ムンズ攻略編第1話~放課後~
プロットも何も考えず投稿してしまった。今更後悔中!何とか最後まで書ききればと思っているのになぜ第1章?
二章に入れようと思ってた話を間違って入れてしまったので内容が色々変わってます。ごめんなさい。多分これからも度々有りそう。。。。
「まっ待て、話せばわかる。」
追い詰められた少年が、後ろには壁しかないのにそれでも後ろに下がろうとする。
「そう言っていつも言い訳ばかりなのはマルクじゃない!何をどうしたら授業をサボっても許されるのよ!今日休んだら単位がなくなるって言われてるんじゃない。」
少女は般若の形相で迫る。
「だから、授業休んだのは悪かったって。」
ここハンムリル王立大教院では3年半前から続く口論である。いや、口論と云うよりは、少女が少年を糾弾しているというところであろう。何しろ3日と開けずこの糾弾が起こるので周りにいる学生たちは最早日常茶飯事、最近では大教院名物としてガイドブックにも載っているらしい。ちなみに糾弾されている少年は、隣国サンダール王国の王太子マルク・アレ・サンダール。3年半前に父王ダイオスの命によりハンムリル王立大教院に留学している。現在18歳。少女は芙雪・シグナール・ハンムリル。このハンムリル王国の第一王女である。ちなみにマルクと同い年である。所属はマルクが練兵学部兵略学科。芙雪が練兵学部後方支援学科である。
「だから、道に迷子がいてだな。その子の親を探していたら遅れちゃったんだって」
「それは25日前の言い訳でしょうが!どうして、そう毎月のように迷子に出会うのよ」
しっかりマルクの言い訳に対して対策と傾向をつかまれている。
「あの、姫様。周りの方も見ておられますし、もう少し落ち着かれて下さいませ。」
「うるさいわね、沙織!今日という今日は絶対にゆるさないんだから。」
芙雪にかみつかれ、芙雪の侍女である沙織は縮こまる。
「まぁまぁ、沙織ちゃん。なんとかは犬も食わないって言うし。いつものことなんだからほっとけばいいんだよ。どうせ、またマルク王子が謝って丸く落ち着くんだから」
傍観を決め込んでいたユキトが沙織を慰める。ユキトはマルクと一緒にサンダールから留学に来ていた。この4人が普段一緒にいるグループということになっている。
「ユ~キ~ト~。なんとかって何よ。変な言いがかりはやめてもらえる?私とマルクは婚約者というだけで別にまだ夫婦じゃないんだからね。それに私は真面目で誠実な人が好きなの。間違っても授業サボっているような不良なんかとは結婚しないんだから。お父様にいて婚約破棄よ。……そりゃ~、昔はいつも優しくしてくれたり、頼り甲斐もあったけど。最近なんて、…。せめて、愛の一言でもささやいてくれればわたしだって……。って何言っているのよ、私。今のはなし!なんでもないんだから!」
いつものことながら、芙雪の自爆に沙織とユキトは温かい目をしていて、マルクは顔を赤くしてそっぽを向いていた。
「ようやく一息ついたとこでいつものとこに行くか、マルクもそれでいいよな?」
「ああ、それじゃ行くか。」
堅苦しいのが嫌いなマルクは、ユキトには自分のことをマルクと呼び捨てにさせていた。
彼らの溜まり場とは、大教院から徒歩30分は歩かないと着かないなんの変哲もない喫茶店である。昔、無理やりハンムリルに留学させられてふてくされていたマルクが食い逃げでもしようとたまたま入った店である。ちなみにその時は、マスターであるヨシトに一捻りにされた挙句、一国の王子というものがどういうものであるかということを延々と講義された。奇しくも、サンダール陸軍士官学校に進学しようと思っていたマルクにとってただの喫茶店のマスターに負けたことが悔しく、マスターに再戦しようと喫茶店に通いつめたことがきっかけである。結局、3年半経った今もマルクはヨシトに一度も勝てたことがいない。加えて云うならこのヨシトの長々とした講義のお陰でマルクはそれなりには大教院に通うようになった。大教院でのマルクは生活態度以外、つまり学力、体力の他、魔力、霊力などすべてにおいて優秀であった。それゆえ、大教院に通うメリットを見いだせていなかったが、ヨシトとの約束がこの3年半マルクを大教院に通わせていたといっても過言ではないであろう。
