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第22話 紅葉の戦い

久しぶりの投稿です。

ゆっくり更新していきますので、興味のある方はどうぞ

「敵がおもったより先行して来ている。


 こちらの動きが読まれている可能性が高い。


 プルーヴォには紅葉を残しているから問題ないと思うが...


 まずは状況を確認する。


 術を展開する。離れろ」


エレネ達が離れたことを確認した後、脇差を引き抜いて逆手に持ち替え印を組む


「陰陽五行 水の気 操風術


 "天つ風"(あまつかぜ)」


そのまま一気に振り下ろし、地面に突き立てる


すると刀を中心に術式の紋様が現れた。


術式を囲うように空が曇り始め、ついには晴れ渡っていた空が光一つないものとなっていた


エレネたちを囲むように雲が旋回し始める


「"始祖たる海原より来る風


  岩をも穿つ 見えざる刃


  風術混合術式 玉風(たまかぜ)"」


―リィィィイイン!!!


鋼兵の周囲の風が渦を巻く様に流れ始め、術式の陣の中に回り始める


周囲の風が共鳴し、荒れ狂うように吹き荒ぶ


「こ、鋼兵様!?」


「次いで"炎術 陽炎分身"」


鋼兵の体に突如炎が立ち始め、それが周りの風と相まって一瞬にして業火となった


炎は少しの間ぼうぼうと燃え上がり、火柱となって渦を巻いていた


そして炎が落ち着き始めると鋼兵が刀を囲うように数人に分かれ、それぞれが炎の様に髪の毛を逆立てていた


「俺の分身を上空から偵察させる。


  "上昇せよ"」


鋼兵の号令で一斉に炎で出来た分身は上空へ上っていく


上に集まっていた雲が一気に霧散していった


「"散開"」


上空で別れた人型の炎はそれぞれ東西南北へと飛んでいく


「これに似たものを、スクツ見たことあるです。


 ファイロの上級魔術師が使役する高度な"炎分身(ほのおぶんしん)"ですよ


 ファイロの中でも分身系の術が得意な術者のみ使える火系統の魔術ですぅ」


上空を滑走していった炎人を見ながらスクツがポツリとつぶやいた


「私も他の国で見たことあるわ


 グルンドでは地脈を利用した"土人形(ゴーレム)"を実践段階の一歩手前まで研究を進めていたわね


 あれが実践で入るとなると、相当厄介な相手よ


 回復もさることながら、分身であればすぐに兵を増やせるしね」


フローロもスクツにならい分身が飛んでいった方向を眺めていた


「分身術自体が高度な術式を必要とする。


 鋼兵様は、それを一度に複数出現させた上に命令まで持たせて単独で行動させている。


 分身術は水魔術師の得意分野だがここまで完成度の高いものは私でも難しい...」


一方エレネは悔しそうに拳を握り締めていた


(あぶねぇ


もうちょいで増やしすぎるところだった.....


さすがに偵察で100体も要らないだろう。力加減を後で調整しなければな)


