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83.特大特厚パンケーキ

 まず私の頼んだパンケーキがやって来て、次にアマダスが頼んだパンケーキがゆっくりと運ばれて来た。


「おおっ!大きいな!」


「そうだね。アマダスが、パンケーキのせいで見えないよ」


「我もじゃ!我もじゃ!パランが見えんぞ!」


 パンケーキの奥で一人はしゃぐアマダスを、私はちょっと呆れながら笑っていると、店員さんが注意事項を話してくれる。


「では、注意事項です。制限時間は二時間。二時間を過ぎたら挑戦は失敗です。それと、二人までならパンケーキを食べて良いので、お二人で頑張って下さいね。それでは、スタートです」


「いただきます」


「いただきますじゃ」


 注意事項をしっかりと聞いた私達は、パンケーキを食べ始め、アマダスは最初から勢い良く、私はゆっくりと自分が頼んだのを食べる。


 柔らかくて、もちもちふわふわなしつこくない甘さと、チョコといちごがしっかり合って、飽きの来ない美味しさに、


「アマダス、美味しいね」


 パンケーキの奥のアマダスに喋りかけると、おう!と返事が聞こえ、パンケーキの横から手が伸びてきて、


「ほれ、あーん」


「あーん」


 一口くれた。


 アマダスの食べているパンケーキは、そこそこ弾力があってこれはこれで美味しい。


「アマダス、あーん。頑張ってね」


「あーん。もちろんじゃ!」


 私のも一口あげてアマダスのしっかりした声に、私は取り敢えず自分のパンケーキをゆっくりと味わいながら食べ、五分程で完食。後は、アマダスが食べ終わるのを待つのみに。


 それから、一枚、また一枚とアマダスのパンケーキは減っていき、顔が見えるようになる。


 そして、三十分、四十分と時間が経ち、残るパンケーキは四枚。時間は一時間を過ぎた頃、唐突に、


「飽きた!パラン、あーんしてくれ」


 そんな事を言い出して、


「だ、大丈夫なの?」


 私が心配しながら聞くと、


「おう!飽きただけじゃからな!」


 私にはよく分からない言葉が返ってきて、取り敢えずアマダスをまじまじと見るけど、別に顔色が悪いわけでもなく、気分が悪そうでもない。


 ただ単純に、飽きた、たったそれだけらしい。


 私はそれに安心して、


「はい、あーん」


「あーん」


 アマダスの口にパンケーキを運んで行く。


「やっぱり、パランがくれると美味いな!あーん」


「それは良かった、はい、あーん」


 そして、何口あーんしたのか分からないけど、最後の最後までアマダスはペースを落とすことなく食べ続け、


「最後だね、あーん」


「あーん。美味かったぞ!」


 最後の一口を食べ終わり、特大特厚パンケーキをアマダスは一時間半ぐらいで完食した。


「す、すごい、ですね……このパンケーキ、二時間以内に完食した方あなた達で、二組目です……」


 アマダスがパンケーキを完食したのを見て、店員さんがお皿を下げてくれながら引き気味に褒めてくれる。


「あの、代金は全て無料になりますので……ゆっくりして下さいね」


「やったな、パラン!またお金を払わんで良くなったぞ!」


「そうだね。アマダス、気分悪かったりしない?」


「全然じゃ!まだ食えるぞ!」


「す、すごいね……」


 それから少しアマダスと楽しく話をして、私達はお店を出た。

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