「マスター、今日も着たぜー!早速勝負しよう!」
勢い勇んでマルクが入っていく。
「ちょっと、マルク、待ってよ。あっ、マスター、こんにちは!」
それに引っ張られるように芙雪が入っていく。その後ろに沙織とヨシトが続く。
「こんにちは、マスター。今日もお邪魔します。お手伝いすることはありますか?」
「マルクも姫様もはしゃぐなって、マスター、お騒がせします。」
4人が異口同音にマスターに挨拶すると、店の奥からひょろっとした男が出てきた。
「はいはい、いらっしゃい。どうせ、マルクが待ち切れないからちょっと行ってくるから。少しお店をお願いね、沙織ちゃん」
「はい、かしこまりました、マスター。」
すでに喫茶店の裏庭にで待っているマルクを見ながら言うマスターに沙織が答える。
裏庭にはすでに準備を済ませたマルクと審判席に座る芙雪が待っていた。ユキトは店にいる。
ヨシトの準備が終わり、2人が向き合う。芙雪がコインを投げ、地に落ちた瞬間マルクの魔力が爆発した。
「ファイヤー・ストーム!!」
いきなりの強力魔法がヨシトの中心で渦巻く。ファイヤー・ストームは炎系と風系の魔法を合成した上位魔法である。軍の魔法兵において大佐昇進課題の一つに挙げられているものである。間違っても一喫茶店マスターに対して発する魔法ではない。やがて炎が焼き尽くした後を見ると消し炭一つ残っていない。しかし、マルクは緊張を解かなかった。
「いや~。びっくりした。そんな強力魔法出さないでよ。僕を殺す気?」
突然背後からの気配にマルクは迷うことなく前に飛び込んだ。直前までマルクのいた所にヨシトの裏拳が炸裂する。
「あんたは、そんなもんで死なないだろうが!」
振り向きざまに繰り出した蹴りは空を切る。
「う~ん、じゃこういうのは?フリーズ・アタック!」
マルクに向かって、数多の氷の粒が飛来する。マルクはとっさにファイヤー・ウォールと唱え、氷の粒を溶かす。しかし、溶け切らない粒がマルクに当たる。
「ぐっ」
「ほらほら、足が止まっているよ!」
軽い発言をしながら、ヨシトが間合いを詰めてくる。そして、ヨシトの圧倒的な体術に対し、受け切らなくなったマルクはとうとう痛烈なアッパーをもらう。
「フゥ。また、僕の勝ちだね。でも昔に比べると大分いい動きをするようになったんじゃないかな?」
そんなことを言いながら、ヨシトは店へと戻っていく。代わりに、マルクのもとには芙雪が近寄ってくる。
「大丈夫?マルク?」
心配する芙雪にマルクは言う。マルクは霊力を使い回復していた。
「あぁ、大丈夫だ。心配してくれてありがとな、芙雪」
いつもは何かと喧嘩が多い2人であるが、感謝するとき、マルクはしっかりと礼が言える。
「べっ、別にあんたのためではないんだからね」
お決まりのセリフを言う芙雪に対しすっかり回復したマルクは楽しそうに笑う。
「マルク~、姫様~、お茶が冷めるぞ~。」
中からユキトの声がし、喫茶店の中に入っていく。そして閉店時間まで雑談をしていくのであった。
あれ、芙雪はツンデレにするつもりはなかったのにな(?)
一話の長さの適性がわからないのと、文才のなさに焦っています。
修正の結果、内容が変わってしまいました(汗)修正前の作品を読んでくださった皆様、申し訳ありません。
1月16日、後の話と整合性のつかない部分を修正しました。内容に大きな差異はないはずです。たぶん。