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宇宙戦記  作者: ダチョ太郎
帝国アカデミー編
3/4

第二話 合格の真実

「貴様ら5人は今日はもう自由行動でいいぞ!」


100メートル走で既に合格となった俺を含めた5人は先生にそう言い渡された。


「あの〜。

これって合格出来なかった場合ってどうなるんですか?」


興味本位で聞いてみる。


「俺の部屋の掃除だ!」


なるほどジャックが話していたようなヒドイものでは無いらしい。

ちなみに女子は女子で不合格者を決めている。


「なんだ、貴様も掃除をしたいのか?」


どこにも行く気が起きずクラスメイトが頑張っているのを見ていると先生に言われた。


「そ、そんなことないでーす!」


そう言って逃げ出したはいいものの別に行きたいところなんてない。

校内には色んな売店なんかもあるらしいが俺には金がないため無駄遣いはできない。


「どこに行こうかなぁ...」


そうだ!

他のクラスに行ってみよう。

先生がどんなのか気になるし、ちゃんと授業をしているのかも気になる。

もしかしたら俺のいるBクラスみたいなのが普通なのかもしれかいし、確かめてみる価値はありそうだ。


そう思い自分の端末を開き校内の地図を見る。


「やっぱり広いな...」


迷子にならないかかなり不安だ。


上級生の教室に行くのは怖いので、俺と同じ1年生の教室に行くことにした。


まずはCクラス。

至って普通に授業をしている感じだ。

耳をすますと授業の内容が聞こえてくる。

内容は艦隊戦において有効な戦術についてだった。

初日から本格的な授業内容だ。

しかし難しい内容なせいか寝ている人はかなり多い。

先生はそれを見ても何も言わず授業を続けている。

ただ時折寝ている生徒を確認しながらタブレットに何か書き込んでいるのが見えた。

この人はあれだ。

授業中に寝てたり喋ったりしていても注意せず、成績だけ引いていくある意味1番怖い先生だ。


「怖ぇ〜」と思って見ているとその先生と目があった。

何か言われたら嫌なのでその場から逃げだしてAクラスに向かった。


さてAクラスについてだが結論から言おう。

担任がめちゃくちゃ可愛いかった。

正直言って羨ましい。

俺のところのむさ苦しいおっさんと取り替えてもらいたい。


授業内容に関してはさっき見たCクラスよりも断然こっちの方が難しかった。

それなのにその難しい内容の問題に生徒はなんでもないように答えていく。

俺が全く知らない単語などもあったが全員理解しているようだった。


貴族なら俺もAクラスに入れると思っていたが間違いだった。

おそらくこのクラスの奴は全員俺より頭がいい。

ただ1つ言い訳したいことがある。

貴族に産まれるということはそれに見合った教育を受けられるということだ。

今の俺が貴族になっても入れないだろうが貴族の教育を受けていたら分からないと思う。

まあ所詮言い訳は言い訳なんだが。


Aクラスとの差を見てちょっとショックを受けて部屋に帰ってきた。

シャワーを浴びて布団に飛び込む。

まだ3時だがすることがないならもう寝ていいだろう。

ちなみに少し思ったのがいつもより布団に飛び込む時に高くジャンプできたということだ。

体が軽いというかなんというか。

おそらく俺が今までいたところよりも重力が軽いんだろう。

今日の100メートル走も今までで1番速く走れた気がする。



―――



真夜中に目が覚めた。

いつもこの時間になると何故か目が覚めてしまう。


「夜風に当たるかぁ...」


コロニー内では普段若干の風が吹いている。

理由はより星の自然に近づけるためらしい。

いつもならそんなことに電力を割くのは無駄だと思うところだが今はありがたい。


昼に見つけておいた良さげなところに座り本を広げる。

宇宙船の時は途中で寝ちゃって最後まで読めなかったし読んでいれば自然と眠たくなってくるだろう。


「あっッ」


ページをめくろうとした時後ろから声が聞こえた。

振り返るとパジャマ姿の女子がいた。


もしかして場所取っちゃった感じか?

だとしたら申し訳ない。


「隣いいかな?」

「もちろんいいですよ」


―――


「へぇー。ジークヴァルト君って言うんだ」


俺の隣に座っているのはアイリスさん。

俺より1歳年上の上級生だ。


「すいません...。場所取っちゃったみたいで」

「全然いいよ。別に私1人のものじゃないし。他の人も寝れない時によく来るよ」


そうなんだ。みんな考えることは同じだな。


「そういえばジーク君Bクラスだけどいいの?こんなところにいて」

「Bクラスだとなんかあるんですか?」

「うーん。そういう訳じゃ無いんだけど。Bクラスの人って結構すぐに戦線に送られたりするでしょ。だから今の時間も筋トレとかしている人が多いのよ」


えっ!

すぐに戦線に送られるって何かの間違いだろ。


「じょ、冗談ですよね...」

「何も嘘は言ってないわよ」


いや、まだ戦線に送られると決まったわけじゃない。

深呼吸しろ。


「そ、その戦線とやらに送られる人はどうやって決まるんですか?」

「Bクラスの担任がだす課題に合格して行ったものからよ」


さ、最悪だぁーー。

あれか?今日やった100メートル走がそうなのか。

本気で走らなきゃ良かった!

ていうかそれだけで大事なことを決めないでくれよ!


「そ、そろそろ帰りまーす」


そうして逃げ出すように帰った。



―――



何とか部屋に帰れたぞ。

あのままあの場所にいたらもっと衝撃的なことを言われていたかもしれないから逃げれてよかった。

それにしてもほんとに最悪だ。

誰か事前に教えといてくれよ。

戦線なんかに行ったら俺死んじゃうって!


ていうか先輩の話を参考にすると筋トレをする人が多いってことは戦線に行きたい人が多いってことか?

知らなかったのは俺だけ?

いやそんなはずはない。

ジャックも全然そんなこと口に出さなかったし。

ていうか100メートル走の記録が良かっただけで戦場に送り込まれてたまるか。

確かに兵士が不足しているという話は聞くがそれに学生を使う必要は無いだろ。

もしかしてここでも平民差別か?

いや違う。

Bクラスにも一定数貴族はいるし、今回合格した奴らも俺以外は全員貴族だ。

となるとこれは俺の推測だがAクラス長男、Bクラス次男、三男、Cクラスが末っ子って感じで後継者争いが起きないように次男、三男を戦場に送り込む感じだ。

末っ子は後継者争いに参加出来るぐらい大きかったらBクラスかもな。


死んでもよし。

手柄を立てて新たに爵位をもらうもよしという感じなんだろう。

俺はそれに巻き込まれた一般人ってとこか。

平民も同様に戦場に送り込んで使える奴使えない奴を選別しようっていう魂胆だろう。

送り込むのがCクラスの平民じゃないのは学生の死亡率を下げるためだろう。


現在起こっている戦争は共和同盟とのものだ。

他ならともかくあれは帝国を毛嫌いしている。

苛烈な戦いになるだろう

戦闘経験のない学生が行って生き残れる場所じゃない。

これからどうするか...。



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