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転生やらかしシリーズ

私、転生しました。ちょっとまってこれほんとないから

作者:

私は転生者である。どやぁ。



とか仁王立ちしてても全く様にならない私であります。

なんせまだピチピチの5歳児ですから!


前世でやらかして大往生したはずなのに再び転生しちゃった元子爵令嬢、現侯爵子息な私であります。えへ!


ん?いやいや。


間違いじゃないよ、



侯爵子息、です。



なんと、今世は男の子に生まれ変わったのですっ!!


・・・・・。

・・・・・。





なんて、事はなく。


ちゃんと女の子ですよー。

女の子だけど侯爵子息なんだよね、これが。メイドさんとかも私の事を坊っちゃまとか呼ぶし、母親も私を息子として扱う始末。というか世間では私、侯爵家の長男の認識だし。


なんでやねん。

ほんとないわー。


前世は確実に私がやらかした。あれは調子に乗ってた私が悪い。

けどさ、今世はさ、


私がやらかす前に周りがやらかしちゃってるんですけどぉぉぉぉ!!ちょ、待てや!

私全くノータッチなのに何故に子息になってんのぉ!?嘘だろおい!!

ほんとない!これはないからぁぁ!


と生まれながらにして絶叫したところで元気な赤ちゃんですねーの認識しかされないもどかしさ。辛い。

喃語以外の言葉を話せるようになる頃には、何で女の子なのに男の子として育てられているか流石に察する。私、空気読める子ですから。外見こんなんでも大往生したおばあちゃんだったから。


前世の記憶ってチートだよね。



、と言っても。


前回と同様に他人の物語を流し見したような感覚なので前世に別段思い入れはなく。例え前世の孫が王になってようが、求愛してきた公爵子息の子孫に生まれ変わろうが、私にとってそれは重要ではない。


ーー今世ではやらかさない、


という事だけが重要であった。

後悔はしていない。だって幸せだったから。


でも私がやらかさなければ、別の未来もあったんじゃないかって思う。

平穏で平凡で、特筆なく穏やかな生活、とかね。


前世の私はとにかくハイスペックだった。故に、子爵令嬢から王族に上り詰めることが出来たのだ。ハイスペック故に王族とも渡り合えたし、王子や公爵子息に求婚された。ただし、途中であれ、これ、あかんやつや。と思い直して平穏な生活を求めたのに既に手遅れだった件。というサブタイトルがつく。

要は身から出たサビ、というやつである。

そしてそのサビの被害にあった家族並びに元夫よほんとごめん。息子も父親2人にしちゃってごめん。ただ、ちゃんとお嫁さん貰ってくれてお母さん本当に安心した。心から絶叫して喜んだわ!両親ありがとうっ!


・・・・・息子が両方イケるって言うことには目を瞑る。ごめん。



そんなわけで・・・今世こそは平穏な生活を!と切望しているのに、侯爵子息として育てられている時点で色々詰んでる。お疲れ様でした。ウケるwwwな現状に嘆くばかりである。


この状況を打破する方法は勿論ある。けれど子供の私ではどうしようもない。今世の鬼畜仕様に涙も出ない。


ひとつ、両親にニャンニャンしてもらって弟をポポポポーン作戦。

が、母は最初の子供を流産しており、2人目であった私が生まれたのでさえ奇跡だと言われているのだ。生まれた子供が跡取りにならない女の子だった事に精神を病んで、私を男の子だと思い込んでいる。はい、おっっっもっ!私生まれた経緯重ぉっ!さらにこの国は王族以外一夫一妻制なもんだから側室に産んでもらう事も無理だし。分家からの養子縁組って手もあるけど、今の母親がそれを受け入れるとは到底思えない。


ふたつ、女の子としてちゃぁんと認識してもらう。

と、いうものだが。母親は上記の通りまず無理ゲーである。今でさえ危ういのだ。私が女の子らしさを出すだけで奇声発して倒れるのだ。マジコワカッタ・・・。うん。時間が解決してくれるのを祈るしかない現状ですね、わかります。


みっつ、家出する。

これが一番確実かもしれないが、子供なのに家出してどうにか出来る自信はまっったくない!何せ前々世一般人、前世貴族な甘ちゃんだし、いくらハイスペックでもただの子供、ガキンチョであるのだ。それに・・・私がこの家を出た途端、母親がどうなるか・・・もう考えなくても察するよね、これ。


