10/10
其の四
辺りが静かになり、綺麗な月の光だけが差し込む。
僕の頭の中はやっと整理がつき、僕は優希子の目の前で人を殺した事を理解した。
「咲平さん!」
優希子がこちらに向かってくる。
見られた…
知られてしまった…
優希子には嫌われたくない…
離れたくない…
整理がついたはずの頭の中に様々な感情が溢れてくる。
僕はどうすれば…
ギュッ
「ゆ…きこ…何で」
優希子に抱きしめられた。
優希子が僕を抱きしめる力がどんどん強くなっていくのを感じる。
僕は顔を見ることが出来なかった。
顔を見るのが怖かった。
僕はどうしたらいいかわからなかった。
そんな事を考えていると優希子が僕の顔を両手でつかみ見つめ合うようにした。
「咲平さん、助けてくれてありがとうございます。」
優希子はいつもと変わらない笑顔で僕に優しく言った。
「どうして…どうしていつもと変わらないんだ!どうしてそんなに優しく接するんだ!僕は今、君の目の前で人を殺したんだぞ!どうして…」
「…」
「普通の人なら!こんな事した僕を罵って、怖がって!化け物だって!」
わけがわからない。
どうしてそんなふうに君は接してくれるんだ。
どうして…?
そんな風に接してもらったことなんてない。
僕は…
「君がわからないよ…」




