第四話
「最近スッゴいこと思い付いたの。」
ルンは鼻息の洗い声で友達の優香に電話していた。
「何々?」優香もそれにくいつくように答えた。
「私、スッゴくタバコ吸うでしょう?それでさあ、思い付いたの。」
ルンはタバコを吸いながら言った。
「何々?禁煙法?」
同じくタバコ吸いの優香は気になった。
「いや、これはねえ画期的。タバコの代用品よ。要するに。」
ルンがもったいぶる。
「で、代用品って?」
「それは…ノンニコチンのタバコを作るのよ。」
優香は「はあ?」と顔を歪ませた。
ルンは続けてこう言った。
「ノンアルコールビールがあるでしょう?あれと同じように、ノンニコチンのタバコを作るのよ。爆発的に売れると思うわ。」
優香は「それより、引っ越し先は決まったの?」と話を遮った。
「うん。昨日不動産屋に行ってきたよ。もう、マンガ喫茶生活ともサヨウナラね。」
「そっか。よかった安心した。」
電話を切った後も、ルンはノンニコチンタバコのことを考えながらタバコを吸い続けた。
そして持っていたスマホで「ノンニコチンタバコ」と検索した。
するともうそういう商品はあった。
「爆発的に売れてるのかしら?」
ルンはタバコの煙を目で追った。