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第五話
「おじいさん、いつこの店の話になるの?」
竹中正人はいい加減、店の話が聞きたくてウズウズしていた。
老人は「ああ、そうだった。店の話だったね。そう、店の店主ルンはそういういきさつでここに越してきたんじゃ。」と慌てて説明を早めた。
「お店始めるつもりじゃなかったってこと?」竹中は老人に尋ねた。
「そうじゃ、ただ引っ越してきただけだったんじゃ。」
老人は水戸黄門のようなひげを手で触ると看板を見上げて話を続けた。
「それからルンは…」
それからルンは、リサイクルショップでワイングラスや食器を買った。
お酒も用意した。
なぜバーを始めようと思ったかは
ルンは水商売の経験が長かったからだった。
ルンは残り少ないお金で、最後にドンペリを買った。
「これで準備オッケー。」
ルンのお店はその日の夜からスタートした。