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春を待つ君を想う

作者: 彩戸ゆめ

悪役令嬢・婚約破棄・ざまぁという三種の神器に挑戦してみましたが、何かが違う気もします……

あれぇ?

 眼下に広がるのは、かつて彼女が住んでいた街だった。

 花の都とも呼ばれたその街は、季節ごとの花があふれ、行き交う人々の顔は笑顔と希望に満ちていた。


 それがどうだ。

 安息日ごとに市が立っていた広場はスラムに飲まれ、人々は背を丸め地面を見ている。人々の顔に微笑みはなく、ただ疲れ切った諦念があるだけだ。


「ジーク……国というのは、たった三年でこのように荒れ果てるものなの?」


 馬上の旅装をしている女性が、沈んだ声でそう呟いた。フードからわずかに覗く顔は白く美しい。頬にかかる一房の髪は、艶やかな黒色をしていた。


「上に立つものが道を誤れば、荒廃はすぐに訪れましょう。ですが再建するにはその何倍もの年月を必要とします。そして真っ先にその波に飲まれるのが、市井の民でございましょう」


 答える騎士は、黒く大きな馬の手綱を握り、玲瓏な顔を街へと向けていた。後ろに一つでまとめた銀の髪が、サラサラと風になびく。紫水晶のように美しい瞳には、何の感情も映ってはいない。


「なぜこうなる前に手を打たなかったのか……」

「あの愚かな彼らの事です。こうなる事は分かっておりました」

「そう……ね。行きましょう、ジーク」

「はい。エステル様」


 栗毛の馬と黒馬に乗った二人を先頭とした一団は、そのまま眼下の街へと向かって走り去った。






「エステル・アヴァリツィア 。侯爵家の一員でありながら、学園の生徒への暴言や暴力など許されることではないぞ!」


 学園の入口にある馬車寄せで、この国の王太子であるフォルティ・トルーズ・アルシスが、婚約者であるアヴァリツィア 侯爵令嬢を糾弾していた。

 燃えるような赤い髪と情熱的な黒曜石の瞳を持ち、国一番の美丈夫と謳われる王太子であるが、今やその顔は耐えきれない嫌悪に歪んでいた。


「フォルティ様。一体何のお話でしょう?」


 突然の事に驚きながらも、エステルはそれを表情には出さず、淑女らしく穏やかに聞き返した。だがそれがまた王太子の気に障るのか、一層声を張り上げた。


「しらばっくれるな!お前がマリア・カリタス男爵令嬢に暴言を吐き、あまつさえ暴力を振るったとの事、覚えがないとは言わせぬぞ!」

「そのような事、存じ上げませんわ」


 エステルは突然の非難に、アメジストのように美しい瞳を陰らせた。ぬばたまの黒髪をきっちりと結い上げた姿は、その凛とした立ち姿もあいまってとても美しい。


「嘘を申すな。私はマリアから全て聞いているのだぞ。侯爵家の権力を盾に、マリアに暴言を吐いたであろう。身分が低く反論する事もできぬマリアに、何度も詰め寄ったとか」

「確かに私はマリア嬢に忠告をいたしましたが、それは婚約者のいる方と親しくなさるのは淑女としていかがなものかという苦言でございますわ。マリア嬢が仲良くしていらっしゃる皆様は、いずれも婚約者をお持ちの方ばかりですから」


 エステルが視線をずらすと、そこには王太子の背に庇われたマリア・カリタス男爵令嬢がいる。ピンクブロンドの髪に桜色の瞳。薔薇色の頬を持つ彼女は、小柄な体を小刻みに震えさせながら王太子の服をつかんでいた。


 その周りには、マリア嬢の取り巻きと化した貴公子たちがいる。

 宰相家嫡男マキシム・コルベール、騎士団団長嫡男ロドリック・ディモン、魔法省の神童ラスル・ギーズ、そしてエステルの異母弟のレイモンド・アヴァリツィアだ。彼らもまた、秀麗な顔を憎悪に染めてエステルを睨みつけている。


