91.優しい温かさ
「平和ってきっと、綺麗なものとか景色をゆっくりと見れる事だと思うんだ、アマダス」
地平線に夕日が沈んで行く中、どこかから聞き覚えのある懐かしい声が響いて、辺りを見渡す。
けれど、パランとソフィアしかいなくって、空耳かと視線を元に戻すと、
「アマダス、どうかした?」
パランが我を気にしたように可愛い笑みを浮かべて、話しかけてくれる。
その顔に我はパランの手を更に握って、
「パラン、ずっと一緒におろうな」
話題を変えて顔を覗き込んで笑うと、
「どうしたの急に?私とアマダスはずっと一緒だよ」
パランはちょっと戸惑った後、当たり前の様に言葉を返してくれ、
「……絶対じゃぞ」
パランには聞こえない小さな声で呟いた後、我はパランにぎゅっとくっ付いた。
◆
星々が瞬き三日月が輝く星空は物凄く綺麗で、飽きることなく眺めていると、
「お腹空いてきちゃった。夜ご飯、食べに行かない?奢るよ」
ソフィアさんが私達に視線を向けて、ちょっと心配になる事を言ってきて、自分達のは自分達でと口を動かそうとした時、
「本当か?やったな!パラン」
アマダスがちゃっかり喜んだので、まあ足りなくなったら私達が出そうと考えを切り替えて、アマダスに変わってお礼を言う。
「ありがとう、ソフィアさん」
「うん。行こっか」
私のお礼にソフィアさんは嬉しそうに笑い、アトヤ王国の街へと戻った。
◆
アトヤ王国、王都マーギア。人々が沢山行き交い、ちらほらと魔法使いらしいローブを着た人達もいる中、
「ソフィア、あれ食べたいぞ!」
「良いよ」
アマダスが指を指した屋台に行っては、そこでご飯を買って食べ、
「次はあれが良いぞ!」
私があっという間にお腹いっぱいになっても、アマダスとソフィアさんは止まる事なく美味しそうにご飯を食べ続ける。
「ソフィアはいっぱい食べるな!」
「アマダスだって、体が小さいのにいっぱい食べるね」
「二人共……凄いね」
アマダスと張り合うソフィアさんに、まさかそんなに大食いだったなんてと思うけど、よくよく考えればお昼ご飯の時、明らかに女性の冒険者が一人では食べれないお肉を食べていたなと思い返して、私はまだまだ食べる二人に付いて行く。
「次は甘い物が良いぞ!」
「賛成。あっ、焼きマシュマロは?」
「焼きマシュマロとな?美味しそうじゃな!食べたいぞ!」
ソフィアさんが指を指した屋台にアマダスは一瞬首を傾げながらも、楽しそうに頷いて、
「これが焼きマシュマロか!」
屋台に付くと匂いと見た目で美味しい物と分かったのか、私と手を繋いだまま嬉しそうにぴょこぴょこする。
「アマダス、可愛いね。焼きマシュマロの詰め合わせ、二つ」
「あいよ!」
ソフィアさんの注文に屋台の人は慣れたように返事をし、ささっと火魔法で焼き上げて私達に渡してくれる。
「はい、お金」
「毎度!」
「アマダス、あげる」
「やったぞ!……おおっ!これは美味いな!パランにもあげるぞ!あーん」
「えっ……私は……」
また歩き始めてパクっと食べたアマダスが私にも満面の笑みで一つ差し出してくれ、お腹いっぱいだからと断ろうとするけど、そんな顔された断る訳にもいかず、
「お、美味しいね、アマダス」
「じゃろじゃろ!」
一つ食べるとアマダスは嬉しそうに、
「パラン、ほれ、もう一個!あーん」
もう一個くれて私は胃と戦いながら、王都をアマダスとソフィアさんが満足するまで歩いた。
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