第4話 5大国
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この際異界人だろうが仙人だろうが何でもいいからさっさとしてくれといった心境だった。
正直何がなんだかもう分からない
しかしこうして丁寧に説明してくれるとこを見ると、意外と世話焼きなのかも知れない。
若干誇らしげに、無い胸を張りながら彼女は説明してくれた
「ここはプルーヴォ。
五大国と呼ばれるアクロ、アルボ、グルンド、ファイロ、オーロのうち
どれとも中立的な位置に存在する国よ。しいて言えばアクロに近いかしら。
私はその国の護衛をする騎士。あなたのような異界人は通常アクロの王宮とか、
グルンドの地下神殿とかで召還されるの。
各国の情勢が不安定な今、異世界より来る万夫不当の英雄がこの世界には欠かせない。
異界人とはこの世界に呼ばれる一騎当千の勇者。もしそうなら、あなたは誰かに呼ばれてここに来ているわ」
ここまではいい?というのでその続きを促した
というか王宮の騎士殿に貧乳呼ばわりしたことを後で侘びねばなるまい
心の中でのみ思っていることだが、どうやら俺の考えはすべてお見通しのようだ
「次に魔法。私もさっき使ったけど、この世界では魔法は当然のように存在する。
たぶんあなたの世界のホウジュツ?と同じものと考えていいと思うわ。
魔法は五大元素に則り行使される。国もこれと同じように五つあり、各国とも独自の魔法を研究している。
私達の国は必然的にアクロ寄り、つまり水系統が主体なの。
私はそこに空間操作魔法を取り入れているから」
そこで区切ると、彼女は目の前で先ほどの空間の歪みと同じものを生み出し、すぐに雲散させた
散り方と出てきたあと水蒸気が見えたのは、水魔法との応用なのだと思う。
「普通、この魔法が使えるというだけで腰を抜かすんだけどね...
次にこの国の情勢ね。
現状では、この国の国境が隣国のオーロに襲われている。
私達もその救援できたのだけれど、敵の数が多くてここまで引き上げてきたのよ。
率いてきた兵もかなり消耗してしまったし...
だから一人でも多くの人材が必要なわけ。
ことさら剣術に長け、魔法も会得している万能型の剣士がね」
あぁ、ようやく合点がいった。
道理でこの少女が時間を稼ぐように丁寧に話してくれるわけだ。
改めて回りを見渡すと、弓矢や火縄銃のような物を構えているやつらがちらほら居る。
杖らしきものもいくつか見えた。
「だからね?私達に協力してほしいの。
あなたほどの腕前があれば、尚のこと。勇者ならのどから手が出るほどほしいわけ
なるべく、穏便にね」
すでに俺の周りには得たいの知れないオーラで包まれていた。
いや、殺気が取り囲んでいるのだろう
俺が腰の刀に手を伸ばそうとしたとき、
エレネがそれとなくそれを制す
「みんな聞いて。
この方はどうやらオーロの者ではないみたい。
それどころか、召還されし英雄。救国の騎士。
この方は私達に協力すると言っているわ!
私の言葉を信じて、出てきて」
森に語りかけ、待つこと数分
「...隊長」
一人の兵士が森の中から出てきた
「ミーネ」
ミーネと呼ばれたその騎士は、耳が異様に長く、肌は透けるように真っ白だった。
エレネと同じ、エルフ族だろう
髪は白だが、目は真っ赤だった。
身に着けた見たことも無い真紅の甲冑と腰に西洋剣を帯びていた
十文字の刃先が付いた真紅の柄の長槍を俺に向け、俺を睨みつける
「...」
「ミーネ、大丈夫。
何かあれば私の魔法で何とかするわ。
ここで争っても何も進展しないわ。他のみんなにも教えてあげてくれないかしら?」
エレネのその言葉に警戒を少しだけ解くミーネ
長槍を下ろすことで周囲に敵ではないことをアピールする。
その様子を見ていたのか、木の陰から次々に兵士の格好をした女性と思わしき兵士がぞろぞろ出てきた。
「...隊長」
「たいちょー」
様々な種族が居る。
しかしそのすべてが女性らしく、皆傷を負い、疲弊しているようだった。
先ほどのミーネと呼ばれた騎士もよく見ると傷だらけで、甲冑にはところどころ染みができていた。
しかし俺のような黒髪、黒い目は居らず、みな物珍しそうにチラチラと俺を見つめていた。
その様子を見たエレネが口を開いた
「紹介しよう。
異界人の鋼兵だ。見てのとおり男だが、国王に合ってその処遇を決めたいと思う。
何より相当腕が立つ、私が直接確かめたので間違いないと言って良い。我らの良き戦力となってくれよう。
今後の戦に関して言えば、戦力は多いほうがいい。
私はそう判断した。
何か依存のあるものはいるか」
あたり一面の静寂
「ならば、決定だな。
ではこの戦場を一度離れ王宮へ戻る。
国境付近の住民は避難を完了させている。後は皇女の指示を仰ごうと思う。
鋼兵は私と来い」
俺は周囲の奇妙な視線を感じながらも、森の奥へと進む。
「隊長、その男に手錠かなにかをつけたほうがよろしいのでは?」
真っ赤な騎士殿が横から
ありがたい忠告をしてくれている。
「ミーネ、彼は"補助具なし(ノーブースター)"よ。
そうでなくても王宮防衛魔術師級の腕があると思っていい。
手錠は意味がないわ。」
そういうとエレネは俺に小さな緑色の石を渡してきた。
「これは"遠隔通話石"という離れていても話ができる魔道具よ。
もってなさい。」
エレネはそれだけ言うと今度は別の部隊に指示に向かった
「あー、おっかない」
俺はさらっと本心を口にする。
「貴様、隊長がいくらああいったとは言え、貴様は不審者に変わりはない!
行動に十分注意しろ」
突然横に現れたミーネに内心驚きながらも俺は自身の言葉で素直に伝える
「なぁに、十分注意するさ」
「ふん、そうすることだ」
鬼副長は肩を怒らせながら自分の部隊へ戻っていった
なんだありゃぁ
その様子を見ていたのか、エレネがタイミングよく号令を掛けてくれたので俺も自然に態に加わる事ができた。
俺を含めた一行は、一路プルーヴォ王国王宮へ向け行軍を開始した。