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第1話 異界より来る風

この小説は主人公が最強です。

ご都合主義なんでもありです。

それでも良いという方はご覧になってください。

朝もやが残る森林の小川のほとり


辺り一面が静けさを保ち朝の訪れを小鳥が告げている。


かつて多くの兵がこの地で命を落とし、剣と剣を交え壮絶に散っていったとは到底考え付かないほど、


その場の空気は澄んでいて幻想的だった。


「……ぅ…」


そんな朝の木々の生い茂る森で、一人の青年が、苦しそうに呻きを上げながら仰向けに転がる


「…っはぁ!」


胸いっぱいに空気を吸い込む。脳内に酸素が行き渡り感覚が研ぎ澄まされていく


青年は黒髪に漆黒の瞳、ところどころ焦げた黒の上下に、腰には帯剣用の帯である。

顔は中性的な顔をしており、ところどころすすけてはいるが鋭い目元は女性を惹きつける。


傍らには青年のと思われる片刃の剣が地面に刺さっていた。


――村正


妖しく光を放つこの妖刀にどれだけ命を救われたか


青年はしばし呆然と村正を見つめていたが、


我に返ったように飛び上がって剣を取り周囲を警戒した。


「…ここは」


現在いる土地は青年、小野 鋼兵(オノ コウヘイ)のいたところではない。


鋼兵の知る日本とはまったく別のものである。何よりも先ほど自分が風景とはまるっきり違っている。


目の前には焼け落ちた仇の館ではなく、深緑の森が広がっていた





もとより、青年の生い立ちはあまり良いものではなかった。


青年が生まれてまもなく父と母は恋の逃避行とやらで代々続いてきた国では名門とされる一族を抜け、


浪人となった父を討つために集められた腕利き12人によって殺され、鋼兵も死ぬという運命が、当時一族の長たる小野一刀(オノ イットウ)の筋書きであった。


しかし、いくら精強な兵を送り込んでも、鋼兵は死ななかった。


幼少より過酷な修行により鍛え上げられた鋼兵は若くして心流月派の免許皆伝を成し遂げる。


当時最強と謳われた心流月派の開祖小野鉄斎と神代の巫女の再来と云われる天見神楽を親に持ち、


剣術だけでなく方術も会得しており、その実力は成長すれば両親を超えるとまで言われていたからである。


少年時代の鋼兵は何でも良く吸収し、優しい父と、美しい母と幼馴染の4人で暮らしていくものだと信じていた。


しかしある日父に近くの森まで呼び出され、


少年だった鋼兵は父が母と駆け落ちし一族から逃げているのだと知った。


だから父は定職につかず、まれに来る危ない仕事でお金を稼いでいたのだと言うことも知った。


日増しに父の生傷が増えて行き、ついには起き上がるのも難しい状況となってしまった。


生活に困った少年は、父の代わりに"代行者"の仕事を請け負うようになり、


少年もまた、修羅道へと進んでいく。


父はそんな息子に、連戦による疲弊しきった体でとめる事もできず、ただ送り出す事しかできない自分に苛立ちを覚えた。


少年が父の後釜として"代行者"の依頼を受けるようになってから1年がたったとき、

少年の家に不穏な影が迫るのを、少年は気付くことができずに惨劇は起こった。




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