することを選び、師の下でヴシルとしての修行を積むものが該当する。
星の背景に種子をモチーフとした赤色の徽章を与えられる。
既に上位の階級を得ていてもなお、師の下で修行を積むことを望むものもこちらに属する。
なお、以上の二つは旧ヴシルオーダー時代はまとめてアプレンティスであった。
・アポストル
修行を終え、ヴシルとして一人前と認められたものが該当する。
星の背景に十字をモチーフとした銅色の徽章が与えられる。
アプレンティスを取ることも許されており、一般的に人々が目にするのは概ねこの階級のものである。
旧ヴシルオーダーにおけるナイトに相当。
・リブラ
アポストルの中でも、調停院における功績が認められたものに与えられる上位階級。
二重の星の背景に天秤をモチーフとした銀色の徽章が与えられる。
・ナイト
アポストルの中でも、騎士院における功績が認められたものに与えられる上位階級。
二重の星の背景に剣をモチーフとした銀色の徽章が与えられる。
・ロード
アポストルの中でも、学術院における功績が認められたものに与えられる上位階級。
二重の星の背景に本をモチーフとした銀色の徽章が与えられる。
・ビショップ
アポストルの中でも、知求院における功績が認められたものに与えられる上位階級。
二重の星の背景に樹をモチーフとした銀色の徽章が与えられる。
・マスター
リブラ、ナイト、ロード、ビショップの階級にあるものがそれぞれの分野でさらなる功績を積むことに加え、リブラ、ナイト、ロード、ビショップのいずれかに昇進した弟子を輩出した際に与えられる。
三重の星の背景に、元の階級から意匠を引き継いだ金色の徽章が与えられる。
ヴシルオーダーにおける最上位の階級であり、伝統的にオーダーに属する各機関の長はマスター階級のものが選ばれることがほとんど。
今のところ歴代の評議長、および法議長はすべてマスター階級のものが選ばれている。
なお、世間一般においてはアポストル以上のものをマスターと呼ぶ慣習があり、人によってはアプレンティスに対してもマスターと呼ぶことがあるが、ヴシルオーダーにおけるマスターはあくまでこの階級を指すものである。
・グランドマスター
マスター階級だったものが死後、生前の功績が特に大きいと認められたものに贈られる階級。生前に与えられることはない。
エルフ史の特徴である英雄であることを示す称号が同時に与えられるため、その審査は非常に厳しい。このため、現ヴシルオーダーが発足してから現在までのおよそ1200年の間にグランドマスターと呼ばれるに至ったものは、わずか一名しかいない。
ただし、旧ヴシルオーダーにおいては評議長を意味する階級だったうえ、暗黒時代における勇者の中には特例として与えられることも多かったため、歴史的にはこの階級に至ったものは非常に多い。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
久しぶりのウィキ回。そろそろ出してもよかろうと思い、満を持してヴシル。
ええまあ、ほぼほぼ銀河共和国騎士ですね! 元ネタがそれだからしょうがないところもありますが!
そして作るだけ作っておいて、この設定がどこまで作中に活かせるかというとそれはまた別の話で・・・(目逸らし