「それだけならばマリアがこんなにも怯えるはずがなかろう。もっとひどい暴言を吐いたに違いない」

「そのような事、いたしません。それに証拠もないのにこのようにおっしゃられるのは、王族としていかがなものでしょうか」


 ため息をつきそうになるのをこらえてエステルが言えば、王太子は激怒して腕を振り上げた。そしてエステルの頬を思い切り平手打ちにする。

 体格の良い王太子に打たれたエステルは、声も出せずにその勢いのまま地面へ伏した。


 周囲で固唾を飲んで見守っていた生徒たちから、声にならない悲鳴が上がる。


「まだ言うか!お前がマリアを階段から突き落とした時に、これを落としたであろう!それが証拠だ」


 王太子が手にしているのは、見事なアメジストのブローチだった。それは王国にはない意匠で作られていて、エステルの母の形見の品だ。


「それはお母様のブローチ!失くしたのだとばかり思っていましたが、見つかったのですね」


 頬に手をやりのろのろと顔を上げたエステルが、そのブローチを見て顔色を変えた。打たれた頬が赤くなり、痛々しい。


「何を白々しい。失くしたのではなく、落としたのだろう!」

「いいえ。失くしたものです」

「嘘を申せ!マリアを階段から突き飛ばしたのはお前だろう!」

「私は階段からマリア様を突き落したりなどしておりません」

「この期に及んでまだ嘘をつくとは許しがたい!王家への虚偽を申した罪でひっ捕らえよ!今この時より、私はエステル・アヴァリツィアとの婚約を破棄を宣言する。その女は、罪人と心得よ」


 王太子の命令に、護衛騎士たちは一瞬ためらったように動きを止めたが、再びの命令にエステルの腕を取り拘束した。


「神に誓って、私は何もしておりません」


 無理やり立たされたエステルは、それでも毅然とそう言った。それがまた王太子の逆鱗に触れる。


「エステル・アヴァリツィアを塔の地下へ収監せよ!これは王命である!」


 ヒッ、っと生徒たちの間から悲鳴が上がり、ざわめきが起こる。

 普通、罪を犯した貴族は塔の上部へと送られる。だがそこは牢獄とはいえ、豪華な調度が揃い召使もつく快適な部屋になっている。望めば家族との面会もできる。

 それに比べて塔の地下というのは、凶悪な罪人が収監される牢獄の事だ。窓もなく湿った暗い部屋で硬いベッドしかない、まさしく言葉通りの牢獄だ。貴族の令嬢が収監されるなど、今まで聞いた事もない。

 そのような場所へアヴァリツィア侯爵令嬢を送って、国王陛下がお許しになるのだろうか。

 そこまで考えて、生徒たちは国王陛下夫妻が、帝国との停戦記念祝典の為に帝国へ訪問していることを思い出した。隣国とはいえ、帝国の首都からここまでの道のりは遠い。

 帝国から国王陛下が帰国されるまで、果たして侯爵令嬢は無事でいられるのだろうかと、生徒たちは案じる視線を交わした。


 だがそんな周りの不穏な空気にも気がつかず、王太子を始めとするマリア・カリタスの取り巻きたちは、今もなお怯えて不安げな彼女を励ますのに忙しい。


「ああ、マリア。心配しないでください。もうあなたを苦しめる悪女はいないのですから」


 宰相家嫡男、マキシム・コルベールがマリアの右手を取り、恭しくその手に口づけると。


「お前は俺が守る。何があっても」


 騎士団団長嫡男ロドリック・ディモンがマリアの左手を取った。


「僕は君だけにこの心を捧げるよ」


 魔法省の神童ラスル・ギーズがマリアのピンクブロンドの髪を一房手に取り、そこにそっと口づける。


「あんなのが姉だなんて、僕は恥ずかしいね」


 レイモンド・アヴァリツィアが姉の連れ去られた方向を憎々しげに見ながらそう言った。


 そして。


「マリア・カリタス。君のように優しく愛らしい女性こそ、私の妃にふさわしい。どうか私と結婚して頂けないだろうか」


 王太子がマリアの前に膝まづいて結婚の申し込みをするのを、生徒たちは冷めた目で見ていた。





 王宮が近づくにつれ、三年前の出来事がエステルの脳裏に蘇ってくる。

 あの後、塔の地下に連れて行かれたエステルは、すぐさま事の次第を知った宰相によって釈放された。王太子の命令に背いた結果罪に問われようが、国家の為にそうしなければならない事を彼は知っていたからだ。

 宰相とその部下が急いで塔の地下へ行った時、まさしく看守たちがエステルの牢へと押し入ろうとしている所だった。

 エステルは命だけでなく、心までも宰相に助けられたのだった。


 だからこそ、今こうして、もう二度と再びこの地を踏むまいと誓った場所へと戻ってきたのだ。


 エステルは胸に忍ばせた書状を服の上から確かめた。そして顔を上げると、横に並ぶ騎士へと頷く。


「大丈夫よ。もう私はエステル・アヴァリツィアではないのだから」


 そう。三年前にその名前は捨て去った。今の彼女は別の人間となったのだ。


 久しぶりに訪れた王宮も、すっかりかつての輝きを失っていた。所々に血の跡が残るのは、激しかった戦闘の名残であろうか。

 エステルは迷うことなく、ジークと共に謁見の間へと急ぐ。重厚な扉の前に建つ衛士が、エステルたちの姿を認めてその扉をゆっくりと開けた。


 重々しく開いたその扉の先で、エステルとよく似た色合いを持つ男が玉座に座っていた。男はエステルを見て、面白そうに片眉を上げる。見る者を全て虜にするような、怜悧な美貌の主がエステルを見下ろしていた。


