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ダイアリー ~水谷聖香のサイコメトラーシリーズ~

作者: あいたん

 ボクは机の上に置かれたダイアリーを手に持って開いた。


 5月31日


 6月1日


 6月2日


 6月3日


 6月4日


 6月5日


 ああ、そうか。6月6日。その日は木曜日だった。ボクの頭にその日の記録が思い浮かんだ。その日、ボクは彼女と連絡をとって通学したんだ。懐かしいや。ボクが朝、連絡をしても彼女からの連絡は無かった。忙しい時間帯だから仕方ない。きっと彼女も通学準備で忙しかったのだろう。ボクは普段通りに学校へと向かった。家から10分のところにあるバス停。そう、バスはほぼ定刻通りに来た。ボクはバスに乗っていた。全くいつもの通りに。


 でもバスは学校へ到着することは無かった。なぜなら、バスは暴走したトラックと衝突したからだ。ボクは座席に座ってほぼ眠りかけていた。突然の衝撃!ドン!というすごい音が聞こえた。「何?」一瞬の事だった。バスがすごい衝撃の音が鳴った、と当時にボクの体はグラッと揺れた。ボクにとってそれが最後の世界だった。


 次にボクが意識を取り戻した時、その世界はボクが知っている世界とは違っていた。まるで言葉で表現できない世界。ボクは今どこにいるのだろう。誰か、ボクの意識の声が届くなら、それは誰でもいい。ボクを感じて欲しい。あの日、ボクは学校へ行く前に彼女に送ったメッセージ。それは彼女に届いているのだろうか?誰か、それを確認してほしい。ボクの声は彼女へ届いたのか?を。どうか、お願い。ボクの意識の声が届く人へ。ボクがこのメッセージを送るから。誰か、訊いて!お願いだよ。


 バスの事故を知った彼女はその場に泣き崩れた。彼の時間が永遠に止まった事を知ったからだった。彼女はただ泣いていた。それは安堵なのか悲しみなのか、誰にも分からなかった。


 水谷聖香はダイアリーを手に取って静かにほほ笑んだ。「あなたの意識の声、私が見たから。」


 彼が彼女に送ったメッセージ。それにはこのように書かれていた。「どうしてもボクと別れるなら、ボクはキミを殺す。そうすればキミは、永遠にボクの物だから。」「待ってて。バスが到着した時、それは全てが終わる時なんだよ。」と。


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