90.きっと
「色々あったんだね。それでも、ぬいぐるみ探しまではあと二日あるんだ」
「そうじゃ!」
「その間は、何かする事あるの?」
「いえ、何もないです」
「なら、せっかくだしアトヤ王国を観光したら?私が案内するよ?」
「なんじゃ!楽しそうじゃな!」
アトヤ王国で経験した事を話しながらご飯を食べ終わって、アマダスも私もお腹いっぱいで椅子に寄りかかっていると、ソフィアさんがそんな事を言ってくれて、アマダスが楽しそうに笑う。
「本当に良いんですか?」
「うん。あとパラン。タメ口で良いよ?」
「えっ?は……うん」
「なら、行こっか」
私のぎごちない返事にソフィアさんは優しく笑い、食器を返して冒険者協会を出る。
「まずは、どこに行こっか……仲、良いね」
ソフィアさんに付いて行きながら、いつもの様にアマダスと手を握っていると、振り返ったソフィアさんが優しく呟く様に言ってきて、
「我はパランの彼女じゃからな!」
アマダスが笑顔で言葉を返すと、ソフィアさんは一瞬驚いた顔をした後、
「羨ましいな……最初は、私の好きな綺麗な場所に行こっか」
どこか悲しそうに微笑んで、ソフィアさんは私達を案内し始めた。
◆
アトヤ王国の街並みを見ながらのんびりと歩き、人が多い道を抜けると、段々と坂道になり小高い丘を登っていく。
「あと少しだよ」
「おっ!パラン、楽しみじゃな」
「そうだね。アマダス、疲れてない?」
「全然平気じゃ!」
いつもの楽しそうなアマダスに私はちょっと疲れが溜まった体で凄いなと思っていると、アマダスが私の手をぎゅっと握って来て、
「パラン。頑張れじゃ!」
応援の言葉をかけてくれ、私はアマダスに元気を貰いながら仲良く歩いて行き……
「綺麗でしょ?」
頂上らしき場所へと私達は辿り着いた。
そこはアトヤ王国が一望できる場所で、オレンジ色になり始めた太陽も相まってすごく綺麗。
「パラン、ソフィア、凄いな!」
「でしょ?」
「本当、凄いね……」
「私の一番好きな場所なんだ。昔、良く来てたの」
「良いな!誰と来ておったんじゃ?」
何気なく返したアマダスに、ソフィアさんはまた悲しげに笑って、
「親友。今は……どこにいるか分からないけどね」
懐かしそうに遠くを見つめてそう言った。
「そうなのか……すまん」
そんなソフィアさんの顔にアマダスは謝ると、今度は強がっているでもどこか確信している笑みを浮かべて、
「気にしないで、アマダス。きっと、どこかで生きてるよ。あの子、強いから。ここ星空も綺麗なんだ。時間があるなら、見ていかない?」
「怒らぬのか?」
「怒る訳ないよ」
「優しいな、ソフィアは」
アマダスの笑みにソフィアさんは固まった後、優しく微笑んで、
「ありがとう。アマダス」
少し涙を浮かべてお礼を言い、それを隠すようにまた景色を眺める。
そんなソフィアさんをアマダスは笑って、
「おう!気にするな!パラン、星空も見んか?」
私の顔を覗き込みながらそう言ってきたので、
「うん、良いよ。一緒に見よ、ソフィアさんも」
私達は三人で夕日が沈み完全に星空へと移り変わるまで景色を眺めていた。
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