「これはこれは、従妹殿ではないか。このような血なまぐさい所へ、あなたのような淑女がくるものではありませんよ」


 エステルは玉座に座る美貌の従弟の前まで行くと、臣下の礼を取った。


「オーガスト皇太子殿下にはご機嫌うるわしゅう。この度は私のわがままで皇帝陛下のお許しを得てこちらに参りました。この書状をぜひ皇太子殿下にご覧頂きたく思います」

「許す」


 エステルは横に立つ近衛に、手に持っていた書状を渡した。近衛からそれを受け取ったオーガストが、書状を読んで頷いた。


「なるほど。用件はあい分かった。従妹殿は優しいな」


 冷たく光るその紫の瞳に、ほんの少し暖かさをこめる。オーガストはしばらく思案すると、宰相を呼ぶように近衛に命じた。


「従妹殿も楽になさるがいい。それにしても、自分に辛酸を味あわせた王国の者へ慈悲をかけるとは、本当にあなたはお優しい」

「いいえ。私は優しくなどありません。ただ受けた恩をそのままにしておけないだけです」


 そう。けして優しくなどない。宰相には恩があるから助けたいと思ったが、かつて愛した人には一かけらの憐憫の情すら湧かないのだから。無実の罪で弾劾されたあの日を、エステルは決して忘れられない。


「それが優しいと思うのだが……。全く、この国の者どもは、どこに目をつけているのか分からぬな。女狐に籠絡されて、国を亡ぼす始末だ」


 オーガストが足を組むと、入口から入室を求める声が聞こえた。許可を与えると、両手を前に縛られたままの王国の宰相が入ってきた。幾分かやつれてはいるものの、年取ってなお、貴婦人たちに騒がれていた容姿は健在であった。宰相はエステルの姿を目にすると、一瞬目を見張ったが、すぐに平静を装ってエステルの反対側まで歩いた。


「さて、コルベール卿よ。わが従妹殿があなたの助命に訪れた。これを見るが良い」


 近衛にエステルの持ってきた書状を渡すと、近衛は玉座の下に下がって書状を広げ、コルベール卿に見えるようにする。

 そこにはかつてエステルの命を救った功績により、罪を軽減するという皇帝の勅命が書かれている。だがそれを読んだコルベール卿は、首を振って視線を床に落とした。


「有難いお申し出ではありますが、私は罪人として裁かれなくてはなりません。王太子殿下、いえ国王陛下が道を誤るのを、何があっても止めなければいけなかったのに、できませなんだ。それどころか、息子までも道を誤る始末。私の命で償っても、償いきれるものではありません」

「稀代の女狐一人に、よくも王国中がかき回されたものだな。しかし、それほどの女とも思えぬが」


 宰相から助けられた後、アヴァリツィア侯爵家にも戻れなくなったエステルは、学園での弾劾の最中は馬車の中で待機していて駆けつけられなかった事を悔やむ護衛騎士のジークによって助けられ、今は亡き母の祖国である帝国へと逃れる事ができたのだ。


 エステルの母は、帝国の皇女であった。

 皇家では女子が生まれにくく、久しぶりに生まれた末の姫はそれはもう大切に大切に育てられた。あまりにも溺愛されたため前皇帝が外の国へ嫁がせるのを嫌い、本来ならば他国へ嫁がせ政略結婚の駒とすべきところを、帝国の貴族の元へ嫁がせ、夫に爵位と領地を与える予定であったのだ。


 だが皇女は停戦の使者団の一員として訪れた若きアヴァリツィア伯爵に一目ぼれをし、どうしても嫁ぎたいと前皇帝に懇願したのである。当時アヴァリツィア伯爵には相思相愛の婚約者がいたのだが、停戦の証ともなる両国の婚姻に異議を唱えることなでできるはずもない。

 結局、アヴァリツィア伯爵は婚約者と引き裂かれ、爵位を皇女が嫁ぐのにふさわしい侯爵に引き上げられた上で、エステルの母を娶ったのである。


 やがてエステルが生まれると、前皇帝は女子の誕生に事のほか喜んで、皇女が降嫁する時に与えようとしていた直轄地をエステルの所領として下賜した。

 帝国の皇族の血を引き、帝国内の領地を持つ姫。


 帝国と王国は隣国という事もあって幾度も戦争をしている間ではあったが、軍事力に関しては広大な領土を持つ帝国が優っていた。じわりじわりと国境を奪われていた王国にとって、皇族の血を引く姫はまさに国家の存亡をも握る存在だったのだ。


