研究記録3 : Broaken world (壊れた世界)
ジリリリリリリリッ
「づっ...」
リッ...
目覚まし時計を止めて霞んだ目を擦る。
9:55...
...955
バッ
「9時55分!?」
寝坊だ。
完全に昨日の第一層の研究で疲れて、そのまま...
「...いや、言い訳か」
「言い訳して正当化するのが私の悪い癖だ」
カチョッ
ジジィ...
そう言ってタバコに火をつける。
遅刻は小学生の頃からの癖だ。
教師や親から散々怒られたのを覚えている。
「いつになったら私は、大人になれるのかな...」
「(...もう遅刻は確定だし、風呂入ってから行くか...)」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
_________いつもの新聞屋_______
ガチャッ
「おじいさん、ロンドン・タイムズひとつ」
いつものカウンターに座った灰色のキャスケット帽を被ったおじいさんに新聞を注文する。
「あーロンドンタイムズね。ちょっと待ってな」
ガサガサ
バサッ
「はい。9ポンド」
「(前より値段上がってるな...)」
そう思いつつも財布から1ポンド紙幣を9枚取り出す。
「お嬢ちゃん、あんたこれでも支払うよね」
「え?」
「いやなに、ぼったくってるこっちが言うのもなんだけどさ。たかが新聞にこんな値段を支払うのははっきり言ってバカなんじゃないか?」
「そんなにお金もってるの?」
「...」
「あのねおじいさん。単純に面倒くさいからですよ」
「自分を取り巻く環境は生きているうちに変わっていく。それでいてその環境で上手くやっていくには多少の不条理も受け入れていかなきゃならない」
「でもそんな小さい不条理なんかに時間なんか割いていられないし、それよりも自分の仕事や生活を優先したい。誰だってそうだ」
「だから面倒くさいけどぼったくりの金額を払って新聞という"生活"を優先している」
「というのが、正直なところです」
「ふぅん...」
「...」
「なるほど。若いのに信念はしっかりしてるって訳か」
「今度から2ポンドでいいよ」
「...本当に?」
「あぁ。いいよ」
「でもまた買いに来てくれよ。お嬢ちゃん」
「...」
「また来ます。必ず」
ガチャッ
新聞屋を出ていつも通っているコンクリートの道を歩く。
今日の天気は晴れ。曇り空ではない。
「(なんだか堂々と遅刻しているせいか逆にハッピーに思えてきたな)」
新聞を開き今日の見出しを確かめる。
不況、不況、大不況。
その他どこかの企業が倒産したとか、政府の配給が少ないとか、そんな具合だ。
しかもそんな中大寒波が国を襲っているから、凍死する人間も少なくないそうだ。
「(全然ハッピーじゃない。おめでたいのは私の頭の方だったか)」
「ただでさえ路上で死ぬ国民もいるってのに、大寒波なんて来たら私たちは一体どうなってしまうんだ?」
「どうにもならないさ」
「?」
持っていた新聞を下げ、下の方を見てみる。
声がしたのは確かにその子供からだった。
「君は確か...」
「ケネス」
そう、ケネス。
通勤時に私がチョコをあげた浮浪児の男の子だ。
「ケネスか。また会ったな」
「あれ、他のふたりは?」
「...死んだ」
「え...?」
「2人とも大人に身ぐるみ剥がされて...死んじまった」
「...そんな...」
「う"ぅ...」
途端、ケネスが地面に蹲る。
「おい、大丈夫か...!」
「...ッ!」
ケネスの纏っていたジャケットを捲る。
そこには赤いシミが付いたシャツにナイフが突き刺さっていた。
「なんだ、これ...っ」
「へへっ...ドジっちまった...」
「...今から病院へ行く。私の背中に乗れ」
ぐいっ
彼をおんぶする形で来た道を戻る。
思いのほか軽かったので栄養失調もあるかもしれない。
「お姉ちゃん...もういいよ、降ろしてくれ」
「どうせこんな汚いガキなんか、どこの病院も...」
「子供を汚いと思う大人はいない。汚いと思うのは所詮大人のガワを被ったガキだ」
「私が口添えをする。だから絶対病院で診させるからな」
ザッ ザッ ザッ ザッ...
