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さくら駆ける夏  作者: 桜坂ゆかり
第二章 居候開始
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チェリーブロッサム

 それからしばらく雑談した後、「おやすみ」とあいさつして涼君の部屋を出ると、自分の部屋へと戻った。


 はぁ~、緊張したなぁ。

 ノートパソコンを取り出し、ネットに接続すると、作ってもらったばかりのブログを確認してみた。

 毛布にくるまれていたキーホルダーとポケットアルバムのことも書いたし、もし実の両親がこれを見たら、きっと気づいてくれるはず。

 ただ、気がかりなのは……ある程度このブログの知名度を上げないと、両親の目にもとまりにくいだろうということだ。

 他にも何か工夫をしなくちゃいけないな。

 そして、私はお風呂に入ることにした。




 さて、もう少ししたら、寝ようかな。

 お風呂上りの私はブログを見るのをやめると、よく使う検索サイトに画面を戻し、ニュースをちょっと見てから寝ることにした。


 私にとってはそれほど興味がないニュースが並ぶ中、目を引いたのは、「またしても怪盗団現る」という見出しの記事だった。

 数年前から、二、三ヶ月に一回ぐらいのペースで、この組織による窃盗事件が起きているのだった。

 私がなぜ興味を持って、経緯を注視していたのかというと、単に個人的興味からだ。

 その怪盗組織の名前が「チェリーブロッサム」というらしくて。

 なんでも、犯行現場に、ピンクの折り紙を切り抜いて作った桜の花びらを残しているそうだ。

 名前といい、桜の花びらといい、私にとっては妙に親近感が感じられる。

 私の持つ、あの押し花キーホルダーの中身も、桜の花びらだし。


 こんな組織に「親近感を感じる」などというと、不謹慎に思われるかもしれない。

 しかし、この組織は決して凶悪な組織というわけではなく、いわゆる「義賊」として、世間的にも密かに人気を博しているという事実があるので、私が親近感を抱くのもそれほど変な話ではないと思う。

 組織が狙うのはいつも、悪徳業者や詐欺師など、世間的に反感を抱かれる人物の家や会社ばかりなのだ。

 まっとうな手段で富を得た人や、普通の人などをねらうことは一切ないという。

 世間に広く、「窃盗は良くない」という意見が存在するのは確かだけど、そういった事情もあって、この組織はあまり嫌悪の目で見られることはないみたいだ。

 そういうわけで、この見出しを見た私は、一応記事の内容を確認しておいたのだった。

 今度の事件は名古屋で起こったらしいけど、組織は地域を問わずに事件を起こしているようなので、次どこで事件が起こるかは、全く予想できないようだ。

 警察も全力をあげて捕まえようとしているけど、今まで捕まったのは、たった二人の実行部隊メンバーだけで、その人たちは上層部については「何も知らない」と黙秘したらしい。

 そのため、依然として組織の実体は謎のベールに包まれていた。


 ………。

 急に眠気が襲ってきたので、私はパソコンを閉じた。

 精神的にも肉体的にも、ここのところ色々あって疲れてるせいだろう。

 私は寝ることにして、電気を消した。


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