 幸い、王家には釣り合いのとれる男子が王太子として生まれていた。そこでエステルが生まれて一週間後には、二人の間に婚約が結ばれた。


 だが溺愛されて我がままに育った皇女と、それほど裕福とは言えない伯爵家の嫡男として育ってきたエステルの父との間は、次第に険悪なものになっていった。元々、エステルの父には皇女への愛情などなかったのだから、当然の結果だろう。皇女はやがて精神を病み、そのうち体を壊して亡くなってしまった。

 エステルがまだ10歳の時である。


 その一年後、喪が明けたエステルの父は後妻を娶る。

 それはかつての父の婚約者だった。

 しかも彼女には8歳になる息子がいた。誰の子と言わずとも、父とそっくりな容貌にエステルは父の不貞を知った。


 次第に家の中でエステルのいる場所がなくなっていった。

 黒い髪に紫の瞳という、皇女にそっくりな容貌もあって、エステルは父にも義母にも疎まれていた。当然、弟であるレイモンドも彼女に対して憎しみを募らせていた。本来ならば誰に文句を言わせる事もない嫡子として生まれてきたはずなのに、皇女が父と無理やり結婚したせいで、自分と母は日陰の身として暮らさなくてはいけなかったのだ。エステルに対する恨みは、深まる一方であった。


 だが仮にも将来の王妃として王宮で教えを受けているエステルを傷つけることはできない。そんな事をすればすぐに王宮の女官に気がつかれてしまうだろう。

 その代わり、侯爵家でのエステルの扱いは、いてもいなくても同じようなものとなった。最低限の世話はされるが、家族の団らんからは外された娘。それは後に異母妹が生まれてから顕著となった。


 家の中で自分の居場所を見つけられなかったエステルはお妃教育に必死になった。もはや自分の存在意義を、将来の王太子妃であるという事でしか見いだせなかったからである。

 王太子に対しても、多少わがままな所はあるものの心根が優しい事は分かっていたので、素直に慕っていた。淑女として、未来の王妃として感情を表に出さないように教育されていたエステルではあったが、それでも精一杯の愛情を王太子に向けていたのである。


 けれどそんなエステルの未来が更に陰ったのは、貴族の子女が全員通う事を決められている王立学園で、王太子がマリア・カリタスという男爵令嬢と一緒にいる姿を良く見かけるようになってからである。

 カリタス男爵家は王国でもはずれにある領地を持ち、その長女であるマリアは小柄で可愛らしい容姿ではあったものの、貴族の令嬢としての振る舞いには欠けていた。まるで平民のような態度に、学園の生徒のほとんどが嫌悪の情を抱いた。しかもマリアが親しくするのは、学園でも有力な貴族嫡男ばかりだった。さらにその取り巻きに王太子が加わるや、生徒たちの眼差しは一層厳しくなったのである。


 だがエステルはマリア嬢に苦言は呈するものの、それ以外は静観していた。フォルティはやがて王となる。今の国王に愛妾はいないが、フォルティが王となった時に愛妾を持つのは止められない。であれば、エステルを正妃として迎えた後、マリア嬢を愛妾とすることも考えられる。

 ならば今の時点でこれ以上の確執を増すことはない。


 そう思っていた矢先の、馬車寄せでの糾弾であった。


 身に覚えのない罪で糾弾され、あまつさえ手加減のない平手打ちを受け、エステルの心は絶望に彩られた。


 生まれてから十六年、ただひたすら未来の王妃となるべく研鑽してきた。フォルティを陰に日向に支えようと努力してきた。その全てを否定されて、エステルの心には何も残らなくなってしまったのだ。


 塔の地下へ入れられ呆然としていたエステルは、宰相が助けに来なければそのまま看守たちに蹂躙され、自らその命を絶っていた事だろう。もしかしたらそれも承知で王太子はエステルを地下牢へ入れたのかもしれない。


 その考えに至ったエステルは、帝国へ向かう途中で思い切り泣いた。淑女として声を上げて泣くことを恥と考えて育ったエステルではあったが、溢れ出る嗚咽を止める事ができなかった。そして護衛騎士のジークがそんなエステルをずっと慰めた。


