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92.遠くを見つめて

 

「ふぅ……お腹いっぱい」


「我もじゃ。全部美味しかったな、パラン!ソフィア!」


「そ、そうだね……」


 アマダスに対して笑顔が引き攣るぐらい胃と戦い、とにかく遠くを見つめて私は集中する。


 するとアマダスが、


「パラン、どうしたんじゃ?大丈夫か?」


 心配そうに話しかけてきてくれて、回らない頭でなんて返そうか迷っていると、


「パラン、力抜いて」


 ソフィアさんにいきなりお腹を押されて、私は心の中でヤバいと叫んだ瞬間、


「『回復(プラユス)』」


 ソフィアさんが何かの魔法を使ってくれて、胃との戦いが一瞬で終わり私が勝つ。


「パラン、もう大丈夫?」


「う、うん。ありがとう、ソフィアさん」


「さんは、付けなくても良いよ。懐かしいな。昔、私が食べ過ぎてお腹痛くなったり、気分が悪くなったりしたら、この魔法を親友が使ってくれたの」


 ソフィアさんが元気になった私を見て、懐かしそうに笑う。


 その顔は悲しく今にも消えてしまいそうで、その親友はどんな人なんだろうかと考えた時、


「お腹が痛かったのか?パラン」


 アマダスが私のお腹を優しく撫でてくれながら、申し訳無さそうに聞いてきて、


「ちょっとだけね」


 心配させないように笑って答えると、


「すまん!気が付かんかった。今度からはもっとパランの事を気にするぞ。許してくれんか?」


 アマダスは深刻そうに謝ってきて、優しい子だなと思いながら頭を撫でてあげ、


「私がすぐ言えば良かっただけだから、気にしないで」


 首を振って気にしない様に言う。


「いや!我が……」


 けれどアマダスはまた謝ろうとしてきて、


「はい、もうだめ。そんなイチャつかないの」


 ソフィアさんが話を遮って見かねたように私達の間に入って来ると、


「ねぇ、この後どうする?良かったら、私の家来ない?」


 ソフィアさんが話題を変えて家に誘ってくれ、せっかくだしと返事をしようとすると、


「良いのか?じゃが……」


 珍しくアマダスが渋って私は驚くと同時に、その反応を見てソフィアさんが一瞬悲しげな目で視線を逸らす。


 それが私はどこか苦しいなと思って、


「行こうよ、アマダス、ね?」


「パ、パランが言うなら……迷惑じゃないか?ソフィア」


「迷惑なんかじゃないよ。むしろ、歓迎する」


 私はアマダスを言いなだめて、ソフィアさんの家へと向かった。


 ◆


「ここだよ」


 夜道を十数分歩いて辿り着いたのは、大き過ぎる訳でもないし、小さ過ぎる訳でもない、ごく普通の石造りの家。


「ほら、入って」


「お邪魔します」


「人の家に入る時はそう言うのか?お邪魔します、じゃ!」


 玄関に入り、私とアマダスの元気な声が響くと同時、ソフィアさんは魔法で家の明かりを点け、私達をリビングへと案内してくれる。


「綺麗な部屋じゃな!」


「ありがと」


 リビングに入るなりアマダスは色々な物を興味深そうに見て、綺麗に整えられた部屋の中を歩き回る。


 そんなアマダスを微笑ましそうに見ながら、ソフィアさんは何気なく、


「お風呂、入る?」


 私達にそんな事を聞いてきて、


「お風呂とはなんじゃ?」


 アマダスが首を傾げると、ソフィアさんは驚きながらも、


「入った事ないの?綺麗なお湯の中に入って、体を綺麗にするの」


 分かりやすく説明をして、それを聞いたアマダスは楽しそうに私に手を出して、


「面白そうじゃな!パラン、一緒に入らんか?」


 ドキドキするような事を言ってきた。

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