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第65話「決戦ですわ!」

前回のあらすじ!

モフモフで襲撃(自陣営を)♨

 ──そして、決戦が始まった。


 手始めに両陣営は十中八九、弓矢と投石機・大砲で攻撃を仕掛ける。とにかく人数がいる戦争において、序盤でどれだけ削れるかがポイントなのだが、ここで姫の策其ノ壱が早速火を噴いた!


 ◇ ◇ ◇


 魔王軍最前列、兵器部隊──。


「なぁ、あれ何だ?」


 と、砲弾を運んでいた角魔族兵が、人間族サイドから飛んできている石を見上げる。


「見りゃ分かるだろ。人間族の投石機だ。かなりの数だが、回避するには充分な距離がある」


 と、同じく隣の尖耳族兵が答える。

 しかし、肝心の角魔族兵は、納得いってない様子。


「いや、それは分かってるよ。俺が訊きたいのはさ、あの投石……──」


 と、どんどん迫ってくる明らかに異常な投石に、角魔族は後退りする。


「……やっぱデカくね!?」


 と、砲弾を捨てて逃げ出した角魔族が受け持っていた投石機に、大量に飛ばされてきた()()()()()()が迫った!


「「うわぁぁあぁぁ!!」」


 隕石群は地響きを立てて、数多の投石機をぺしゃんこにした!!

 そして、ッンス──と程なく元の小石に戻ったとさ。


 ◇ ◇ ◇


「ということで姫さん、投石作戦成功!!」

「よっしゃあッ! ということで皆さん、どんどん小石を受け皿に乗せていきなさいな! 魔王軍本陣が突撃してくるまでにじゃんじゃん削っていきますわよ!!」


「「「「「はっ!!」」」」」


 超聴覚のエアリからの『手応えあり』に皆の士気は上がり、次々と小石を一台の投石機へ乗せていく。試運転は1回きりだったが大成功だ!


「やるじゃん姫さん! 飛ばした石を空中で巨大化させちまうとは! その『大小伸縮自在魔法』のおかげで石の大きさも最小限にバンバン乗せれるぜ!」

「そうでしょうそうでしょうとも! 直接触れてなくても大小変えられないかなー、と旅路の就寝前に練習してきた甲斐がありましたわ!」

「しっかし……まさか姫さんが魔法持ちだったとはな。今回初めて明らかにしたそうだけど、なんで今まで隠し通してきたん? なんか理由でもあった?」

「周囲に発覚したら脱走(外出)手段減っちゃうじゃないですか」

「国王陛下〜〜ッ!! ちょっと耳に入れときたいことが〜〜ッ!!」

「やめなさいクソガキィ!! 戦場に集中なさい!!」

「弄りがいあるネタを提供した姫さんが悪い」

「黙らっしゃい!」


 ちくしょう、エアリに話すんじゃなかった。己の軽率さを悔やみながら準備できた投石機の小石に魔力を纏わせていき、またバヨ〜ン……!! と発射させる。


「はい巨大化!」


 そして魔法を起動すれば、散らばった数多の小石が()()()()()()と化して魔王軍陣営に墜落する! (わたくし)の魔法スペック上一台分しかできないが、そのたった一台で魔王軍最前列陣営は崩壊していた! 地道に鍛えてて良かった(わたくし)の魔法!!


「リツさん!」

「一部の最前列兵が近接戦闘を開始しました。投石の一時打ち止めを推奨いたします」


 ドギュイッ! とブレーキ音立てて現れたリツさんが訊きたいことを全部話してくれる。彼女の先読みは的確且つ時短になって本当助かる。


「了解しました! 右翼と左翼!」

「左翼は現在拮抗中。ですが右翼は既に甚大な被害を齎せています」

「ほう! ということは、マリナさんも上手くいったのですね?!」

「はい。マリナさまと──、」

「姫さま〜!」

 

 と、ちょうどリツさんが説明を始めたタイミングで、ドギャアッ! とフィーラ部隊兵ランドが濛々と土煙を上げて現れる。部隊が誇る『駿足』の異名は伊達じゃあない。


「報告! 姫さまが連れてきた『ナイトキング・ウルフ』の群れが右翼の奇襲に成功! 同行してるマリナの防御魔法もしっかり付与されてるから現状負傷者なし!」

「おお、やはりでしたか!」


 真価を発揮できない日中でも普通に強い『ナイトキング・ウルフ』に防御魔法を付与すれば『英雄に剣(=鬼に金棒)』では? そう思ってやらせてみたが効果てきめんだった! これだから『魔法×(かける)〇〇』は楽しい!