 帝国へ着いたエステルは、途中で間者からの報告を受け迎えに来た皇帝の配下と共に皇都へと向かった。

 やっとの思いで辿りついた皇宮で、溺愛していた末の姫にそっくりなエステルを見た前皇帝は、無事を喜びつつもその苦労を労った。

 そして停戦記念祝典の時より留め置かれていた国王夫妻は、青ざめた顔をしながら王太子の暴挙をエステルに詫び、居並ぶ皇族たちに詫びた。

 だが皇族であるエステルを軽んじた王国を許すことは、帝国の矜持に関わる。

 帝国はその夜、国王夫妻に『安らかなる眠り』と呼ばれる毒薬を渡し、国王夫妻もそれを飲んだ。


 これは事実上の宣戦布告に等しい。

 帝国と王国は再びの戦乱へ向かうかと思われた。


 だがここで信じられない事が起きる。

 王国は国王夫妻を死に至らしめた帝国に宣戦布告する前に、なんと王太子の戴冠と、国王となったフォルティとマリアの結婚式を行なったのである。


 国王夫妻の遺体が王国に還されれば、それから三年は喪に服さなくてはならない。だがマリアはそれを不服に思い、フォルティに結婚をねだったのである。

 三年の婚約期間の間に、他の男にマリアを取られるかもしれないと考えたフォルティも、それは良い考えだとマリアに賛同した。


 まだ国王夫妻が亡くなった事を知らされていない国民は、王太子の戴冠と結婚に沸いた。国王不在に疑問を持つ者もいたが、恩赦や王宮から支給される祝い金に、そうした声はなくなった。


 そして国王夫妻の遺体が王都へ到着し、国民は帝国への怒りを露わにしたが、新しい国王は王宮に籠り帝国への報復の命令を出さなかった。


 国王が即位して一年の間、王宮は静かさに包まれたが、翌年から毎夜のように華やかな舞踏会が開かれるようになった。王妃はきらびやかな宝石を身にまとい、国王や取り巻きの貴公子とダンスを楽しんでいたのだ。

 王国の未来を憂う貴族たちは、まだ前国王の喪が明けていないという理由で、領地から離れることはなかった。

 王宮は、国王夫妻とその取り巻きだけが華やかに暮らす場所となっていったのだ。


 王妃はまた、王都の貧しい者への炊き出しを頻繁に行った。だがそれによって王妃の散財で減り続けていた国庫は底をつき、それを補うために増税が行われた。そして税を払えず働く意欲がなくなった者たちがスラムへと移り、働かなくても食べていける状況に、どんどんスラムの住民が増えていった。


 帝国もまた、不気味なほどの沈黙を保っていた。


 そうして王国の民が前国王夫妻の喪に服す三年が過ぎた頃、帝国は突然王国への進撃を始めたのである。

 だがそれを進撃と呼んでいいものか分からない。


 王国の国庫は既に底をつき、もらうべき給金が払われない軍隊は抵抗とも呼べぬ抵抗で、帝国の軍に道を明け渡した。帝国と領地を隣接する辺境伯候も、王国を見限ったのか、帝国軍と合流して王都に進軍してくる始末だ。


 重税にあえぐ国民たちも、帝国軍を歓迎した。


 実際、まともに戦闘が行われたのは、帝国軍が王宮に入ってからの事である。


 だが王宮の近衛兵と、その何倍もの数の帝国軍では勝負は決まりきっている。


 王宮にはためいていた王国旗が下ろされ、帝国旗が掲げられたのはそれから間もない時の事だった。


 帝国軍の総帥として参戦していた帝国の皇太子オーガストは、速やかに国王夫妻とその側近を捕えて塔へ入れた。そして戦後処理をしていた所へ、従妹であるエステルが王国宰相の助命を求めて王宮までやってきたのである。


 それにしても、とオーガストは思う。

 この国の王太子はなぜこの美しく聡明な従妹ではなく、あの下賤な女狐の方が良いと思ったのだろうか。

 帝国の高貴な血を持つゆえか、その美貌も気品も、まさに王妃としてふさわしいものだ。帝国へ来てからの様子を見ても、慈愛に溢れ教養も高く、まさに非の打ちどころのない姫だ。


 それに比べてあのマリアという女は、男に媚びへつらうしか能のないただの屑だ。しかも王妃という立場にありながら、他の男にも色目を使っている。あれでは子を孕んでも、誰の子供か分からないのではないか。


 愛妾にするならまだしも、正妃に据えるとは、まったくもって理解しがたい。いや愛妾とするにしても、あの貧相な体で楽しめるのだろうか。


 王宮を占領した際に自分に向けたマリアの媚びた視線を思い出して、オーガストは再び疑問に思う。


 従妹ほどの美姫ならまだしも、あの程度で自分を籠絡できると思ったのだろうか。まったくもって馬鹿にしているとしか言えない。


 だがそれに籠絡された馬鹿どもがこの国にはたくさんいると言うのだから、この国の民にとっては耐え難い悲劇であった事だろう。


「私にも、なぜあの有望だった青年たちが軒並み陥落したのか、まったくもって理解できませぬ」


 宰相の嘆きはまさしく国民全ての嘆きであろう。


「それにしても礼を言うぞ、コルベール卿。よくぞわが従妹殿の命を救ってくれた」


 オーガストの言葉に、コルベール卿は首を振った。


「あそこでエステル様を見殺しにすれば、帝国は百万の兵を率いて王国に攻めてきたでしょう。皇帝の怒りは王国を焼き、国土全てが焦土となっていたに違いありませぬ。私は姫を救う事で、王国を救いたかったのです」

