13/14
第十三話
「久しぶり」
斎藤は本屋でたまたま見かけたルンに言った。
「あ、斎藤君」ルンは焦った。
「今ひま?」
斎藤が聞くと「まあ」と素っ気なくルンは答えた。
「じゃあデートしようよ。」
ルンは単純に嬉しかった。だけど誕生日のことを思い出すと辛かった。
一瞬ためらったがルンは「いいよ」と答えた。
「じゃあカレーご馳走するよ」
斎藤とのデートが始まった。
そこで二人は同じ町出身であり、高校時代仲良くしている時期があったことを思い出した。
「何で今まで思い出せなかったのかな?」
ルンは斎藤に聞くと
「うーん。思い出す必要がなかったからじゃない?」
笑いながら斎藤は答えた。
「あの頃とりまくったプリクラにお互いいるね」
「ああ」
カレーを食べ終わる頃ルンは斎藤に聞いた。
「何で誕生日の日来てくれなかったのかな?」
「インフルエンザになっちゃって行けなかった、治って店行ったけどやってないし連絡手段ないし」
斎藤がルンに目をやるとルンは自分の名刺の裏にメールアドレスと電話番号を書いて渡した。
その夜、二人はメールを送りあった。
二人とも昔の互いのプリクラを添付して。