「...お姉ちゃん...本当に優しいんだな」
「こんな大人に会ったのは...初め...て...」
途端、背中が急に軽くなる。
振り返ってみると彼は地面に倒れていた。
「おいケネス!」
「クソっ...私の首から腕を離したのか...っ!」
罪悪感から彼の傍に駆け寄る。
軽すぎて私の背中から離れたのが全く分からなかったのだ。
「おい起きろ...!ケネス...!」
頬を叩き意識を取り戻そうとした。
しかし何も返答はない。
「...ッ」
グッ
私は彼を抱え来た道を走って戻る。
「(この容態で近くの病院に向かうんじゃ...とても間に合わない)」
「(どこか近くで彼を温めなきゃ...ッ)」
そこで走っていくうちに、新聞屋があったのを思い出した。
「そうだ...新聞屋...ッ!」
私は駆け出してその小さな新聞屋に入った。
ガチャッ
「...はぁ...っは...」
「おじいさん...今すぐお湯をくれッ」
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「______幸い寒さで腹の血は止まっている。だが足が膝まで黒ずんでるから、切断だろうな」
「切断...?」
「凍傷だよ。もうこの時点でこの足は復活することもないし、死んでいる」
「死んでいるって、切るのか」
「まだ10歳ぐらいの子供の足を」
「だからそう言ってるだろう」
「...」
私は冷静になれなかった。
ただ冷静になれと、冷静になれと頭では唱えてみても、やはり無理だった。
「子供の足を切るのは自由を奪うことと同じだ」
「それをあんたは本気で________」
「本気だ」
「...」
「ワシは軍医だった。一次大戦の西部戦線」
「塹壕の中でこんなふうに足をやってしまった人間はみんな感覚がなくなって死んだ。今の時代、寒さで死ぬ人間なんて珍しくもない」
「それが例え10歳も行かない子供だろうとな」
「それじゃあ...どうすれば」
「どうにもならない」
「所詮はこれが、現実ってやつだ」
「...」
「嬢ちゃんはやるべき事をやるべきだろ」
「この子はワシが、預かっとく...」
そう言って老人はケネスを抱えカウンターの奥へと消えていった。
私は頭が空っぽになっていたが、外に出て頭を冷やそうとした。
ガチャッ
ザッ ザッ ザッ ザッ...
「(私のやるべき事)」
「(クソ...全く思いつかない)」
新聞屋のおじいさんがもちろん"仕事で"という意味で言ったのは分かっていた。
しかし私のやるべき事が、今人としてやるべき事が"日常的な仕事"なんて馬鹿げているだろ。
「...」
「こんな世界...馬鹿げてる」
「何がバカげてるって?」
「...」
「首席」
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______研究所近くのカフェ
「ここの売りはコーヒーじゃなくてインド産の紅茶だ」
「どう、スコーンもつけてみるかい」
「えぇ。じゃあ首席のと同じやつで」
「それで頼むよ」
ザラがウェイターに頼むと、彼女は再び私の顔に視線を向ける。
私は暗い感情を隠しているというのに、彼女はもう既に察しているような感じがして、更に嫌な気持ちになった。
「...オーレリア君」
「なんで今日、研究所に来なかったんだ?」
「すみません。遅刻です」
「...」
「その血は?」
血。
さっきケネスを抱えた時に服についたのか。
全く気が付かなかった。
「どうやら...ただ事じゃないようだね」
「いえ、なんでも」
「ただ寝坊して遅刻しただけです」
「...君は嘘をつくのが下手だね」
「だが私は君の上司で遅刻した原因を聞かなきゃならない」
「その"仕事"を、させてくれないか?」
「...」
「ホームレスの子供がね、路上で刺されていたんですよ」
「それを助けようとしたが」
「その子は、死んでしまったの?」
「いや...分からない」
「でも凍傷で足を切断するしかないだそうです」
「...なるほどね」
「...」
「...私はっ_________」
喉元まで出かけて、私はそれを引っこめた。
言いたい。
なぜ誰も彼を助ける大人がいなかったのか。
その感情を八つ当たりのように彼女にぶつけたい。
でもそれは、あまりに自己中心的でクソだ。
そんな感情表に出すくらいなら殺してやる。
「言いなよ」
20歳未満の彼女はそう微笑んだ。
その表情は卑怯だ。
遅刻して、その上情けない部分を見せたらそれは彼女に不利になるということだ。
事実、そういうことだろう。
「この事実が受け入れられない」
「子供が刺されて、理不尽に足を切断されるまで私以外誰も助けようとしないという事実がどう足掻いても許せない」
「人の心を失ったのは不況のせい?自分の生活の方が大事だから助けられない?」
「不潔な盗人の浮浪者のガキに関わるとロクなことにならないから助けない?」
「黙れよ。お前らは正論を建前に現実から逃げてるだけじゃねぇか」
「殺すぞ」
結局私はそう口に出した。
沈黙の数秒間が流れる。
「...暴論だ」
「それは戦後直後を生きている人間全員を敵にまわす発言だよ」
「...でもそれが私の本音だ」
「...」
「今までの真面目な君を見ていた分、今の発言は衝撃だったな」
「...」
「すいません。さすがに不躾でした」
「この後研究所に向かいます」
「いや、今日はもう休んだほうがいい。君の今の状態は深刻そうだ」
「私から局長に言っておくよ」
「...」
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
研究所から家に帰る道。
またそんな道だ。
今日はこの通路しか通っていない。
今日は機嫌も悪いし、同じ光景を見続けていた方が刺激が少なくていいのかもしれない。
カツ カツ カツ カツ...