「これぞまさに忠臣であるな。死なせるには惜しい」

「いえ。私の忠誠は王国にあります。王国が滅びるのであれば、私も共に逝かせてください」

「頑固者よな。だがその心意気や良し」


 あくまでも王国と命運を共にすると言い切るコルベール卿に、オーガストは敬服すら覚えた。

 だが毒をあおって潔く散った前国王といいコルベール卿といい、この国の指導者であった者たちは立派な人格の持ち主なのに、なぜ次代はあんなに残念な者ばかりなのだろう。


「そういえば、従妹殿への冤罪は証明されたのであったか?」

「いえ。そもそも、あれ以来、ろくに調査もされておりませぬ」

「ふむ……従妹殿、伯母上の形見の品は今もお持ちか?」


 あの日、やっと手に戻ってきたブローチは、もう二度と失くさないように肌身離さず持ち歩いている。


「はい。持っております」

「では余興を始めようか」




 近衛に何事かを言いつけたオーガストは、コルベール卿を下がらせた。

 しばらくするとまた扉が開いて、エステルがもう二度と会う事はあるまいと思っていた人たちが入ってきた。

 宰相家嫡男であったマキシム・コルベール、騎士団団長嫡男であったロドリック・ディモン、魔法省の神童と呼ばれたラスル・ギーズ、そしてエステルの異母弟のレイモンド・アヴァリツィアだ。罪人のように両手を前で縛られてはいるが、貴族として丁重に扱われているらしき様子が見える。


 ビクリと体を震わせるエステルの肩を、玉座から降りてきたオーガストが優しく抱き寄せる。そして耳元でささやいた。


「案ずる事はない、従妹殿。もうあやつらが貴女を苦しめる事はできない」


 けれど入室してきた彼らの顔が、エステルの姿を捕えて険しくなった。


「エステル・アヴァリツィア。なぜここにいる!」


 フォルティが黒い瞳を怒りに燃やし、エステルを睨みつけた。だがそれにオーガストが答える。


「はて。そのような者はここにはおらぬよ。帝国皇女、エステル・マニウス・インダストゥリウス姫ならおられるがな」

「皇女だと……!?」

「お主、まさか自分が婚約していた相手が何者か知らなかったのか?滑稽なものだな。エステルの母上は私の伯母上にあたるのだぞ」

「それは知っていたが、皇女の身分まであるとは……」

「王国では秘匿されておったか。それでも婚約者なら知っていたはずであろうに」


 心底呆れ果ててオーガストが言う。

 それを聞いたフォルティは、悔しそうに皇太子を睨んだ。


「心優しき従妹殿は、わざわざかつての恩人を助けるためにこの国へ参られたのだよ。もっとも彼はその申し出を断ったがね。お主たちの暴挙を止められなかった責任を負うのだそうだ」


 だが……と、オーガストは言葉を続ける。


「諸君を呼んだのはちょっとした余興を見せて差し上げようと思ってね。冥土の土産に楽しまれると良い。従妹殿、伯母上の形見のブローチを貸して頂けないだろうか」


 何をするのかと訝しがる彼らに、オーガストはアメジストのブローチを掲げて見せた。


「従妹殿は知らなかったようだが、これはただのブローチではなくて、皇族のみが使える魔道具でもあるのだよ。ここをこうすると、ブローチに記録された記録を見ることができる。ああ、この辺りだな」


 オーガストがブローチに触れると、何かの映像が壁に映し出された。

 そこは誰か女性の部屋のようだった。鏡台らしきものが下から見上げた状態で映っている。そこに誰かの手が映った。その手はブローチを掴むと、ポケットらしき場所に入れた。


 次に映ったのは階段の見える場所だ。地面に置かれると、今度は音声が聞こえた。


「これであいつもおしまいだな」

「もー。レイモンド様ったら、本当にあの女が嫌いなのね~。まあ無理もないけど」


 男の声に続いて、くすくすと笑う女の声がする。

 彼らはそのどちらの声にも聞き覚えがあった。


「それより、これでうまく行くんだろうな?」

「大丈夫よ~。なかなかあの女が動いてくれないから苦労したけど、これでイベント回収できるわ」

「あいつを破滅させてやれるならいい。マリア、お前には礼を言う」

「や~だぁ。もう、レイモンド様の為なら何でもするって言ってるじゃない。こうして復讐を手伝ってるし」

「だがお前が狙っているのは王太子だろう?」

「うふふ。さあ、どうかしら~?」

「悪女め」

「でもその悪女が好きなんでしょう?」


 話し声が止まり、濡れたような音が続く。

 

