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第31話 それぞれの戦い

更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

私の方の個人的な事情により、しばらく更新できない日が続いておりました。


あまりペースが速くないですが、なるべく投稿できるように執筆してゆきますので、よろしければ生暖かい応援をお願いいたします。


宮川

―オーロ国境 古城


「はぁ....はぁ......昆虫型が多すぎる!!!」


―ザシュッ!!


エレネは飛んできた巨大な飛蝗を横薙ぎに一閃


「全くです!!


 ここまでモンスターが多いとは!!」


後ろから飛んできた蟋蟀のモンスターを魔術で作り出した壁で圧殺する


「スクツもこの子達の言葉が分からないですよ!!!」


バリバリと雷撃を出して蜻蛉型のモンスターを撃ち落す


「エレネ様、魔法で何とかしてください!!!」


「とっくに魔力切れ!!!」


アリの軍団をステップを踏むようにして剣を振るいながらエレネは叫ぶ



しばらくそんな戦闘の連続の果てに、古城の中に居た虫のモンスターは出現しなくなった


完全駆逐したとは言いがたいが、少なくともエレネ達のすぐ近くには居なかった


「ふぅ、一息つきましょう。


 スクツ、何かなくて?」


古城の主が使用していたものと思われる寝室に三人はまとまっていることにした


そのほうがモンスターが出てもすぐに対応できるし、何よりここで一人は心細かった


そして、ここまで一日以上何も口にしておらず、走り通しだった三人は食事も取りたいと思っていた


「駄目です。


 食料庫は虫に食い荒らされて何も無いですよ。調理器具ぐらいは見つけたです」


ガラガラと奥のほうから鍋やフライパン、包丁といった新品のままの調理器具を引っ張り出した


埃をかぶってはいるがまだ使えそうである


先ほど城内を散策した際に水が出る古い井戸のようなものを発見していた


しかし、それはこの古城の地下であり、大量の昆虫型モンスターを発見したのもそこである。


「技をこんな使い方したことは初めてね.....」


エレネの得意魔法は水系統の技である。


その技を応用し、こうして調理具に入れ湯を沸かすこともできる


食材はスクツとエレネで分けて持ち歩いていた分を使用した


簡易ストーブは、通常よりかなり威力を落とした出力でスクツの雷撃を用い火をおこした


虫が入ってくると厄介なので廊下一帯にフローロの魔術により樹木の壁を生成、拠点とした。


いくつかの干肉と少しのハーブを含むスパイスでスープを作り、主食はエレネの持っていたパン三つである


簡易の食事を取り、まだきれいと思われるベッドを火の回りに置き、三人が寄り添うように寝転がった


スクツは疲れていたのかすぐに熟睡し、フローロとエレネは火とモンスターの見張りで起きていることにした


そしていくつかの雑談の後にぽつりぽつりとフローロが自身の生い立ちについて語りだした


「私が育った村は帝国でも貧困層のほうで、今のような生活とは縁がありませんでした。


 父は帝国内部の統合時に起きた戦争で戦死、母はそのときのいざこざで行方知れず


 私は戦争難民として統合後の帝国に引き取られましたが、中は過酷な環境でした。」


統合後のオーロは内政が思わしくなく、戦後というのも加わり人々の生活は困窮を極めた


当時の政権は五大老指揮の元発足


度重なる出兵と戦火の被害が色濃く残る中で末端まで手が届かないのは仕方の無いことである


「しかし、帝国内部の富国強兵論により子供から兵士や研究者として優れた人材を輩出するため、


 帝国上層部は難民となった孤児の中から優秀な子供だけを優遇し育て上げました。


 当時の私は魔術など使用したことも無く、何の魔術も使えない私はただ殴られ、叩かれる毎日でした。


 それのお陰というわけではありませんが、幸い体を弄ばれる事はありませんでした。


 私はエルフと魔人のハーフですので」


力なく微笑むフローロはどこか儚く、寂しさが漂っていた


「エルフと魔人のハーフってことは、あなた国境付近の村出身だったの?」


「はい、私は禁忌とされた魔人とエルフのハーフです。


 詳しい記憶はありませんが、私は遺伝子検査の結果そのようです。


 想像通り、オーロ国内は亜人で溢れていますので、エルフは目立ちますし敵視している者も多く居ました」


フローロは足元に小さな魔方陣を出現させ、そこから人ぐらいの木を生えさせた


「私の魔術特性は見てのとおり木属性の魔術行使が出来ます。


 私の魔術特性として人体や自然に少し干渉する事が出来ますが、主たる属性まで変化させることは出来ません。


 ...明日オーロ入りです。下手をすると命を落とすかも知れません。


 もしそうなった場合は...エレネ様、私を母の所まで連れて行ってはいただけませんか?」


「え?」


「私には育ての母がいます。


 父の妹だそうで、昔から良くしてくれていました。」


フローロは静かにエレネを見やる


「分かったわ。


 ただし、どんな状況になっても私が意地でも連れて帰るけれどね。


 プルーヴォ騎士団長の力をなめてもらっては困るわ」


「ふふ、そうですね。


