82.パンとケーキ?
「ア、アマダス、行こ」
素早く服を着て少し落ち着きを取り戻した私は、アマダスの背中に声をかける。
その声にアマダスは振り返り、
「パラン、しんどくなったら言ってくれ」
私の手を握りながら心配してくれたので、
「分かった。ありがとね、アマダス」
私は笑みを浮かべながら礼を言い、一緒に宿屋を出る。
それから二人で街を歩き始め、何か美味しそうな食べ物はないかと探す。
「今日も人多いね」
「そうじゃな。パラン、何か食べたい物はあるか?」
「んー、甘い物かな」
「いいな!何かあるじゃろうか?」
私の答えにアマダスは辺りを見渡して、甘い物が売っているお店や屋台を探してくれる。
そんなアマダスを可愛いなと思いながら、私も辺りを見渡していると……
「アマダス。あれ、どうかな?」
『パンケーキ』と書かれた看板が置いてあるお店を見つけて、指を指しながらアマダスに聞いてみる。
すると、
「パン、ケーキ?おおっ!パン!ケーキ!いいな!あそこに行くぞパラン!」
きっとパンケーキの意味は分かってないんだろうけど、パンとケーキの意味は分かっているので物凄く反応して無邪気に笑いながら、私の手を引いてお店へと向かう。
「パラン!甘い匂いがするぞ!」
「そうだね。凄く良い匂い」
お店に近付くに連れて甘い良い匂いがしてきて、アマダスは勢い良く扉を開ける。
リンリンと鈴がなって、店員さんが慣れたようにこっちを見てくると、優しい笑みを浮かべて聞いてくる。
「二名様ですか?」
「おう!」
店員さんの言葉にアマダスが頷くと、
「お好きな席にどうぞ」
そう言われたので、窓際の席に私とアマダスは座る。
「これがメニューみたいだね」
テーブルの上に置かれた、薄い小さなメニューを開き中を見てみると、大きさ、段数、厚さ、そしてチョコやキャラメル等の色々なソースや上に乗せる果実やクリームの量まで全て選べ、物凄く自由に食べれるらしい。
そしてページの端っこには、
「特大特厚パンケーキ。十二段重ね。ソースは自由。完食出来た方は、代金無料……注意事項は店員が説明します」
なにやら普通ではない、おかしな物が書かれていた。
私は食べれた人いるのかな?そう思いながら、アマダスはもう大きさとか決めたのかなと、聞いてみる。
「アマダスはどうするの?」
「食べれるぞ」
「あっ、いや……」
私はそのパンケーキについて聞いたわけではない。けど何故か、アマダスは自信満々で、
「我は食べれる。やるぞ!」
「そう……頑張ってね」
私は病み上がりなので、少な目にと軽く決めて、
「あの、良いですか?」
「お決まりですか?」
店員さんを呼んで、まずは私から言う。
「薄く小さめで三段。チョコソースといちご盛りで、クリームなし。それと……」
「これじゃ!キャラメルソースで!」
私が言い終わりアマダスを見ると、すぐさまメニューの端を指差し、店員さんに言う。
「本当に大丈夫ですか?」
それに店員さんは、心配の眼差しを向けるけれど、
「おう!」
アマダスの笑顔を見て、
「か、かしこまりました。特大特厚パンケーキ一つと、薄め小さめの三段で、チョコソースといちご盛りでクリームなし、ですね」
店員さんが頷いてメニューを確認してくれ、奥へと消えて行った。
「楽しみじゃな」
「うん、アマダス。全部、食べれるといいね」
「食えるぞ」
「そう……アマダス、無理はしないでね」
「もちろんじゃ!無理なんかせんでも、食べれるぞ」
なんだか今日のアマダスはちょっとだけ、会話が成り立っていない気がするのは私だけだろうか……
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