「では俺は行く。うまくやるんだな」


 誰かが歩き去る音。その後で女が呟く。


「ん~。3段くらい上から落ちればいいかな~。あんまり痛い思いしたくないしね。えいっ」


 続いて何かがドサっと落ちる音。


 しばらくすると、人の声が近づいてきた。そして急いで走り寄る音が聞こえる。


「マリア、マリア。どうしたんですか!?」

「あ……マキシム様とラスル様……あの、私……誰かに階段から突き飛ばされて……」

「誰がやったのですか!?」

「あの、突然で見てなくて……でも黒い髪の人だったような……」

「それは……エステル・アヴァリツィアですね」

「マキシム、来てくれ。こんなものが」


 誰かの手がブローチを拾う。そして渡されたブローチに近づいて見る男の顔が映った。マキシム・コルベールである。


「これは女物のブローチですね。この意匠は珍しい物ですからすぐに持ち主が分かるでしょう。マリア、立てますか?」

「私……足を痛めてしまったみたいで……」

「ラスル、このブローチをお願いします。私が抱き上げましょう。大丈夫ですか?」

「わ……私、怖かったです……」

「可哀想に。私たちが必ず犯人を見つけてあげますから、安心してくださいね」

「じゃあ僕はこれの持ち主を探しておくよ」

「お願いします、ラスル」


 そこまで映像を流すと、オーガストはまたブローチに触れた。途端にプツンと映像が切れる。そして静寂が部屋の中を支配した。


「う……嘘だ……。帝国は魔道具の扱いに長けている。偽りの映像を作ることだって可能なはずだ」


 その静寂を破ったのは、魔法を良く知るラスルだった。


「これは余興だと言ったはずだが?君たちが信じようと信じまいと関係ないのだよ。ただ、誤解されたままでは、あまりにも従妹殿が哀れだと思ってね。ついこんな余興を思いついてしまった。ただ私が間者から聞いた事実もこれと同じようなものであったから、特に驚きはしないがね。そこにいるレイモンドとやらは真実を知っているのではないかな?」


 オーガストが顎をしゃくって示した先にはレイモンド・アヴァリツィアがいる。その顔は蒼白だ。


「本当なのか、レイモンド……あれはお前が仕組んだ事なのか……?」


 フォルティが信じられないというようにレイモンドを見た。だがレイモンドは顔を上げてエステルを睨み、こう言い放った。


「俺は知りませんね。帝国の偽りでしょう」


 その言葉にフォルティは安堵するが、どこかにレイモンドを信じきれない気持ちがある。

 その様子を見ていたオーガストは、くつくつと笑った。


「ああ、もう一つ余興を用意してあるんだ。楽しんでくれたまえ。ただし君たちの声は聞こえないし、姿も見えない魔法をかけているのは了承してくれたまえ」


 オーガストが合図すると、扉から一人の女が入ってきた。やはり両手を縛られているが、その顔はエステルが最も会いたくなかった顔であった。

 マリア・カリタスである。


 マリアは不安げに部屋に入ると、オーガストの姿を見つけてパァツと顔を明るくさせた。だがその横にいるエステルに気づき、睨みつける。


「なんであんたがここにいるのよ!」

「ほう。我が従妹殿がここにいるのはおかしいのか?」

「当たり前でしょう、悪役令嬢なんだから。断罪されたはずなのに、なんで今更出てくるのよ」


 更に睨みつけられてエステルの体が震える。オーガストはさりげなくエステルの体を自分の背に隠した。


「お主はなぜだと思うのだ?」

「そいつも転生者なんでしょう!?ああ、だからジークフリート様がもう攻略されちゃってたのね」

「ジークフリートとは誰だ?」

「そこにいる、その女の護衛騎士に決まってるじゃない。本当は皇帝がメイドに手をつけて生まれた子供なんでしょう?そのまま帝国に置いておいたら正妃に殺されるから、それでエステルの護衛騎士にしたのよね」

「ほう。よく知っておるな」

「当たり前じゃない、個別ルートならジークフリート様が一番好きだもの。でもジーク様を攻略しなくても隠しキャラが出てきてくれてラッキーだったわ。ね、いつ私を帝国に連れて行ってくれるの?」

「私がお前を帝国へ連れて行くのか?」

「そうよ。だって私は帝国の皇妃になるんだもの」

「お前が皇妃に?……馬鹿らしいにも程があるな。なぜお前のように身も心も卑しいものを、わが妃にせねばならぬのだ」

「そんなの、私がこの世界のヒロインだからに決まってるわ。もうっ、意地悪しないで早く連れていってよ。この手の縄もはずしてちょうだい」


 甘えるように首を傾げて言う。

 今まで、それだけで男たちはマリアの虜になった。

 だからオーガストも当然そうなるのだと信じて疑わなかった。


「従妹殿、その護衛騎士の名はジークフリードであったかな?」

「いいえ。違います」

「では、そこの気狂いの女に名前を教えて差し上げるといい」

「私の騎士の名は、ジークリンデですわ」

「それは女性の名前のようだが?」

「年頃の娘につける護衛騎士なのですから、女性騎士に決まっておりますでしょう」

「さようであるな」


 オーガストは冷え冷えとした瞳をマリアに向けた。


「お前がなぜこの護衛騎士の名をジークフリートだと思ったのかは知らぬが、皇帝の庶子であることは知られていないはず。なぜそれを知ったのか……ふむ。しっかりと聞いておかねばなるまい。この女を塔の地下へ連れて行け。死なせない程度に知っていることを聞き出せ」

