表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷の呪いと  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/104

39. 回復

 放課後、カインはアリア達と別れ、寄宿舎に帰ろうとしていた。

「そう言えば…」

 朝稽古の時に騎士の砦に水筒を忘れてきたことを思い出し、カインは騎士の砦に足を運んだ。

「どうしたの、カイン。忘れ物?」

 マーガレットが声をかけた。

「はい。水筒を忘れてしまって。入っていいですかね?」

「いいわよ。私が付いてれば」

 マーガレットはそう言って門を開けた。二人は中庭で水筒を回収し、渡り廊下を歩いていた。

「マーガレットさんは夕べの魔物狩りは行ったんですか?」

「行ったわよ。数は多かったけど、全部雑魚ばっかりで、すぐに終わったわ」

「そうなんですね。どうして新月には魔物が…え!?」

 カインはそう言いかけて驚く。

「お祖父様!?」

 マリウス団長とジェイドが建物の中に入って行こうとしていた。

 ジェイドはカインを見て少し驚いたが、すぐにいつもの笑顔を見せた。

「…やあ、カイン、久しぶりだな」

「お祖父様! 王都に来てたの? いつ来たの?」

「ああ、夕べ、野暮用でな」

 ジェイドの横にはティムがいる。

「やあ、ティム、久しぶり。なんか、背が伸びたね」

「お久しぶりです、カイン様」

 礼儀正しいティムは少し疲れているように見えた。

「カインはどうしてこんな時間に?」

「朝稽古の時に水筒を忘れちゃって」

 マーガレットがジェイドに深々と頭を下げた。

「お初にお目にかかります、名を名乗っても?」

「私は引退した身。そうかしこまらないでくれ。カインがいつも世話になって…。ジェイドだ、レディ…」

 ジェイドは優しい笑顔で握手を求めた。マーガレットは少し顔を赤くして握り返す。

「マーガレットです。お目にかかれて光栄です。ごゆっくりして行ってください」

 マーガレットはそう言ってカインに手を振るとその場から去った。


「お祖父様、王都にはいつまでいるの? 家には寄るんだよね?」

「ん、…アリアは元気か?」

「うん。今朝もランニングしたし、さっき別れたとこ。いつも通りだよ?」

「ならいい。今回は急に来たから、馬車でこのまま帰るよ」

「え!? アリアや父上達に会わないの?」

「ああ、早くティクルに戻らないと」

 カインはジェイドの顔を見て不思議そうに首を傾げた。しばらく考え、そしてニッコリ笑う。

「お祖父様、僕にご馳走してください」

「?」

「回復魔法ってお腹がすくんだよね、ものすごく」

 カインはそう言っていきなりジェイドの胸に手を当て、目を閉じた。

「!」 

「うわ…まだ…お祖父様、何したの?すごいダメージが…」

 カインは独り言を言いながらジェイドに回復魔法を施す。マリウスとティムは驚いたまま見つめていた。

 身体の中からだるみが消えて行く。溜まっていた疲労が溶けるようになくなり、先程より魔力の回復が感じられる。ジェイドは驚いてカインを見た。

「お前…なんで」 

「見てわかるよ。魔力はまだ回復に時間かかるけど、もう歳なんだから、あんまり無茶しないでよね」

 普段通りに振舞っていたつもりで、カインに自分の不調を見透かされているとは思わなかった。

「あリがとう、カイン。今は言えないが、いずれお前の力を借りる時が来るかもしれん。頼もしくなったな」

「でしょ?はぁ〜、お腹すいた。何か食べに行こう。ティムもお腹すいた顔してるよ」

「お、俺は…」

「たくさん食べなきゃ、回復しないよ、ね、マリウス団長」

「ああ、そうだな。よし、じゃあ今夜は俺のおごりだ。ガッツリ肉の美味い店に行こう。どうせジェイドさん、財布持ってきてないんでしょ?」

「ああ、そうだった」

「え!? 王都に来るのに財布も忘れちゃうなんて、お祖父様はおっちょこちょいだな」

「まさかその言葉をお前に言われるとは…」

 ジェイドはそう言って笑った。


「アリアには会わずに帰る。昨日の今日だ…もしアリアとのつながりを魔物に知られたら…」

 ジェイドはラステルにそう言った。

「ああ。夜は特に。まだ今日は月が暗い。しかし…お前の孫は怪物だな。枯渇した魔力とダメージをそこまで回復させるとは…」

「正直驚いた。当の本人は肉を三人前食ってケロッとしてるからな」

「魔物の発生と力が増えてきている。魔法省でもその原因を研究してるが、まだわからん。ジゼルとの関係がなきゃ良いんだが。とにかくお前は気を付けろ」

「ああ。苦労かけたな」

「本当に。お前のあんな姿は初めてだ。勘弁してくれ。新月の夜は気をつけろ」

「ああ…また連絡する。」

 ジェイドはそう言って、少し離れた所で話しているティムとカインを呼んだ。

「カイン、お前のお陰で魔法移動で帰れる。あリがとう。…今日私に会ったことはアリアには言わないでくれ」

「どうして?」

「怒るだろ?」

「ああ、確かにね。ティムにも会いたかったって怒るね」

「アリアのこと、頼んだぞ」

「任せて、と言っても、魔法はアリアの方が強いけどね」

 カインの笑顔にジェイドは微笑み、頭を撫でた。昔からするジェイドのそれにカインはもうさすがに恥ずかしがる。

「お祖母様によろしく」

「ああ、今度はまたピアナと来るよ」

「うん。あ、今度僕にも魔法移動のやり方教えて」

 「ああ。じゃあな」

 ジェイドはティムを連れ、その場から消えた。




 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