「おい配給まだかよッ!こっちは3時間も並んでんだぞッ!」
「赤ちゃんがいるの...!お願いパンをちょうだいッ!」
「どけババアこっちが先だろうが!」
「ちょっと押さないでよッ!子供が怪我するでしょ!」
配給の列だ。
この時間帯に帰るのは初めてだから見るのは珍しい。
みんな物資を奪い合ってる。しかも大の大人がだ。
それを見て私は思った。
「私らって、戦争に勝ったんだよな...?」
勝った。
そうだ、あの極悪非道のナチ共を絶滅させドイツの人口グラフを歪にねじまげてやった。
ついで軍国主義のジャップのクソどもにアメリカが作った最新兵器の原子爆弾を落としてもやった。
なのに、悪は消えたはずなのに
今の祖国は...どこか醜い。
「(こいつら、自分のことしか考えてねぇのか)」
「(死ねよ)」
ドンッ
途端、考え事をしていたせいか何かに衝突してしまった。
よく前を見てみると歯が黒い髭がところどころ生えた中年の男だった。
「いってぇなッ!ちゃんと前見ろクソガキ!」
「てめぇこそ目ん玉ついてんのかじじぃ。しょんべんくせぇんだよ」
「は?」
カツ カツ カツ カツ...
ガッ!
「ちょっと待てテメェ。なんだ、さっきの」
歩いてるところを後ろから肩を掴まれる。
「おい、なんだこの汚ぇ手は」
「離せよ」
バチンッ
途端、後頭部にゴムが弾けたような衝撃に襲われた。
後ろを見てみるとその男の黒く汚れた手があった。
平手打ちをされたらしい。
依然男は私の肩を掴んでいる。
「いっ...!」
「冷静になったかよテメェ。ちょっとこっち来いよ」
「クソッ、離せよ!」
チャキッ
「動くな。騒いだらこれでぶっ刺して臓物掻き回してやる」
私の首元に突きつけられたのは研がれてない荒いナイフだった。
首元に突きつけられ血が流れ出している。
「いいからこっち来いよ。いい事してやるぜ」
「あのガキ共みたいに」
「...」
「...お前」
そう言いかけて私は裏路地へと引きずられていった。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
カン カン カン カン
連れてこられたのはどこかの地下室。
裏路地に入ってどこか錆びた鉄の扉に入れられた。
そして今地下へと向かっている。
カン カン カン カン...
「...」
「ここに入れ」
扉の先にまた扉。
見飽きたような鉄だ。
ギギィ...
私はその扉を開けた。
「...ッ!」
「チャド...バイロン...ッ」
私の視界には想像を絶するものが広がっていた。
いや...それは分かっていたはずだ。
でも...その現場を見せられることは想定してなかった。
中の部屋は血なまぐさく、正面にチャドとバイロンが裸で鎖に繋がれていた。
2人とも無事ではなく...鼻や耳を削がれ裸だった。
2人とも生きているとは、思えない。
「お知り合いか。でも安心しろ、すぐ同じとこに送ってやる」
「...お前」
「...子供を殺したんだぞ?」
「あ?」
「...何も感じないのかよ」
「感じるわけねぇだろ」
バンッと背中を押されその地獄の中へ押し込まれる。
2回目、再び押され正面の壁にぶつかる。
足元には糸を切られたようなチャドが私を見ていた。
「人間ってのはさ。分かんねぇよな」
「いや、実際分からないことだらけなんだよ。こんなことが楽しい人間だって存在するなんてさ」
カチャ...じゃララ...
