19/20
その商品、原因はお近くにお住いです。
「お電話ありがとうございます。異世界通販センターの宇野が承りまー」
「はっくしょん」とくしゃみで遮られる。
「花粉チョウグッス下さい」
「ありがとうございます。ハナミーズご希望ですね」
「隣の木本さんとこから、スギ花粉が飛んでくるのよ」
お辛いですね。とお客様の情報を入力する。
「では、お客様の種族をお願いします。」
「あー、トレントです。」
電話越しからズビズビと鼻水をすする音がなる。
「………お客様、お隣の木本様もトレントでしょうか」
「あの人、スギなのよ。」
「恐れ入りますが、お引越しなどは」
「根を張ってるから無理」
「……」
「……」
一瞬の沈黙。
「恐れ入りますが、お客様も花粉は飛ばされますでしょうか」
「私はヒノキだから少ないの」
「……」
「でも毎年この時期つらくて」
「お察しします」
「去年なんて葉っぱ全部落ちたわ」
受話器を持ったまま、私はカレンダーを見る。
——春は、まだ先だった。




