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プロローグ
薄暗い部屋に敷かれた布団の上で男はじっと天井を見つめている。
四肢を放り出したまま、だらしなく横たわる男の目が虚ろで、
その視点はどこか定まらず、虚空を眺めているようなそんな雰囲気を醸し出している。
伸び放題の髪、薄っすらと生えた髭、
しわだらけの服に、脱ぎかけのズボン。
「ふぅ・・・」
ふと乾燥してひび割れた唇から、薄く細いため息が漏れた。
それはまるで、最後の一呼吸のように、魂を手放すかのようなそんなため息だった。
誰も居ない静まり返ったこの空間ではそんなため息すらこだまし、空気に溶けていく。
何もかも諦めた、それどころかすべてを投げ出したとすら取れる男の様は、
滑稽でもあり、哀れでもあり、そして憂いに満ちているかのようにも見える。
そうして男は薄っすらと笑みを浮かべ、瞼を下した。