 彼の報告はリツさんが言いかけた内容と多分同じだろうが、それを口にするのは野暮ってものだ。リツさんが無言の圧力を放っている気はするが、ここは素直に報告への感謝を述べる。


「御足労おかけしました、ありがとうございます! また動きがあったらよろしくお願いします!」

「それなら他にもあるぜ! 道中見てきたが──、」

『姫ちゃん。テレスだわね』


 と、ちょうどランドが説明を始めたタイミングで、テレスの『テレパシー』が頭の中に響いてきた。ざっと周囲を見回せば、周辺の兵士と一纏めに送信してきている模様。


『姫ちゃんの見立て通り、魔王軍は攻めあぐねている状態ね。ジェックくんの()()、しっかり効いてるね』

「よぅしッ!!」


 彼女には見えないガッツポーズを取る。


 ジェックさんには魔力を大々的にアピールしながらゆっくり進軍してもらっている。最初から全開(フルスロットル)で暴れてもらう手も考えたが、「来てみろよ、一撃()めてやるから……!!」と段々に迫ってくる方が魔王軍的には焦って動きが雑になると踏んだが、これがまぁ大当たりだったようだ! 後で直接労いに行こう! 尚……──、


 チラリ……とリツさん・ランドの顔色を伺うと、無言の圧が凄かった。報告を横取られたことを根に持っている。


 そんな気まずい空気の中、エイジンさんがタイミング悪く降りてきた!


「姫さま、魔王軍本陣の再編成がそろそろ終わるよ! 指示を出すにはうってつけ!」

「よしきた上昇よろしく!」


 彼女らの圧が更に強まった気がするが、今は気にしてられない。先程同様肩を掴んでもらって天高く上昇してもらう。


 そして、魔王軍本陣目指して進軍するジェラルド将軍の部隊を見つけるなり大型魔力拡声石(メガホン)を鳴らす!


「ルルちゃん、魔法解除!!」


 ──はいなのー。

 遥か後方に位置する本部から、返事が聞こえた気がした。

 次の瞬間、兵士の一人にかけられた魔法が解除され、レインがサプライズ登場した!


「こんにちはーーッッ!!!!!!」

「「「「「ぎゃーーッッ!?!?!!?」」」」」


 サプライズレインに魔王軍は慌てふためく。ゲリラ襲撃でレインの実力が知られているならば、いきなり現れた彼女は絶対放っておけない存在で、絶対取り乱す存在の筈だ!


「マズい、『辻斬り』レインが出たぞ! 一体何処から湧いてきた?!」

「自由にさせるな! 数で攻めろ!!」


 案の定魔王軍は咄嗟にレイン討伐へ動き出す!

 ここで更なる追撃!


『レイーーンッ! 伝えたいことがありまーーすッ!!』

「なんですかーーッ!!」

(わたくし)、魔王軍に(拘束された際)身体触られましたーーッ!!』

「死ねェェェぇェエエェエエェエエェェエエェええぇえぇァァァアァあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁあッッッッッッ!!!!!!!!!!」

「「「「「ぐぎゃああああッ!!!!!!」」」」」


 盛大に勘違いして暴れ出したレインの一撃で複数人の魔王軍兵士が一瞬で斬り捨てられる。最初から暴走させる予定でいたが、可愛い妹分を『辻斬り』と呼んでいやがった報いですわ!


「ん?」


 と、次々倒されていく魔王軍へ中指を立てていれば、何やら地上が騒がしい。(わたくし)たちを仕留めんとしているのかと見下ろせば、一部の魔王軍兵士が(わたくし)たち……というよりエイジンさんに注目して野次を飛ばしていた。


「おい、あそこに飛んでるのエイジンじゃないか?! あれ明らかに協力してるよな?!」

「エイジンてめー! 魔王さま裏切るとはどういうこったコノヤロー!!」


 聞くに絶えない戯言だった。魔王の実態を知れば大人しくなるだろうか?


「姫さま、ちょっと貸して」


 ──なんて検討していれば、エイジンさん自ら大型魔力拡声石(メガホン)を手に取り、声を大にして断言する。


『爺ちゃんの葬儀に行かせてくれなかった魔王に仕える義理はない!!』


「マジかよ魔王さま最低だな」

「そりゃ忠義も尽かすわ」

「俺、魔王さまに仕えるの辞めるわ。地元のおじいちゃんに顔向けできねぇ」

「自分もそうしよ、じっちゃんばっちゃんの顔に泥塗りたくない。あ、人間さん通ってどうぞ」

「「「「「よっしゃあぁぁあぁあ!!!!!!」」」」」


 魔王軍は一斉に掌を返して士気はだだ下がり。その隙に自陣は一気に進軍する! ナイス士気()ぎ!!


「姫さまッ! 後ろ見て!」

「! あれは……パラウアの国旗!!」

「ホワイトロック王大国の皆さん! 終戦を願う者として助太刀いたします!!」


 更にそこへポムオ王子と思われる健やかふくよか青年率いる軍隊が現着する! そういえば援軍を呼んでいるとお父さまが仰っていた!


 人材も乗った波の勢いも充分! 今こそ攻め時だ!!


『皆さん、追い風は(わたくし)たちに吹いています! 今日この日を以て戦争を終わらせましょう!!』

「「「「「おぉーーーーッッッッ!!!!!!!!」」」」」


 ──と、鼓舞した刹那だった。



 ボッ──!



 エイジンさんの左翼に風穴が空いた。

爺ちゃんを無下にしてはいけない。

同感ならばブクマ等よろしくお願いします。


次→明日『18:00』(残り5話!!)

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