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第38話 停戦協定

またまた遅い更新ですね...


諦めず見てくれている人に感謝。

その頃、オーロ本土王城では五カ国協定会議に向けものすごい勢いで準備が進められていた。


指揮をとるのはマギイスト。補佐に真っ白な肌に真紅の瞳、ピッカピカの金髪の吸血鬼メイドを従え指示を飛ばしていた


「.....そこはアクロではなくグルンドの席に変えるんだ。


 それからアクロはなるべくオーロの近くがいい。今アルボとグルンドを寄せるのはまずいから、間にファイロを入れよう」


ちゃくちゃくと準備は進んでいく。


「マギ様」


「うん?......ほう、早速来たかい」


従えているメイドが空間にパネルを映し出し、そこに先ほどのバトラーの井出達の襲撃者を映し出した。


「はい。今回出撃した者はどれも精鋭ばかりですが、たったの10人で崩しに来るとも思えません。いかがいたしますか?」


「う~ん、あれだ。"青い外套の魔術師(ブルーローブ)"を出そう。47人全員だ。国境の検問所に配置してねずみ一匹通さないように」


「1人で1個中隊レベルですが」


「かまわないよ。それに、もう"例の剣士"はこちらにいるんだろう?なら俺達後衛が出たところで何の意味もない。それにグラヴィスト直下の騎士部隊がすでに展開している。俺達の仕事は無いよ。」


「畏まりました。例の剣士は現在ゾスマ補佐官が行動を監視しております」


別のパネルを映し出しアクロの士官服を着た鋼兵を映し出した。


かつ手元の紙を見つつ、マギイストの指示を空間に映し出したパネルに書き込んでいく


「ははは、それなら大丈夫だね。どの道"例の剣士"相手では何人集めても駄目さ。


 もし本当に彼に戦う意思があるなら、相手はボクがやるよ」


眼が黒く光り、瞳が金に輝くマギイストに従者の女性はおびえることなく淡々と言葉を返す。


「しかし、相手はファイロの可能性があります。


 国境にて戦闘があったのを監視班が捉えています。例の剣士との挟撃だと足が鈍る可能性がありますが」


「彼らが本当にこちらだと思っているのなら、とうに本土へ砲撃を撃っているさ。


 でもファイロ側からは何も言ってきてないんだよねぇ。う~ん......どうなんだろうね?」


「まじめにお願いします」


「ははは、そう怒んないでよ。たぶん、この10人は先遣隊だろう。


 真正面からやりあう必要は無いみたいだね。すでに国境を越えているさ。ボク直下の子達が国中を探したけど、どうも動きは無いみたいだし。


 問題は、先にプルーヴォに放った刺客が全員消息を絶ったってところかな」


マギイストは自身の真っ白な頬をなでつつ、手に持った杖をくるくる回す。


「前線調査部隊が観測した情報ですと、プルーヴォの魔術師と思わしき少女に全滅させられたとの事です。


 特殊工作部隊 第27,28,29部隊が全滅、後追いの第3偵察部隊も僅かな人数を残して殉職しています」


「へぇ、陸軍工作部隊のエリートを送っても駄目か。敵さんもやるね。


 他の情報は?」


「はい。これはまだ未確定ですが早急にお伝えしておきます。


 我らの中に敵に密通している者がいるとの情報が出てきました。


 反乱の可能性があります」


「どこの"地域"だい?」


「すでに地域レベルであると?」


「無論まだ予想だけどね。


 旧アルミニオ領に居る者だろう?」


床にオーロ国境を写し出し、アルミニオの国を光らせる


「よくご存知で」


「ははは、あそこは昔の統合前から折り合いが悪くてね。


 先代も危惧していたのさ。いつか反乱が起こるとね」


「では部隊を送り全滅させますか」


「無理だな」


「何故でしょうか」


「今あそこには例の騎士、デンサヂャルデーノの悪魔が滞在している。


 まだ暴れる様子は無いがもし戦闘になった場合、自国のどこで戦闘しても甚大な被害が出る。


 今はまだ刺激しない方が良い」


「.....何を根拠にそう仰られるのでしょうか」


「ボクの放った密偵は1人じゃないよ。


 その中で奇妙な報告があってね。


 彼は神代の魔法が使えるらしい」


「!?