鋼兵は術を解き、上空を縦横無尽に走っていた幾条もの赤い閃光は次第に消えていった




―プルーヴォ王国国境


「ねぇ、本当に奇襲なんて来るのかしら」


「まったくね。


 しばらく戦なんて無かったし、頼りの英雄様は国外へ遠征に出てしまっているし」


国境の城壁を守る衛兵は通常2人によって成されている。


長らく戦が無かったので軍備の資金が大幅に削減されているため、衛兵といっても兵士の妻だったものやその娘が役割を担っている


この日も何事も無いかと思われた


国境近くに迫るオーロの強化兵が迫っていることを、まだプルーヴォは知らなかった



プルーヴォ王国の城壁の外、始まりの森の末端から身を潜め様子を伺う影が幾つか迫っていた


「やはり、報告どおりのんきに構えておるな」


緑色の迷彩に身を包んだ浅黒い肌の、耳の長い男が影から身を乗り出した


手には例の石が握られている


石は鈍く緑色に発光していた


「こちらアルファ


 定刻通り城門前に達した。各員準備は良いか」


続々と報告が入った


「こちらブラボー


 突入許可を」


「こちらチャーリー


 準備完了しました」


「こちらデルタ


 いつでもいけます」


「こちらエコー


 射撃位置に付きました」


「こちらフォックス


 射撃位置についた」


「よし、合図と共に突入開始だ。


 こんなときに、あの吸血鬼の技術も役に立つものだ」


浅黒い男は懐から粘土のような塊を取り出した


「たしかC-4とか言ったな。


 これで城壁に穴を開けるほど威力が出るか疑問だが、やってみるか」


「確かに爆薬は強力ですが、それは工作レベルでは有効ですがこのような白兵戦では意味を成しません。


 起爆までの時間がかかり、主戦力としては幾分か戦闘力に欠けます


 起爆タイミングはこの状況で絶望的と言えます」


「!?」


浅黒い男が振り返ると、そこには真っ赤な着物を着たとても美しい少女が立っていた


おかっぱの髪に、黒曜石のような瞳が男を捕らえていた


「...おまえ、この国の者でないな


 しかも人でも無いか。なれば我らと同じ魔の者であろう。


 何故エルフに手を貸す」


胸についているホルスターからナイフを取り出し、静かに構えた


「わたくしの御主人様が、御協力なさると申されたからです」


それでも少女は一切視線を逸らさなかった


「ククククククク


 貴様のような小娘に、俺が止められるとでも?


 カハハハハハ、良いだろうお前のふざけたその考えを正してやる


 ついでにお前の言う御主人様とやらにも教えてやらねばなるまい


 たかが小娘一人でこの"ナイトホーク"部隊をとめられるはずなどないのだとな


 まずは、その体にたっぷり男を教え込んでやる」


卑下た笑みを浮かべる男に、紅葉は表情一つ変えずに切り返す


「いえ、とめるのではなく消し去ります。


 それともう一つ、私は御主人様の物ですので、すでに純潔は御主人様に捧げました」


「な」


男が呆気にとられていると、紅葉の両手が光り始めた


足元には魔方陣が展開され始めている


―ちっ、あの吸血鬼と同じ系統か!! だがまぁいい...


「"狙撃班"撃ち抜け!」


木の陰からいくつもの矢が放たれた


それも一本一本がちょっとした木ぐらいの大きさである。


その矢は正確に紅葉の頭に向かって放たれていた


数はおよそ30、矢の攻撃は通常"点"だが、その攻撃は"空間"を穿っていた


「無駄です」


狙い澄ましたかのような射撃をいともたやすく捌く


みるみるうちにあたりには木の矢で林のようになっていた


「クソが!」


浅黒い男は懐から幾つか球体の小瓶を取り出した


「カバー!!!」


それをためらい無く紅葉に向かって投擲する


男の号令で次々に丸型の小瓶が投げつけられた


―ボムッ!!!

 ドッ!!ドドン!!


小瓶が割れると一気に爆発し、人を覆いきるような爆撃が襲った。


辺りの地面が抉れ、木々は一部焼け爛れていた


紅葉のいた辺りはまだ土煙が立っている


「ハハハ、あの吸血鬼の研究も無駄ではないな


 全チーム、城壁へ爆弾のセット」


「この程度の爆撃では意味がありません」


土煙の中から紅葉が何のダメージもなく飛び出してきた


「お返しします」


―ボムッ!!!


男に向けられた紅葉の小さな手のひらから先ほどの爆撃がそのまま飛び出してきた


「はぁっ...ガッ.!?」


上半身が吹き飛び、辺りには内臓がぶちまけられていた


その様子を見ていたのか、一斉に森の中の気配が遠ざかっていく


「逃がさないといったはずです」


紅葉は両手に雷撃を集め、それを左手へ弓のように収束し、右手には矢を構築する


そして森の中の気配の方向へ次々に撃ち出していった


バシュッ!!バシュッ!!!バシュッ!!


―ぎゃああぁああぁあッ!!??

―ヒィィィ!!!


プルーヴォの国境警備兵が来る頃には、辺りは地獄絵図と化し誰もがその状況に怯えた

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