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第28話 プルーヴォの騎士

グリーンオークはその生態が不明な事に加え非常に凶暴な性格という事のみが有名である


そして、もう一つグリーンオークはメスの個体が非常に少なく、時に他の種族のメスを捕獲することもあった


それは種族に関係なく、特に人型の種族であれば見境がなかった


「グルルルル........ゥゥウウウウウウオオオオオオォォォォオオオ!!!!」


「くっ!」


エレネたちを確認したグリーンオークは一際大きく吼え、すぐさま楠を掴みゆすってきた


―私達を落とす気か!!!


「大丈夫です!!この程度では...」


フローロがそう言いかけたとき、森の奥から更に足音が響いてくるのが聞こえた


「...まさか」


足音が最も近づいてきたときには足音の方角の木が一通りなぎ倒され、何十体というオークが飛び出してきた


『オオォォォォォオオォォォオオオオ!!!!』


「数が多い!!!」


何十体というオークはすぐに木の周りに集まり、一斉に木を揺すり始めた


「きゃああぁあぁああ!!!」


オークたちは涎を垂らし続け、目はギラつきその巨体を揺らしていた


「くっ!!


 なめるな!!!」


エレネが杖を構え、近くのオークへウォーターボールを撃ち出した


それが近くにいたオークの額に命中し、一瞬振れが止まった


「暗くてよく見えない!!」


「.....グ、グオオオォォォォオオオオ!!!!!」


先ほどの揺れから更に増し、木の根元は段々千切れ始めた


特にウォーターボールを当てた一体は激昂し木をへし折るほど揺すっていた


「いけない!!木が倒れます!!!」


「ならば、他の木に飛び移る!!!フローロ、先ほどの術を!!」


「無理です!!!木に触れながらでないと発動できません!!!」


「なにっ!?」


そして、遂に木が倒れた


「っく!!」


エレネはフローロとスクツを抱き、地面と激突する瞬間飛び去り着地した


「....相手はグリーンオークか」


エレネは着地した瞬間杖を振りかざし、天に向け呪文を唱えた


"天より降り注ぐ冷たき夜の月光 


   邪な爪牙より我が身を護り給え


              白封防護陣!!!"


エレネの周りに半径5m程の白い球体の結界が出来上がった


「私の仲間を、やらせはしない!!!」


この状況にあって尚、エレネの眼は死んでいなかった


相手はグリーンオーク数十対、通常考えれば撤退が最優先だった


しかし、先ほどの落下でスクツとフローロは気を失い、エレネ自身も残りの魔力が底を付きかけていた


頼みの綱の鋼兵は生死不明、自軍の何倍もの敵軍、常軌を逸する強行軍によりすでに心身共に疲れきっていた


群れていた中の一体が突進を仕掛ける


「はっ!!!」


棍棒を振りかざし迫ってくる相手の懐に飛び込み、そのまま胴薙ぎで一体を倒す


「グギャアァアアアアアアア!!!」


「はぁ.....はぁ........っは!!」


ドンと手元の刀を大地に突き刺し、両手を前へ出して構える


「ここは通さない!!」


「グオオォォォォオ!!!」


数十対居るうちの3体がエレネに対してタックルを掛ける


―ガゴォォオオオォオォン!!!


「っく」


三方向からの重いタックルがエレネを襲う。


結界の強度的に持久戦は思わしくない


「さすがに重たいな!!」


改めて術に強化を加えるが、こんな攻撃を何回も食らえばさすがに結界も保てない


―まだだ、まだひきつける!!


エレネはこの状況を打開するために各個撃破ではなく、一撃で屠り去る必要があると考えていた


「グアアァアアァアアアア!!!!」


―ドゴオォォォオン!!!


「チィ!!!」


先ほどから一体のグリーンオークがやたらとエレネに向かって突進してきていた


ウォーターボールで額に一撃を入れた相手だ


「しつこいんだよ!!!」


咄嗟に結界を強固にして弾くが、何度弾いても眼を血走らせてぶつかってくる


自身の術強度を限界まで引き上げ、迫り来る脅威を弾き続ける


"母なる海を創世せし水の精霊達よ


  我が眷属となりて敵を殲滅せよ


    ウォーターレイス!!!"


巨大な水の刃が周囲のグリーンオークを横薙ぎに一掃する。


しかし、あの一体だけはことごとく攻撃を回避し執拗に迫ってくる


エレネの攻撃を巧みに回避し、執拗に本体を狙ってくる


"赦されざる罪人の断罪


  罪を清算する浄化の聖水


    ホーリーソウル"


エレネの展開する結界から更に大きな結界が展開される


薄い水の結界で展開されたこの術は結界内に居る全ての魔物を駆逐する


体を構成する水を分解し、生体その物をバラバラにする


エレネの結界に張り付いた最期の一体もこの結界に取り込まれ、その細胞ごと分解され消失した


「....ふぅ..」


辺りを見回し、存在するグリーンオークは全て殲滅したことを確認する


すでにあたりは真っ暗で、エレネの周りには精霊術による光が展開されており辛うじて明るかった


エレネは結界を解き、地面に突き立てたフローロとスクツに駆け寄る


「っと、フローロ!


 起きなさい!!早くオーロに」


「んぅ...?」


フローロは寝惚けたように辺りを見回す


「っ!!


 グリーンオークは?」


辺りを警戒しつつすぐさま戦闘態勢を取った


「私が片付けた


 この辺りは木々が大きく高いものばかりのようだ。


 木の上は普通なら安全だろうがさっきのようなこともある。


 確かこの先には古い城跡があったな。そこで休もう」


「わかりました。スクツを連れて参りましょう」


フローロが立ち上がり、まだ起きないスクツを抱えエレネに並ぶ


「スクツはまだ起きないのか?


 よほど強く頭でも打ったのか」


本来、水魔術師、水の精霊使いは治癒魔術(ヒーリング)に特化しているはずだが


心臓、脳といった複雑な場所は専任の魔術師で無ければ治療はおろか診断も出来ない


「いえ、私の術で今は眠ってもらいました。


 体力的に限界のようでしたので...」


フローロはそういうと魔法陣を自身を中心に展開、その余波を森の木々に伝達させ始めた


「ご主人様がご不在の今、私達に出来ることをやります。


 最速でオーロに到着することです」


少し長くなった灰色のウェーブかかった髪が風に揺れる。


「それで、今は何をしているのだ?」


エレネは長めの金髪を風にはためかせながらフローロを睨む


「ここで一回周囲の状況を見直そうと思いまして。


 やはり、周囲には害となる生命体は居ません。こうして木々を媒介に周囲の状況を確認しているのです。


 ...あった、古城はこの先20m程度でしょうか。


 古城よりオーロ国境はすぐです。国境からは定期便の魔列車が出ています。


 魔物に引かせる馬車のようなものです。荷車を列ねるので列車です。


 行きましょう...どうしました?」


エレネは懐から鋼兵からもらった石を取り出し眺めていた


―鋼兵様、どうかご無事で


それを大事に懐に仕舞い直し、フローロについて歩き出した


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