チャドの横に体を投げ出され地べたに座り込む。
そのまま男は私の両腕を鎖で縛り付け始めた。
子供の死体を見た時に完全に力が抜けてしまって、もう抵抗する力が私には残されていない。
「自分でも驚いたぜ。俺が何も感じない人間だってことに」
「生きてきて40年。戦争で人を殺した時に目覚めちまった。これこそ人生最高の時だって」
「だから、お前も殺すよ」
「俺の快感のために」
「...」
「...おい、おーい。シカトこいてんじゃねぇよ」
頬を勢いよく殴られる。
口の中が血の味がした。
「お前が聞くから答えてやってんだよ。あー恥ずかし。自分語りさせんなよな」
「おいおい、ビビってんのか?俺の声聞こえてる?英語分かりますか?おーい」
「...」
「...殺す」
「は?」
「私はお前を、絶対に殺す」
「子供の命を奪った分も、私を侮辱した分も」
「まとめてケツん穴にぶち込んでやるっつってんだよ」
「______カマ野郎」
「...」
バギっ
ガギっ
ガッ
「ぶご...ッ」
「あーやべ。マジでキレた。お前絶対ロクな死に方しねぇわ」
「お前みたいなアバズレは興味ねぇけど、これで刺しながら犯してやる」
男の顔が近づく。
とうに力は無くなっていたから、体が動かない。
でもいい。もう諦めた。
この子らがこんな死に方をしたのは...私のせいだ。
私が初めて出勤したあの日に、この子らにチョコをあげるのではなく孤児院を紹介してやればよかった。
そうしたらこの子らは死ぬ事が...なかったのかもしれない。
それに対して今更どうこう言おうと、この子らの命は帰ってこないし、不毛だから考えるのをやめた。
それならいっそこの子らと同じように死ぬ事がこそ贖罪だ。
ナイフが私の下腹部にくい込み始める。
それはやがて皮膚を裂き肉にくい込んで_______
ザクッ
「...」
ポタッ...ポタッ...
心臓を貫いた。
「...ぉ」
「ごが...ぁ...っ」
下腹部に心臓は無い。
心臓を貫かれたのは目の前の男だった。
そして奴が私に血を吹き、顔にどす黒い血液が付着する。
そして男の顔がゆっくりと横に揺れ、そして倒れた。
「ふぅ...間に合ったか」
「大丈夫かよ、先生」
現れたのは金髪の女の顔。
ネモだ。
「...」
「どこから現れた」
「研究所からずっと。ザラに頼まれて来たんだよ」
「なんか心配だから送ってやってって」
「...」
「...首席」
「それ、とってやるよ」
カチャカチャ...
「なぁ...ネモ」
「ん?」
「こんな辛い世界...生きる必要あるのかな」
「子供が死んで、大人が悪事を働いて」
「そんな世界...生きてる意味あるのかな...っ」
「...」
視界が歪む。
恐らく眼球から生暖かい水滴が溢れ出している。
泣いた。
私はそう吐いたら、ネモはちょっと黙って手を止める。
「生きてる意味なんてねぇよ」
ネモは再び鎖を外し始めた。
私は自分の話を聞いてくれる人間がいて、安心して嗚咽が止まらない。
「...うぅ...く...っ」
「うちらは所詮、動物同士が交尾して産み落とされた廃棄物だ。意味のある人生なんてこの世に存在しねぇよ」
「有名な芸能人や俳優、政治家や軍人だって、自分の人生に意味があるなんて考えちゃいない」
「でもそれなら廃棄物同士仲良くしようってのがこの世の構造さ」
「...クソ」
「あぁクソさ。廃棄物同士舐めあって生きていたって虚しさが残るだけなんだよ」
「でも生きなきゃならない。なんでか分かるか?」
「...いや」
「体は生きたがっているからさ。頭ん中でこんな人生意味ないなんて死にたがっても、体が死なせてくれない」
「死にたいと思ってもなんか食って、仕事行きたくないだとか明日のことを考える」
「それが今に産み落とされた不憫なうちらの人生よ」
「もっともそん中でこの殺人鬼は、殺しをすることで人生に意味を見いだしていたらしい。皮肉な話だ」
「毎日"普通"を頑張って生きてる私らに比べてこいつのほうが意味ある人生を歩んでたなんて、冗談にしては酷すぎる」
「それなら...もう、本当に死にたい」
「...殺してくれ。ネモ」
「...」
「なぜうちが?」
「そんな世界、もうゴメンなんだ」
「...」
「マジで言ってんのか?」
「あぁ...頼む」
「...」
「...ったく。ちょっとこっち来いよ」
ぎゅっ
「...なんだよ。私は殺してくれって頼んだんだ」
「抱きしめろなんて...言ってないだろ」
「うるさい。ちょっと黙ってろ」
「なぁ...うちの体、暖かいだろ」
「...」
「...暖かい」
「そうだろ。実は私も、昔浮浪児だったんだ」
「...っ!」
「孤児院にも入れなくてさ。誰も汚い子供と関わりたくなかったらしい」
「でも先生、あんたそんな汚い子供でも助けようとしたんだろ」
「嬉しかったよ。まだ世の中にうちみたいなのを助けようとしてくれる人間がいるなんて」
「...」
再び目から水滴が溢れてくる。
まるで死んでいった彼らから、感謝されたような気がして。
「ありがとな...本当にありがとう」
「この体があるのもあんたのおかげだ」
「本当に...ありがとう」
優しく頭を撫でられる。
母親の胸で泣く子のように私は、泣いた。
本気で泣いたのはいつぶりだろうか。
それは多分、とうの昔のことだろう。