つまりは現状に甘んじるしかないのだ。


このまま男として過ごしてどうしろっていうんだこのヤローという気持はあれど、一度親になった経験から両親を蔑ろには出来ない。親の気持ちがわかるからだ。前世であったならば好き勝手やっただろうが、今世では違う。

ふ、大人になったのさ。


ピチピチの5歳児で侯爵子息。例に漏れず今世でもハイスペックな自分は健在。


まず容姿だが、母親譲りの流れるようなプラチナブロンドに、父親ソックリなエメラルド色の涼しげな瞳。陶器のように滑らかな白い肌。


どれをとっても一級品・・・・・。

まるで繊細な美術品のような容姿・・・


なんだが・・・これ。



ーーどう見ても前世で求婚された公爵子息のミニマムバージョンにしか見えないんだけどぉぉぉぉ!



嫌だこれ。やめてくれないかなっ!成長したらどんな風になるんだろう!的な楽しみ全く無いんだけど。公爵子息がおじいちゃんになるまで知ってるからね。うん、おじいちゃんになっても美しさは健在だったもんな。だがそれが自分になると喜べないのはキラキラしすぎてマジうぜぇとか思ってたからだと思う。呪いか?呪いなのか?公爵子息マジ美しいですおつーー!とか馬鹿にしてた呪いなのかっ!?

・・・・まあ、そんな容姿である。ぶっちゃけ前世よりハイスペックであるのだが、全く嬉しく無い。子孫だからってここまで似なくて良いと思います!顔が良すぎるのもたいへんなんだよ!苦労があるんだよ!これ、完全フラグじゃねーか!

と、泣きそうになった。

公爵の息子・・・散々馬鹿にしてごめんね。こいつチョロイとか思っててごめんね。


勉強は前々世、前世との記憶があるので苦もなくこなせる。頭のスペックも上々だ。


今世から習い始めた剣技に関しても先生から天才だと持て囃されている。侯爵子息だから気を使われているのかと思ったが、そうではなく。5歳時にしてはという言葉がつくものの、かなり物覚えが良いらしい。勉強程には行か無いまでも同年代ではまず負ける事はないと言われて、調子にのり・・・・そうになったけどやらかさないっ!!

オレチートひゃっはーー!しそうになったけど自重。自重。てか自重しなくとも毒の種類とかその活用法とか暗器の訓練とかさせられたら目が覚めたわ。・・・いるの、これ。私、何目指してんのよ。いやまだ5歳時に何をさせようとしてんですかオトウサマ。


あー、私に関してはそんな感じね。


そして肝心の家族なんだが。

前世とは違い、今世の家族は病んでいる。

・・・前世はほんと、理解のある両親だったよな。


まずこの侯爵家だが、公爵家の分家である。

貴族の大体は王族の分家みたいなもんだけど、意味合いが違う。公爵家の犬であるのだ。影、ともいう。

公爵家を支え、守る騎士の家系と言えば聞こえは良いがぶっちゃけ公爵家のワンちゃんである。


そんな家系なのできっったない事します!だから毒とか暗器とかの訓練が有るんだよね!認めたくねぇ!

そんな家の次期当主とか・・・だがしかし女だぞ!!

ちょいブラックな家系に嫁いだもんだから母親は病むし、父親は影に徹するし、使用人無関心だしでマジブラック企業ならぬブラック侯爵家。

私何もしてないけど、家族全員やらかしちゃってる感半端ないんです。うちの家族みんな中二病の塊なんです。


ドヤ顔で仁王立ちとかしてる場合じゃないけど、あえてやらせて頂こう。


ーー転生しました。自分なにもやってないのに周りが既にやらかしちゃっててえらいことになってます!

ちょっとまってこれほんとないから!



これからの人生が不安で不安で仕方がない。前世がイージーモードだったなら今世ハードモードだよ。中間こいよ中間!


ふう、とため息をついて空を仰ぐ。

淀んだ空が、私の未来を表しているかのようだった。



でも負けない!

だって女の子だもん!


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― 新着の感想 ―
[一言] 成長したやつ来ないかなーチラ
[一言] 主人公はまだ未遂でも、周りの環境がすでにアウトか・・・(合掌
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