鼠色の夜空に
黒にならない鼠色の夜空を見上げる
それでも月も星もくっきり輝いていた
瞼を開けば足音も立てずやって来た12月の君
声を出さず笑った
<ありきたりだな。また夜空を見上げて詩を書こうだなんて>
「仕方ないよ。足下見てても光り物は滅多に見つけられない」
冬の夜空は始まったばかり
見えない多忙に薄れる希望
急かされる気持ち襲う不安
冷えきった風景が気持ちに刺しこむ
この夜空の下でたくさんの想いが巡っている
たくさんの現実が重なりあってすれ違う
出会いとか別れとか幸せも苦しみも
喜びも悲しみも貧困も病魔も絶望も
社会は決して平等では成り立たないから
それでも皆必死に生きている
冬の夜空は始まったばかり
鼠色の空はきっとあたたかさのせいだ
ここはまだあたたか過ぎるから
真っ暗にはなれないのだろう
強くならなくてはいけないだろう
しっかりとした意思を持ち前へ進むべきだろう
でも今はただ優しくありたいんだ
人に物にまわりに優しくだけありたい
鼠色の空を見上げて
12月の君に微笑んでみる