 ...真祖の吸血鬼ですら扱えない古代の魔術があの者が使役できると?」


「不確定要素だけどね。」


「それが本当であればプルーヴォはオーロに比肩する力を手に入れた事になりますが」


「まぁ、たぶん大丈夫だよ。こちらから攻撃しない限りはね」


「なぜそう思えるのでしょうか」


「ま、彼の性分がボクと大差ないところかな。


 各地の間者の中で、プルーヴォに放った者とだけ通信が取れなくなっている」


「はい。グルンドのドワーフと魔族の混血の娘ですね。彼に消されたのかと思いましたが」


「いいや、彼女は生きている。


 しかも、自分から彼に付いたみたいだね。ボクの使い魔も同時に消されているから、間違いないんじゃないかな」


「.....これではどこが安全かも分かりませんね」


「ははは、戦争仕掛ける国が安全な訳ないでしょ」


「おっしゃるとおりで」


そういうとマギイストは五カ国協定会議の会議室から足早に出て行った


「どちらに?」


「ははは、決まってるでしょ。彼が逃げそうなんで追うんだよ。」


そしてマギイストは暗闇に溶け込んでいった




―キャステード・デ・シュターロ城―


「貴様も少しは警戒しろ」


「あーい」


「手緩いと言っておる」


ここはオーロ王宮の中、フォルジスト率いる軍団の居城の一室。


今はこの城の最大の応接間にて行われている化物vs化物の会議を護衛する形で二人の男が扉の両側を護っている。


いかにもだらしない風貌の男は年は20そこそこ、金髪にピアスを空け腰には短剣を二本差している。


「へーいへい」


方や厳格な風貌に短い銀髪をオールバックにまとめ、顔には無数の戦いの跡を残している。


年は40手前といったところか、年季の刻まれたその風貌は歴戦を物語っている。


腰には同じ二本の短剣を差していた。


「...」


「おー怖。さすが泣く子も黙る"鬼の副長"、おっかないっすね」


「........」


副長と呼ばれた男は静かに横に立つ男を睨む


「わーってますって。そんな怖い顔しないでください」


「貴様も、銀十字騎士団の一員なら仕事はこなせ」


「はーい」


「......」


「隊長、オレッちそんなに弱くないっすよ」


「....相手を見て物を言え。かのデンサヂャルデーノの悪魔が相手だ。


 我ら魔人の抗魔能力を凌駕するほどの魔力を持つと聞く。しかもあの武神、アルジェンド様を圧倒すると言われる武勇。


 こうも噂ばかり先行していては、身構えぬわけには行かぬ」


いつもなら冷静に受け止められるこの男が、いまは目の前の敵の強大さに驚き、困惑している。


「....らしくねぇっす。いつも見たいに"弛んでいる。気持ちを切らすとは何事か!!!"って激飛ばしてくんねぇとやりずれぇっすよ」


「......」


思わず、剣の柄を強く握り締める。


「っと、終わったみたいっす」


昨夜の決闘から会議が始まり、それは空がしらみ始めた頃に終わった。


重い音を立てて豪華なつくりの扉が開き、中から鋼兵とゾスマが姿を現した。


心無しか両者の間の空気はぴりぴりしたものではなく、穏やかにも見えた


「では此度の戦、こちらから引かせてもらう。異論は無いな?」


「うぬ、御主程の男が言うならば間違いは無いだろう。」


「では俺はあの使者を連れて国に帰る。


 ここでの協定をお前の言う五カ国協定会議で言いたければ言うがいい」


「無論、言わせて貰うさ。


 しかし、アルジェンド姫にはこのような結果となってしまい、本国でも相当に動揺が広がるであろうな。


 このような結果になってしまっては当然ではあるが」


「俺はどうでもいいけどな」


「此度の戦を引いて貰う代わりを出さなければこちらの面目も立たぬ。


 それも五カ国協定会議で出しはするがな」


「それでか」


「うむ」


「俺としてはこのまま引かせてもらう事が一番なんだがな」


手に持った刀を空間を開き、その中にしまいこむ。


「.......空間魔法をいとも容易く....やはりマギイスト殿の話は本当か......


 では協定通り、アルジェンド第三姫をそちらに引き渡す」


「はぁ.....」


ため息を吐く鋼兵とゾスマは足早に出口へと歩いていった


その様子を見つつ、門番の二人は開いた口が塞がらなかった


「ききましたか?


 俺ノ耳イカレタンデスカネ?」


「いや、本当だろう。ゾスマ筆頭がああ言っておられるという事は間違いない。


 これは大変な事になるぞ」


唖然としていた二人だったが、慌てて鋼兵とゾスマの後を追いかけた。




長い夜が明け、朝日に照らし出された草原を背に、鋼兵はゾスマと対峙していた。


朝露が日の光で煌き、空は雲ひとつ無く爽快であった。


吹き抜ける風が鋼兵の頬を打ち、腰には刀、手には約定が握られていた。


「ここまでで良い。あの青年にはすまなかったな。」


「なに、あの悪魔から手ほどきを受けたと後で自慢する事となろう」


「そうか」


「ではな。あいつらがリバーイーストに居ると話があった。そこに向かわせてもらう。」


「リバーイーストはここから目と鼻の先、少し休んでいけば良いものを。朝食は摂らないのか」


「ま、俺の魔力なら飛べるからな。すぐさ」


鋼兵は体の回りに空気の層を纏い、足が少しだけ浮かび上がる


「......もはや何にも驚かぬわ。


 ではリバーイーストに着いたらそのまま待たれよ」


「分かった。こちらも再戦しない事を望む」


「分かっている」


そう言うと鋼兵は天高く飛び上がり、そのまま雲を引きながらリバーイーストまで亜音速で飛んでいった。


向かい風の中、鷹のように鋼兵が飛び立った後、ゾスマは今後のオーロについて複雑な心境だった。


「あの魔力、やはり"帝"クラスか。通りで強いわけだ。


 悔しいが、我らの力ではあの者に太刀打ちできぬ.....


 おい、お前達羊皮紙とペンを持って来い。書簡を届けてもらいたい」


「は、はっ!!承知しました!!!」


後ろでアホのように口をあけて鋼兵が飛び立つのを見ていた二人組に声をかける。


「さて、あの姫様がおとなしく引いてくれるとは思えないが....」


「これも、オーロに恒久の平和をもたらすため....」


ゾスマはそのまま二人を追いかけ城へと戻っていった。


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