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第17話 思惑

遅れてしまい申し訳ありません....


最近はすごい忙しいのであまりupの時間が取れませんでした...

―オーロ帝国内"ロザルボ宮"


オーロ帝国は魔と亜人が共存することで人間種では乗り越えられない環境の難点を克服してきた。


しかし同時に強力な縄張り意識とプライドの高さ故の衝突を何度も繰り返し、


かの五大老が纏め上げたため今のオーロがあるといえる。


しかし今、代々受け継がれし秘術を用いても確実に勝てない相手が居る。


マギイストは今まで感じたことが無いような焦りを感じていた


「さーて、どうしようかな」


この日マギイストは愛用のドクロつき杖を持ち、ぷらぷらとロザルボ宮殿をうろついていた。


オーロ国内でも屈指の絢爛豪華な宮殿で知られるロザルボ宮殿は主にマギイストが使用しており、


訪れるものは各将軍の小間使いか、稀にサヂューロが訪れる程度である。


しかしこの日は珍しい客人が応接間に居た


「おやおや~、珍しいねフォルヂスト。


 今月の"常燃薬"と"岩トカゲの尾"は納めたはずだけど」


にこやかな表情のままピクリとも笑顔を崩さないマギイストに対しフォルヂストは苦い表情のままだ


よほど急ぎなのだろう


普段つなぎかオーバーオールしか着ないフォルヂストが珍しくローブを纏っていたからだ


「マギイスト、正直に答えろ


 お前ほどの術者が分からぬはずが無かろう。


 あの"斬られた"剣は、まごう事無き"刃"にて切り裂かれたものだ。それも尋常ならざる速度でな


 それを踏まえたうえでもう一度聞く。


 あの剣士は"人間"か?」


その問いかけにマギイストは笑顔を崩し、真顔でフォルヂストに向き直る


「質問の答えになってないんだけどね...

 

 参ったね、そこに気づいた?いや、気づいてたの?


 まあいいや。


 正直に答えると紛れも無く召還者だろうね。あれは。その点は人間といえなくも無い。


 それにあの召還術、俺んとこの特殊魔法実行部隊(ブルーローブ)じゃ無理だろうね。


 あの数を術式陣も無しでは俺でもきつい。


 出せなくは無いが、間違いなく目一杯魔力を食われるから戦闘には参加できない。


 悔しいが、あの剣士は間違いなく一流の魔導士か魔法使いだ。


 あんたが気にしている"新物質"の存在も否定はできないけど、


間違いなくあの剣士の腕によるものだろうね。

 

 あの斬り方は術を使用していなかったみたいだし。あぁ、あの牛将軍が気づいていたかは別だけど」


くるくると手元で杖をまわしながら探るように見つめるフォルヂストの視線を軽く流す


「やはりお主もそう見るか


 あのブルの若造には勿体無い業物だが、ほしいとせがまれちゃあ"鍛冶師"として打たないわけには行くまい。


 それに、あの剣の硬度は鋼龍の表皮と同じ硬度だ。使い手が三流でも切れ味は一流になる。


 それがいとも簡単に斬られたとあっちゃあ"鍛冶師"の名折れだ」


強く握り締めた手のひらから一条の血が流れ出す


フォルヂストもすでに分かっているが、認めるのを体が、頭が、己の誇りが拒絶している


悔しさで押しつぶされそうだった


「その手じゃいい仕事できないよ。フォルヂスト、いやヘーパイトス。


 鍛冶の神と呼ばれたその腕を信用したほうがいい。」


マギイストは手元のマジックポーションをフォルヂストの手をとり振り掛けた


深く肉が抉れるようになっていた手が一瞬で傷がふさがっていく


「...相変わらず凄まじい威力だな。


 これを戦に持っていけば被害も少しは変化したんじゃないのか?


 いくら野戦部隊と折が悪くともそれぐらいは情けだろう」


直りたての自分の手をしげしげと見つめながらフォルジストはマギイストを睨む


「ははは、冗談でしょ。


 あの部隊にはこの"D2ポーション"の3ランク上の"A1ポーション"を500本持たせたよ


 無理なんだ、俺のポーションだと」


乾いた笑いを漏らすマギイストに違和感を覚える


「...何が無理なんだ?」


「ん?あぁ...戦況をまともに聞いといたほうがいいよ、フォルヂスト。

 

 報告によると、あの者の剣に斬られると"再生魔法"が効かないらしい。


 だからね、現時点では一度でも斬られるとそこまでなんだ。


 あの騎士に斬られた者全員の死因は失血死だが、それは傷が"深かった"んじゃない。


 傷が"塞がらなかった"からだ」


手に握ったポーションの瓶を空中に放り投げ、杖を一振りしそれを跡形も無く消し去った


「...お主が言うその剣士、一筋縄では行かぬようじゃな」


「ああ、もちろん。


 言ってなかったけど、俺も次の戦いには隠密役と共に探りに行くつもりだ。


 あの剣士、魔法勝負で戦ったらどっちが上か試してみたいんだ」


マギイストの眼は子供がおもちゃを手に入れたときのように、らんらんと輝いており、


その眼には怪しい光が輝いていた


「歴代の中で最多種、最大出力のおぬしが、そこまで入れ込むか...


 分かった。対剣士用の防刃ローブを用意しておこう。


 戦に行く前には声をかけてくれ、すぐに用意しよう」


「話が早くて助かるよ、フォルジスト。


 さて、お茶でもどうかな?時間、あるんだろう?


 いいハーブが手に入ったんだよね」


「フォホホ、おぬしのお茶も久しぶりだのう。


 どれ、頂こうかの」


マギイストがフォルジストを促し大理石の応接間からマギイストの私室へと移り、


紅茶と緑茶で乾杯してからこれからについて語り合った


元戦友として、元敵同士として、二人に話の種は尽きなかった


今後の戦局を左右する技術者の会議は、その日の深夜にまで及んだ

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