「御意」

「ああ、牢は独房ではなく大部屋でいいだろう。特別に聞き出したい情報があるわけでもないしな」

「ではそのように致します」


 連れてきた兵士によって腕を掴まれたマリアは、気が狂ったように叫び始めた。


「ちょっとどういう事よ。なんで地下牢に入れられるのよ!それはその女のデッドエンドでしょう?!私はヒロインよ!ちょっと、やめてよ。離して!!!」


 キーキーと喚きながらマリアが連れ去られていくのを、その夫たちは呆然と見ていた。


「さて。余興を楽しんで頂けたかな?自分たちの愚かさも、よく分かった事であろう」


 くつくつと笑うオーガストは背に庇ったエステルの腰を抱いた。


「ああ、だが君たちが愚かだったおかげで、我が帝国の領土は広がり、私はこうして美しく貞淑で賢い妃を迎える事が出来る。感謝しなくてはいけないね」


 だがオーガストはレイモンドに視線を向けると近衛に合図をした。


「でもお前にだけは安らかな眠りを与える訳にはいかぬな。長年わが妃を苦しめた罪を贖わせねば。できうる限り残酷で長く続く刑を与えよ。すぐに死なせてはならぬ」


 抵抗せずにレイモンドが連れていかれると、残った男たちにオーガストは視線を向けた。


「さて、諸君は安らかな眠りが訪れるまで、塔の部屋でゆっくりされると良い。お前たちの愚かさが、エステルを、国民を苦しめたのだと懺悔するがいい」


 エステルとフォルティの視線が一瞬交差する。フォルティの顔にわずかに後悔の色がよぎった。

 だがそれを見てもエステルの心は動かなかった。

 かつてあった愛は、三年前のあの日に失われたのだ。


 エステルはかつて思いを寄せた男を、そのまま見送った。

 これが今生の別れになると知っていても、かける言葉を持たなかった。


「エステル、我が従妹殿。私は本気だよ。君に私の妻になって欲しい。どうかこの私、オーガスト・マニエス・インダストゥリウスの妻になっては頂けませんか?」


 オーガストがエステルの前に膝まづいて、結婚の許しを請う。


「私……他の誰かと夫を分け合うのには、耐えられそうもありませんの」


 かつてフォルティの愛妾としてマリアを認めようと思った結果があれだ。王が複数の妻を持てるのであれば、もう王族ではなくただの貴族、いやいっそ平民でもいい。ただ一人の妻として愛してくれる人に、エステルは嫁ぎたい。


「私の妻はあなただけだと誓おう」

「でも、もし子供ができなかったら?」

「皇族の血筋であれば、後継が私の子でなくてもいいでしょう」

「でも、愛など永遠ではないでしょう?」

「私が愛が永遠であることをあなたに教えましょう」

「でも私、まだ皇太子殿下を愛しておりませんわ」

「あなたはもう私を愛しているでしょう?」


 紫水晶の瞳が、エステルの迷いを溶かしてゆく。


 ああ、私はきっと、こんな風に愛されたかったのだ……

 たった一人の人に、想った分だけ、愛されたかった。


「いつからそんなに私の事を想ってくださっていたのですか?」

「三年前、皇宮であなたに初めてお会いした時から、私の心はあなたの物でしたよ。辛い目にお遭いだったのに、凛として佇む姿に、魅かれずにはいられなかった。すぐに皇帝に私の婚約者選定の件を白紙に戻して頂くようにお願いしました」

「信じて……よいのでしょうか?」

「一生あなたを愛すると誓います。皇家の血にかけて」


 エステルは震える手で、オーガストの差し出した手を取った。


「私も、生涯あなただけを愛すると誓いますわ」


 三年前に凍り付いた心が、今ようやく春解けを迎えた。

そのうち、オーガスト視点とかフォルティ視点とか書くかもしれません。

予定は未定です。


名前の由来です。全てラテン語です。

アヴァリツィア 強欲

カリタス 寛大

インドゥストリア 勤勉

フォルティトゥード 剛毅


分かりにくかったかもしれないので補足です。三年前、皇太子に婚約者候補は何人かいましたが、まだ婚約はしておりません。

この時点で内々に皇太子妃になることはありませんよ、と伝えてあります。

外堀、埋まってる……?

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