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第23話 上級魔術師


―やりすぎだ....紅葉....


国境の国境にはオーロ軍の屍骸がほぼバラバラになった状態で見つかった


その頃国境はその事後処理でてんやわんやだった。


一方、鋼兵たちは森の中で未だ迷走していた。


周囲の様子を式神の"眼"で索敵していたが、探った限りでは敵は居なかった


組上げていた気を雲散させ、臨戦状態を解く


「とりあえず、周囲には敵は居ないようだ。


 上空を見たときに思ったんだが、ここよりかなり北に大きな神殿のようなものがあるな?


 俺達が来た方向と直角な位置にあるが、あれは何だ?」


鋼兵は脇差と太刀を仕舞い、エレネたちに問いかけた


「あれほどの術の後に疲れもしないとは...もう何があってもびっくりしません......


 北にある神殿とは、おそらくフロスティーギ神殿の事でしょう」


エレネが若干あきれつつも律儀に答えてくれた


「あそこは我らと永世中立を打ち立てているグラツィーオ一族の治める土地です。


 彼らは高貴なる一族なので、無闇に干渉することは禁じられています。


 また個人の戦闘能力が高いことで知られています。接近戦であればエルフ族など手も足も出ません」


「あそこの一族はこちらとの干渉を極端に嫌うですよ


 以前森の長達を集めて集会を行おうとしたら手ひどく断られたですぅ」


エレネの横でスクツがしょんぼりと肩を落とした


「そして、彼らは何より誇りを大事にする一族です。


 近年、我らエルフ族と同じ流行病にかかり、男性が減っているとの事です。


 鋼兵様でも、お気をつけてください」


エレネが少し憂いの様子でグラツィーオ族の里の方向を見ていた


「!?


 鋼兵様、なにやら焦げ臭くありませんか?」


周囲には火の気は見当たらないが、確かに物の焼ける匂いがした


「確かに、匂うな


 俺の炎分身は術の解除で火が消える。って知ってるか


 だから俺の炎が延焼したってことはない


 こりゃあそのグラツィーオ族の里のほうからじゃないか?」


「この森にある土の上の"重み"を計ってみます。


 "土の精霊|タイタン"」


フローロが地面に両手を着き、なにやら呪文を唱え始める


「エレネ、あれは何の術だ?」


「あれは土系統の精霊術です。


 おそらく彼女がオーロにて修めたものではないでしょう。


 土系統は存在自体が稀で、本場グルンドの魔術師でも上位魔法を扱えるのは王宮に関連する職業の者のみです。


 "魔法使い"クラスでも使いこなせるのはそうは居ません。


 ちなみに、彼女の言う重さとは物の重さではなく存在の重さです」


「ちょっと待て


 魔術師と魔法使いとは何だ?


 存在って?」


エレネはぎょっとしたように鋼兵を見た


「え!?


 まさか鋼兵様は今までの術を"精霊"抜きに使役していたのですか?


