8.柔らかい頬っぺ
「まず、冒険者にもランクがあって、冒険者カードに線が引かれるの。一本だと冒険者見習い、二本から八本だと冒険者、九本で覇者」
「パランは?パランは何本引かれておるんじゃ?」
「私は五本。五本だと中級の冒険者って扱われる。それじゃ次。冒険者の仕事は基本的に魔物を倒す事」
私はそう言って依頼の紙が貼られた、板を手で指す。
「依頼の出されてる魔物は倒すと報酬が多く貰えて、出されてない魔物でもギルドが買い取ってくれる」
だからまあ、好きな魔物を倒して稼ぐ人もいるし、必ずしも依頼が出ている魔物を倒す必要は無い。
「でも時々、報酬が三倍の依頼とかもあったりするから、暇な時は見て、出来そうなのを探してみると良いよ」
「なるほど。分かりやすいぞ、パラン!」
アマダスは頷きながら楽しそうに笑みを浮かべる。
それを見てパランも少し表情に笑みが出て、
「ありがとう。それじゃ最後、冒険者のランクの上げ方。倒した魔物の数か、こなした依頼の数が一定数を超えたら昇級試験を受けれるの。昇級試験は魔物と一対一で戦って勝ったら線が一本増える。負けたらそのまま。説明はこれぐらいかな」
「ふむ。全部分かったぞ!とにかく依頼のある魔物を倒したらいいんだな?」
「うん。それが一番」
一通りの説明し終えて、深呼吸をする。こんなに喋ったのいつぶりか……顔の筋肉が痛い。
パランが無意識に頬っぺを揉んでほぐしていると、アマダスが不思議そうに首をかしげながら、聞いてくる。
「何をしておるのだ?」
「ん?あー、ちょっとほぐしてるだけ」
「そうなのか……我もほぐしてやろう!」
アマダスはそう言いながら、両手でパランの頬を触って包み込む。
温かいアマダスの両手は優しく頬を揉んでくれて……パランは頬を染めながら、離れようとするが、アマダスはしっかりとパランを捕まえて、
「どうだ?気持ちいいか?」
いたずらっ子の様な可愛い笑みを浮かべ、揉み揉みと揉み続ける。
パランは恥ずかしながりながらも頷き、小さな声で、返事をする。
「うん……」
そんな周りから見ればイチャイチャしている二人に、
「冒険者カードが出来ましたので、こちらに来て下さい」
受け付けから声をかけられる。声の主はもちろんナール。けれど……なにか少し怒っているような……
「ア、アマダス……その……」
「そうだな。行こう、パラン」
ナールとパランの声にアマダスは頬っぺから手を離すと、今度は手をぎゅっと握って受付へと引っ張る。それにパランは、頬をまた少し染めながらもついて行く。
「どうぞ、お受け取り下さい」
受付に着くとナールがアマダスの冒険者カードを差し出してくれる。そこには、白、赤、オレンジ色の
「線が三本?これって」
「はい。魔法の適正検査を考慮してこうなりました」
「すごいね、アマダス」
「すごいのか?我はすごいのか!」
楽しそうにはしゃぐアマダスに冒険者カードを渡して、
「ありがとう。ナール」
お礼を言って、とりあえず冒険者協会を出ようと、体の向きを変えた時、ナールにグイッと服を引っ張られて、ゾクッとする程の低い声で、静かに耳打ちされる。
「あまり、私の前でイチャイチャしないで下さいね?」
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