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第十二話
「もうすぐ三十路だあ。」ルンがつぶやいた。
仲本、それから新たに常連になった矢部はだらけながら飲んでいた。
「三十路っていうとなんかイベントやるんですか?」
矢部はウイスキーをすすりながら言った。
「うん。一応、パーティーをやろうと思ってる」
ルンの視線がドアに向かった。
ドアがあいて現れたのは斎藤だった。
「おう。なかもっこりと、やべっち」
斎藤は二人に会釈してそう言い座った。
「10月18日、私の誕生日イベントをやるの。」ルンがそう斎藤に言うと
斎藤は「いくいく」と笑って答えた。
しかし当日、斎藤は店に来なかった。
ルンはたいそう落ち込んだ。
そしてそれから店を休むようになった。
ルンの病状が悪化してきたのが原因だった。
何の前触れもなく店は休業。
ブルーテントの常連はもう閉店だとか色んな噂をしたが
1ヶ月間、店は営業しなかった。