 では明日はよろしくお願いいたしますね。


 騎士様」


「うむ。


 任されよ!!」


「はい!」


フローロとエレネの会話はとどまるところが無く、特に鋼兵についての話題は尽きなかった


天を覇するほどの武勇、その美貌、全てがこの世界では見かけないものばかりだった


彼を失った今、我らができることなど限られている。


せめて、彼が遺した意思を貫きたい


この思いを胸に、エレネ達は明日のオーロに向けて策を練るのだった




その頃、鋼兵から貰ったお守りの意思が鈍く点滅していることに二人は気づかなかった


鋼兵が施した梵字の文様が入った石はいざというときは式紙にもなる。


その強力なお守りがある以上、相当な使い手か強力な魔獣出なければ危害を加える事はない。


魔獣が弱すぎる場合はこの限りではないが


石が点滅している場合は鋼兵が近くに居ることを示すものだった



―アクロ王国軍会議室


「やはり、捕縛は無理でしたか。


 ヘーラ殿で無理ならば、我らでは束になってもかないますまい」


アクロ王国では鋼兵を取り込もうと画策していたヘーラが参謀を呼び寄せ次なる一手を練り上げていた


会議室ではセルペントとヘーラが対オーロ帝国戦に焦点を向けていたが、

長年戦をしていなかったのでいかんせん腕がなまっていた


会議の内容は難航し、遂には周辺諸国の手を借りるというところで落ち着きそうであった


「ふん、だから止せと言ったのだ。


 たかが小僧に遅れをとるようでは高が知れるわい。女子供は黙ってワシらに従えばええんじゃ」


円形のテーブルの丁度反対側に腰掛けるフンドはつまらなそうにつぶやいた


いつものように両脇に部下を従え、お抱えのティグロ少将もすぐ横に居た。


テーブルへ足を掛け、手には酒が握られていた


「フンド提督、時は変化し続けています。


 あの男は危険です。すぐにでも抹殺すべきです」


ヘーラは苛立ちを抑えずに続けた


「第一、我らアクロは他国の協力なしにオーロ打倒など」


「だから言っておるだろうが。


 オーロに協力しプルーヴォを見せしめに崩せば自然とこの戦は回避できるのだ


 オーロと事を構えようとするその姿勢がだめだ」


この言葉にヘーラも苛立ちがつのる


「ですから先ほどから言っているではありませんか!!!


 プルーヴォには悪魔、いえオーロの軍勢をも超越する剣士が居るのですよ!?


 真正面から戦って勝てる相手ではないのです!!」


「その剣士はいまどこに居る?


 オーロ国内ではすぐにはプルーヴォへ引き返すことなどできぬ。


 むしろ叩くなら今なのだ、若き龍の姫よ。


 お主こそ戦況を見極めい。」


そういうとフンドはまた酒を煽る


「ヘーラ様よ、大将の言う通りだぜ?


 俺ら五臣将、戦は得意でね」


ティグロ少将は自信満々に答える


「第一、その剣士ってのは今は絶滅した人間の残りなんだろ?


 人間は確か非力で技術を磨いてきた種族だったよな


 そんな奴に、俺ら虎族(コゾク)が負けるわけがねぇ」


バシッと拳を合わせるティグロの眼は真っ赤に光り、獰猛な牙を覗かせた


「ティグロやめよ。


 ワシらは戦になったらすべき事をすればよい。


 ヘーラよ、ならば此度の戦、我らに任せよ


 すぐにでもケリをつけてやるわい」


フンドはそういって席を立った


「まあ見ていろ。


 プルーヴォなどすぐに落ちるわい


 行くぞティグロ」


「応!!」


フンドは再び酒の入った瓶に口をつけながら、ティグロを連れて会議室を出て行った


「ヘーラ様」


その様子を見ていたセルペントがヘーラにその行動の是非を問うた


「よい。


 それよりも、あの剣士じゃが相当な使い手じゃな。


 わしの不手際により懐柔は不可能となったが、まだ敵対すると決まったわけではないようじゃ


 手を打つぞ。セルペント、プルーヴォに住むそなたの一族に連絡を」


「御意。


 では他の十二騎士団にも連携をとりましょう」


ヘーラは羽ペンに手を伸ばすセルペントを制した


「いや、それは不要じゃ。


 今回の件は我らだけで動く。よいなセルペント、誰にも言うでないぞ」


「承知」


そういうとセルペントは袖の下から竹で出来た小さな筒を取り出した


「ヘーラ様、過去100年の召喚者のリストです。


 私も確認しましたが、どの個体もすぐに戦場にて戦死しております。


 今回の相手、それほど強敵ということをゆめゆめ忘れなきよう」


それを受け取りながら、ヘーラは微笑み返しながらこういった


「セルペント、我もそこまでバカではない。

 

 伊達に200年は生きてはおらん」


「これは失礼をば


 それでは」


華麗に会釈をかえしながらセルペントは静かに部屋を出て行った。


セルペントが出て行ったことを確認すると、


ヘーラはゆっくりと息を吐きながら今後の行く末について思いを馳せた。


「セルペント、分かっておる。


 おぬしが心配していることもな。


 しかし、大きな一手を返さずばこの難局を乗り切れん」


ヘーラは新たに気合を入れなおし、自慢の龍の角を凛々しく反らせた


そして静かにその筒をしまいこみ、きれいな浅緑のドレスを翻して会議室を後にした

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