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【書籍化決定】捨てたものに用なんかないでしょう?  作者: 風見ゆうみ


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9  何もしないわけにはいきません

 次の日、十人程が会食できる長テーブルで、リミアリアが朝食をとっていると、向かいに座るメイが尋ねた。


「リミアリアはこれからどうするつもりですの?」


 コーンスープを口に運ぼうとしていたリミアリアは、その手を止め、スプーンを置いてから答える。


「……そうですね。イランデス領内を視察した時に感じたのは、エマオ様に対する領民の不満がたまっていることです。そして、今回、私を助けてくれたのもエマオ様に対する不信感や不満があるからだと思うのです」

「私もそう思いますわ」

「今回の恩もありますし、解毒薬を売ったお金を領民の生活基盤を整えるために使っていきたいと思います」

「領民の信頼をイランデス伯爵から奪うつもりですわね?」


 爵位を奪うつもりはない。

 だが、エマオよりも伯爵らしい動きをすることで、彼が爵位を失う方向に持っていくつもりだった。


「大きな動きをすれば、エマオ様は私のことに気づくでしょう。危険な目に遭うかもしれませんが、領民の不満を知ってしまった以上、何もしないわけにはいきません」

「イランデス伯爵は多くの貴族から(うら)みを買っていますわ。あなたに味方する人も多いはず。もちろん、私や両親も力を貸しますわよ!」

「ありがとうございます」


 イランデス邸を出るまでは、未来に対する不安は少なからずあった。

 だが、今のリミアリアは明るい未来を作るという希望で満ち溢れていた。


「アドルファス様は三日後にイランデス邸を訪ねるとのことですわよ。どんなことになるのか、本当に楽しみですわね」


 メイは二晩泊まった後に、そう言って使用人たちと共に帰っていった。

 寂しい気持ちもあったが、入れ替わるようにイランデス伯爵家にいた使用人たちが来て忙しくなり、感情に浸っている場合ではなくなった。


◇◆◇◆◇◆


 リミアリアを探しに行けと追い出されたフラワは、実家に戻ってのんびりしていた。実家に戻ってから二日目の朝食後、自室でメイドに髪を結ってもらっていると、母が訪ねてきた。


「フラワ、あなた、エマオ様からリミアリアを探せと言われたんでしょう? 毎日のんびりしていていいの?」

「大丈夫よ、お母様。アドルファス様がいらっしゃる頃にイランデス邸に戻って、アドルファス様のお相手をするわ」

「でも、アドルファス殿下はリミアリアに会いたいと言っているんでしょ?」


 不安そうな顔をする母を元気づけるために、フラワは部屋にいたメイドを全て廊下へ出してから尋ねた。


「お母様、私がリミアリアに負けると思います?」

「どういうこと?」

「アドルファス様はリミアリアに会いに来るのでしょう? 懐かしい友人に会いに来たけれど、本人はこの場にいない。その代わりに自分の相手をしてくれたのが私だったとしたら、アドルファス様はどんな反応をすると思いますか?」


 フラワの中では外見だけはリミアリアには絶対に負けないという自信があった。自信満々な笑みを浮かべているフラワを見つめ、母は(あん)()の表情を浮かべた。


「そうね。あんな子が仲良くなれるのなら、あなたなら簡単よね」

「もちろんです。私が負けるわけがありません」

「でも、エマオ様はどうするの? あなたがアドルファス殿下と仲良くしているところを見たら不快に思うんじゃないかしら」

「そのことなんですけど、エマオ様とはもう別れようと思っているんです」


 悪びれる様子のないフラワに母が尋ねる。


「わ、別れるって、どうするつもりなの? あの人は凶暴だと聞いたわ。別れるなんて言われたら、あなたに暴力をふるうんじゃないの?」

「他の男性が相手ならその可能性はありますけど、私の相手がアドルファス殿下なら、そんなことは絶対にしません」

「そうかしら」

「ええ。だって、あの人はアドルファス殿下を(すう)(はい)していますから。相手が殿下なら、何も言えないはずです」

「そうなの? それなら大丈夫ね」

「ええ。私だってちゃんと考えていますから、安心してください」


 フラワがにやりと笑うと、母は(まが)々(まが)しい笑みを浮かべてうなずいた。


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