 あの火力で」


「俺のいた国では精霊なんてものは存在しなかったし、この方術だって俺の母の家の家伝だ。


 この世界ではこんなことはあたりまえだろうに」


何を言っているのだといわんばかりに鋼兵がエレネを見やる


「いいえ、それはち「違うですよー!」ます」


エレネの話している最中にスクツが割って入ってきた


どうやら先ほどの奇襲の驚きも去り、今は暇でしょうがないのだろう


「通常、この世界では魔術師は精霊を扱い、魔法使いは魔法のみで術を完成させるです。


 でも、魔法使いは五大国の神官クラスでないといないですし、精霊術は基礎から学ばなければ習得できないですぅ


 ただ、鋼兵様の使役する術は"原始の魔法"に近いですよ」


「原始の魔法とは?」


「それは「私が説明させていただきます」」


いつの間にか術が終わったのかフローロが少し疲れた様子でそばに来ていた


「原始の魔法はプラテンパ系譜により系統が異なります。


 しかし総じて同じ所があり、それは自分の属性に関係なく異なる属性の魔術を魔法として使役できる点です。


 それには特殊な手法を用いることなく、自在に様々な魔術を扱えると聞き及んでいます。


 御主人様は魔法を執行する際に、精霊を呼び出したり、特殊な陣を敷いたりする事はないですよね?」


「俺の使う小野流は一切の無駄を省いている


 陣どころか、中級ならば詠唱無しでいける」


「...やはり、あの速さはそういうこと」


エレネは静かに頷き、鋼兵を見据えた


「わたくしの思うところでは御主人様の術は神代のそれに近いです。


 以前、グルンドの神官が保管していた古代の魔術に酷似しています


 御主人様、もしや腕か脚に聖痕があるのではないでしょうか?」


「これか?」


鋼兵の腕には梵字の経文が書かれている


それはかつて師のもとで修行したとき、免許皆伝をかけた試練を乗り越えた証として


各武道、魔術の師範より受け取ったものだ。


武道方術各十二人の師範が居り、あわせて二十四人となる


方術系師範は女性しか居なかったが、特別な渡し方をされたため若干通常より濃く引き継がれてる


「その紋様は見たことがありません。


 召還されし者がもつ特有の紋様かもしれませんわね」


ふふふと微笑むフローロとは対照的に、エレネはいまひとつ腑に落ちないようだった


いくつか質問したそうなエレネを遮るように、俺はフローロに周囲の状況を尋ねた


「フローロ、何か見つかったか?」


「え?


 えぇ、御主人様のお考えのとおり、北のグラツィーオ族の神殿が壊滅的被害を被っています


 どうやら、そこに居るのはオーロの者では無いようです」


「何?」


「この気配、相手はファイロの手の者です」


「馬鹿なッ!?


 あそこはファイロ王国次期皇后様の故郷だぞ!?


 何ゆえファイロが攻撃するのだ!?」


エレネは驚きのあまり声が出なくなってしまった


「それはわたくしにもわかりません。


 しかし、今確かなことは、囲まれたということです」


一際大きな謎の鳴き声と共に、あっという間に周囲に気配が増していく


少し間が空き、地中から人が炎に包まれたマグマのように現れた


その手にはファイロ王国上級魔術師の証、真紅の杖があった


「動くな


 回りは炎術師隊で囲っている


 サラマンダーとワイバーンも上空に待機させている。


 抵抗するならば消し炭にする」



上空を見上げると、鳥のように空を舞っているものが見えた


しかし、鳥のように小さくは無く、トカゲに羽が生えたかのような生き物が飛んでいた


「貴様らはオーロの手の者か?


 奇妙な妖術を使ったのはこちらでも確認している。


 あの系統はグルンドの土系統であろう


 この辺りにもオーロが出没していることは知っている

 

 アクロ王国の方でも奇襲があったのは確認した。」


声が一段と聞こえる方向を見ると、真紅のローブにフードを目深にかぶった人型の者が立っていた


「我らはファイロ王国国家憲兵隊の者だ


 本日の昼に北のグラツィーオ族の神殿に攻撃を受けたので我らが派遣された


 攻撃した輩は捕まっていない。


 そして、我らがこの辺りを哨戒していたらお前達が居たというわけだ」


炎術師の男の表情は窺い知れないが明らかに勝ち誇った声色だった


「我らがいたとして、何とするか!!」


エレネは国家憲兵隊に一歩も引かぬ気概を見せる


「無論、貴様らのような不審者を捕らえ、尋問させていただく」


男がゆっくりと杖を振る


「!?」


すると周囲一帯に炎の渦が発生し、周囲の木を焼き払った


「我々は争いに来たのではない。


 鎮圧しに来たのだ。無駄な手間を取らせるな」


「男の周りに火の精霊が見える」


鋼兵の後ろのフローロがつぶやく


「炎術弐式-火矢倉-(ひやぐら)」


男の周りの炎が次々に構築されなおしていく


そして落ち着く頃には男を囲うようにとぐろを巻く


「抵抗してくれるなよ」

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