84.包み込むから
「ふぅー……お腹が膨れたな」
「あれだけ食べたら、そりゃ……」
「ほれ、凄いじゃろ!」
私の手を自分の膨れたお腹にくっ付けて、自慢するように笑うアマダス。
そんな笑顔に、私も店員さん見たくちょっと引きながらも、興味本位でアマダスの柔らかいお腹を少し揉んでみる。
「あっ♡、パラン……」
すると、体をビクッとさせてから可愛い声をあげたので、私は一瞬驚きながらももう一回揉もうとして、素早くその手をアマダスに掴まれ手を握られる。
それを私はちょっと残念に思いながらも、恥ずかしがっている珍しいアマダスを褒める。
「可愛いね、アマダス」
「なっ!パ、パランはずるいぞ!」
「えっ?何が?」
「色々じゃ!」
「ごめんて、アマダス」
褒めたのに何故かいきなり怒って言ってきたので、私は取り敢えず謝る。
そうするとアマダスは頬を膨らましながらも、
「むっ……いいぞ。それでどうするんじゃ、これから」
許してくれたので、私はやらないといけない事を思い出して、今日の予定を適当に決めて言う。
「魔法局に三日後行くぐらいしかもうやる事ないし、今日は昼ご飯と夜ご飯を買って、宿屋でのんびりしようよ」
「そうか。分かったぞ」
「それじゃ、買いに行こっか」
「おう!」
ご飯の話のおかげか、なんとか機嫌を取り戻した可愛いアマダスの手を更にぎゅっと握って、私達は歩き出した。
◆
昼ご飯と夜ご飯を買って、宿屋に戻った頃にはすでに昼で、私は昼ご飯は遠慮して何も食べず、アマダスは肉おにぎりを昼ご飯にと買ったのでそれを食べ、私とアマダスはすぐに暇になる。
「久しぶりにやる事がない。暇っていいね」
「パラン、結構歩いたが体は大丈夫なのか?」
「うん。アマダスは優しいね」
「パランの方が優しいぞ」
「そう?なら、アマダスの方が可愛いね」
「パ、パランの方が可愛いぞ!」
ベットで二人一緒に寝て私がアマダスを褒めると、アマダスが私を褒め返してくれる。
久しぶりの誰もいないたった二人だけのアマダスとの時間は楽しくって楽しくって、太陽がオレンジ色になるまで私とアマダスは色々な話をし続けて、
「アマダス。聞いてほしい事があるんだ」
私はアマダスの手を握って、決心してから起き上がる。
そして、アマダスに背を向けて服を脱ぎ上だけ下着姿になって願う。すると、胸の下に『邪紋』が出てきて、一度深呼吸をしてから、
「私ね、元奴隷だったんだ。これがその、証だよ」
アマダスに『邪紋』を自分から見せた。
オレンジ色の夕日に照らされる私の『邪紋』を、一瞬驚いた後、アマダスはまじまじと見てから、指を指して聞いてくる。
「だ、大丈夫なのか?これがあって?」
「うん。もう主とは魔力で繋がってないから、この魔法の効力はないんだ」
「そ、そうなのか……」
次に何を言っていいか迷うようなアマダスの顔を見て私は隣に座り、アマダスを見る。
そして、何があっても喋らないと思っていたのに、アマダスといるといつか喋らないと、そう思ってしまった……
絶対に知られて欲しくない事だって思っていたのに、アマダスにだけは知って欲しいってそう思った……
死ぬまで、いや死んでもしないだろうなと思っていた話を、私は自分からしようとする。
「ねぇ、聞いて欲しい事があるんだけど、いい?」
「な、なんじゃ?」
「私の、昔の話だよ」
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